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3回目の婚約解消 23 侍女達の亀裂

3番目の婚約解消が、想定より長くなっていますm(_ _)m

 エステリア国の公女、アマリア=ルーデンがオルソン公爵家にやって来てからさらに2ヶ月が経った。


 アマリアが、オルソン公爵家到着そうそう、倒れたことでアンジェリアとの挨拶は後日に設けられ、簡単に済まされた。その時すでに、ルルドやレイモンドはサスティアル王国に戻っており、アマリアとのサスティアル王族2人との挨拶は流れてしまっている。

 アマリアは非常に残念がっていたが、ルルドとレイモンドは、初っぱなから正式に挨拶をさせる気がなかったのではないかと、アンジェリアは思っていた。


 アマリアが到着して、アンジェリアが私室に引き上げた時、レオンが必死にアンジェリアを追いかけて来た時も、ルルドとレイモンドはレオンに冷たく接していた。

 サスティアル王国はすでに、コーション国を見限り敵対へと舵を取ったのではないかと、アンジェリアは疑っている。





「アンジェ、その後は、ルルド殿下のお越しの予定はないのか?」


「そうね、前の訪問から2ヶ月経つのだからもうそろそろ、やって来るんじゃない?」


 最近は、アンジェリアの元に朝早くからちょくちょくレオンが訪れて、サスティアル王族の動向を探ってくる。そんなに気になるなら、初めからエステリア国の公女を迎えに行かなければ良かったのでは、とアンジェリアは思うのだが、口に出すと嫉妬してると勘ぐられそうで、グッと我慢していた。


 ーーーーそもそも、こんなに早くから部屋に押し掛けるのも、失礼なのよ!


「もし、その……お越しになるときは……」


「ハイハイ、直ぐにレオンに伝えるわ」


「ああ……、ありがとう。じゃぁ、食堂で」


 パタンと扉が閉まり、アンナやマリアナが身支度の最後の調整へと取りかかる。レオンが毎朝アンジェリアの部屋に訪れては、同じやり取りを繰り返すので、アンジェリアとマリアナは辟易していた。

 一方で、アマリア=ルーデン側からすれば、レオンが毎日朝からアンジェリアの元を訪れることを好ましく思うはずもなく、オルソン公爵家は微妙な雰囲気に包まれていた。


「レオン殿下は、アンジェリア様の予定が気になりますのね? アンジェリア様は本当に愛されておりますわ!」


「いや、ルルドやレイ叔父様の動向が知りたいだけよ」


 アンナが頬を染めて呟くと、アンジェリアは間髪いれずに訂正をした。

 一体、さっきの会話のどこに、愛だのがあったのかと、甚だ疑問になってしまう。

 黙々とアンジェリアの髪結いを進めるマリアナも、どこが冷めた目で、鏡越しにアンナを見ていた。





「はい、アンジェ。これ、アマリア様の従者から届いたやつ」


「ーーまあ!? マリー、あなた、隠してたの?!」


 アンジェリアの身支度が完成し、食堂に向かう時になって、マリアナがアンジェリアへ手紙を差し出した。反アマリア勢力のアンナは、裏切り者を見るようにマリアナに声をあげた。


「アンナは少し黙って! エステリア国が気に入らないのは分かるけれど、私の指示に従えないなら、ガーランドに帰ってもらうから!」


「ーーっ! もう、し訳、ありません……」


 毎日繰り広げられるアンナの、反アマリアとする態度に、アンジェリアは疲れて果てていた。今度ルルドが来たときには、アンナをガーランド王国へ送り返そうとも本気で考えている。


「アンジェ、食堂に行く前に、手紙の確認を」


「そうね、マリー。ありがとう」


 まるで何事もなかったかのように淡々と仕事をこなすマリアナに対しても、アンナは睨みを利かせている。国家間の争いが、自身の侍女の働きにも影響するとは、アンジェリアは頭が痛くなっていた。


「ーー、マリー、午後は、ローズサロンでティータイムにするからついてきて。アンナは、午後はこの部屋の衣装の片付けをお願い」


「私も、ティータイムの準備をーー」


「結構よ、片付けをお願い!」


 アンジェリアがマリアナとアンナに、それぞれ異なった指示を出すと、アンナが不服そうに声をあげたが、アンジェリアはそれを撥ね付けた。


 アマリアからの手紙には、午後ローズサロンへの招待が書かれていた。時折、ティータイムを共に過ごし親睦を深めようとするアマリアの姿勢を、アンジェリアは好ましく思っている。

 そのため、毎回、場を壊し兼ねないアンナやロイターには適当に指示を出して、必然的にアンジェリアの私室待機としていた。



 ◇◇◇◇◇



「ごきげんよう、アンジェリア様。お越し頂き、誠にありがとうございます」


「お招きありがとうございます、アマリア様。先日は、レオンからアマリア様からだと、焼き菓子を頂きました。御気遣いありがとうございました。そして、とても美味しかったです」


「まぁ、それは嬉しく思います」


 アンジェリアがローズサロンに入ると、すでにティータイムのセットは完璧にされており、アマリアもすでに到着していた。


 アマリアとアンジェリアは毎回適度な挨拶を交わし、社交辞令的な会話を進め、時間が経てば解散する。これを1週間毎に繰り返していたが、何やら今回は違っていた。

 アマリアは、紅茶が進まず、アンジェリアが話しかけても少し上の空だった。そろそろティータイムをお開きにしようと言うときになった頃、何やら緊張した面持ちでアマリアが身を乗り出し、アンジェリアへ懇願してきた。


「アンジェリア様、大変烏滸がましいのですが、お願いが、あるのです。聞いて頂いてもよろしいでしょうか?」


「……? なんでしょう? お話を聞くだけなら構いませんが」


「ーー人払いをーー」


 アマリアがアンジェリアに内密の願いをするのは初めてだ。念のため、マリアナだけを残し、他の護衛はテーブルから少し離れた所にに待機させた。


「で、アマリア様のお願いって?」


 緊張からか、手元が少し震えているアマリアを気の毒に思いながらも、アンジェリアは話を促した。すると、アマリアは深く息を吐いた後、横に置いていた小箱から手紙を取り出し、アンジェリアへ渡してきた。


「厚か余しいとは分かっているのですが、コーション国とエステリア国の未来のため、レオン殿下が国王の座に就くのを手伝って頂きたいのです。この手紙は、エステリア国王からアンジェリア様へと宛てたものでございます」


「ーー中身を、今、確認しても?」


「かまいません」


 エステリア王国の刻印があり、繊細な装飾が施された封筒を開けると、1枚の真っ白な紙が入っていた。


 ーーーーこれは、魔法がかかっているの?


 アンジェリアが何も書かれていない白い紙を見つめていると、文字が浮き出ては消えていく。


『アンジェリア=コーディル公爵令嬢殿ーーーー』


いつもありがとうございます!

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