3番目の婚約解消 25 王太子の座はカイルのものに
違う話をアップしてしまいましたm(_ _)m
うっかりです!申し訳ありませんm(_ _)m
↓誤った話を削除し、正しい話をUPしてます。
エステリア国王からの手紙をアランがガーランド国王に報告してから1ヶ月が過ぎた。
ガーランド国王からの直接の返事はなかったが、オルソン公爵家にガーランド王国が、近々使者を送るとの連絡がアンジェリアにきている。
コーション国の王都は相変わらず、ベイガザード王国派とオルソン公爵派が緊張状態にあるらしい。
現在、コーション国の王都で開かれている国議会で、何かしらの動きが出るのではないかと、レイモンドとルルドは睨んでいた。
「やっぱり、この色の方が……」
「こちらの刺繍の方が、より美しさを引き立てて……」
オルソン公爵家のアンジェリアの私室では、色とりどりの生地を仕立て屋が搬入し、マリアナとアンナがアンジェリアのドレスを仕立てるため意見を戦わせていた。
来週、3ヶ月ほど遅れながらもアンジェリアの15歳、アマリアの16歳の誕生を祝うパーティーを合同で開くことにしたのだ。
発案者はアンジェリアで、ギクシャクしたオルソン公爵家の空気に堪えられず、少しでも関係性を良い方向へ持っていきたいという願いを込めていた。
マリアナとアンナもドレスやアクセサリーの選別、そして、パーティーの準備に忙しく、エステリア国との関係を巡ってお互いにぶつかり合うことも少なくなった。
ーーーーつかの間の、平和にならなければ良いけれど……
ドレスを笑顔で選んでいく侍女とは、正反対にルルドは難しい顔をして窓の外を見つめていた。
窓の外では騎士達が、来る動乱に備えて訓練を重ねている。この数ヶ月間で、オルソン公爵家の私兵は密かに3倍にも膨らんでおり、彼らは主にエステリア国からの援軍だった。
「ーーリア、アンジェリア様?」
「ああ、ごめんなさい。どうかした?」
「こちらのドレスなんですが……」
アンジェリアは自分のドレスなんて、本当はどうでも良かった。一時でも、屋敷の人間が争いを忘れられたら、それだけで良いと思っている。
騎士の訓練にはレイモンドも率先して参加しているらしい。騎士の戦闘能力が上がったと、オルソン公爵夫人は喜んでいるが、ガーランド王国の姿勢が明らかでないため、アンジェリアは微妙な立場に置かれていた。
“ガンガンガンガン……!!“
急に、激しいノックがされて、執事の1人が伝令のため部屋に走り込んできた。
「ー!? 一体、なんの騒ぎ?!」
アンナがアンジェリアを庇うように執事の前に立ちはだかった。ルルドも剣に手を構えていたが、執事の倒れそうな様子を見て、すぐに執事に駆け寄った。
「オルソン公爵様、から、アンジェリア様に、伝令で、ございます!!」
「公爵様から?」
執事が差し出した、手紙をルルドがもぎ取り、アンジェリアに渡した。執事のただならぬ様子にアンジェリアは急いで、手紙の封を開けた。
ーーーー国議会で、王太子に、第1王子カイル殿下が、承認されたーー
「ー!? なんですって?!」
「おいおい、マジかよ……」
アンジェリアの手紙を横から覗き込んでいた、ルルドも呆れ果てた声をあげた。
確かに、国議会でベイガザード王国派が何かしらのアクションを起こすと予測されていた。けれど、オルソン公爵家とエステリア国の結びつきを批難する程度で済むとオルソン公爵派は考えていたのだ。
ーーーーしてやられたわね……
オルソン公爵派の誰かが寝返ったのだろう。
国議会で承認された以上は、国王のルーファス1人で、カイルの立太子を覆すのは困難になってしまった。
「ルルド……、すぐにシャルへ連絡を」
「いや、今はリアの側を離れないよ。ナサル! 至急、兄上にご報告を!!」
「はっ!」
ナサルはルルドの指示でサスティアル王国のアランに連絡するため部屋を後にした。
すると入れ替わりに、息を切らしたレオンが手紙を握りしめ、アンジェリアの所へ走ってきた。
アンナとマリアナは急いで仕立て屋と共にドレスの生地を片付け始めている。すでに、誕生パーティーを開いている場合ではなくなってしまったのだ。
「アンジェ! カイル兄上が、王太子になってしまった! このままでは、父上が一層危険に晒されてしまう!!」
レオンの元にもオルソン公爵から伝令が届き、急いでアンジェリアとルルドの元にやって来たらしい。ルルドは、そんなレオンの様子を感慨深く眺めていた。
「そなたも、良く考えるようになったのだな……」
ーーーー馬鹿にしてる場合じゃないでしょう?
アンジェリアの冷たい視線を受けたルルドは、少し表情を整えた。
「レオン、私の元にも伝令が来たの。カイル殿下が王太子に決定してしまったと……、あなたの言う通り、ルーファス様の身の危険が高まってしまったわね……」
「今、ナサルにアラン兄上への報告をさせている。今後、このオルソン公爵家にも火の粉が振りかからぬとも言えぬからな。して、レオン、そなたはどうしたい?」
ルルドの言葉にレオンは表情を固くすると、意を決したように姿勢を正した。
「今の父上の見方のオルソン公爵派だけでは、この難局を越えられそうもない。ベイガザード王国派は、兄上の婚約式に立太子の儀を重ねてくるだろう」
「そうなれば、あまり日がないわ」
アンジェリアが呟くとレオンは硬い表情のまま頷いた。
第1王子カイルとベイガザード王国の姫との婚約が発表されてから、半年以上は軽く経っている。
「そこで、ベイガザード王国派に勢いをつけられてはかなり不味い。それより前に、僕たちの婚約の決定を発表しようと思う。アマリアは、同時に側妃として公表するつもりだーーそうすれば、オルソン公爵派に、ガーランド王国もエステリア国もついたとーー」
「なんですって?!」
レオンのあり得ない言葉にアンジェリアは思わず席を立って、レオンの胸ぐらを掴んだ。
「相談もなしに、勝手な!! それに、側妃なんて、アマリア様が受け入れるはずがないでしょう?! エステリア国の反感を買うわ!!」
レオンをぐわっと睨み付けながら、押し倒す勢いでアンジェリアが責めると、側にいたルルドがアンジェリアをレオンから引き離した。
アンナとマリアナは、慌てて部屋から使用人を締め出している。
「レオンの考えは妥当だと思うよ? それに、こんな状況に備えて、ガーランド王国にもエステリア国にも相談済みで了承を得ているんだよな?」
ーーーーえ、ガーランド王国もすでに知っていたの?
ルルドがレオンに確認すると、レオンは気まずそうにアンジェリアから目をそらした。
「アマリア様の手紙に対して、ガーランド王国からの返事は来ていないのよ? エステリア国はレオンとの婚約を望んでいるわ」
「確かにエステリア国はレオンとの婚約を望んでいた。でもそれは、レオンが王太子になるという前提の話さ。カイルが王太子になってしまった以上、猶予はない。レオンが王太子になれないのならば、クーデターを起こしてカイル側の転覆を狙うのみ……」
アンジェリアの言葉にルルドが恐ろしい話をし始めた。クーデターという言葉に、マリアナは思わず短い悲鳴をあげる。
「ーーっ! 俺だって、カイル兄上といがみ合いたくはなかった!! でも、コーションをこのままベイガザード王国の言いなりにはさせられない!! コーション国を救うには、他に道はないんだ!!」
レオンが悲壮な表情で声を荒げると同時に、レイモンドがアンジェリアの部屋に入ってきた。
「少し、落ち着け。部屋の外まで、声が響いているーーこれからが正念場になるんだ。今から、慌てていては、総大将としては心もとない。エステリア国やガーランド王国に見放されるぞ」
レイモンドが落ち着いた様子でレオンを窘めると、レオンははっとした顔になり、椅子に沈み込んだ。




