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3番目の婚約解消② オルソン公爵領でのひととき2

 レオンとオルソン公爵との街の視察は、レオンの社会教育を兼ねている。オルソン公爵が領内の経済の仕組みや、地域毎での組織の仕組みなんかを領内を巡りながら丁寧にレオンに教えていく。

 机の上で学んだ事を再度自分の目で見つめることで、多くの知識を吸収することができるのだ。


 オルソン公爵からたくさん興味深い話を聞く事ができて、アンジェリアも飽きることなく楽しみながら視察に同行していた。オルソン公爵も楽しそうに付いて回るアンジェリアを気に入っていて、領内で人気な菓子店や雑貨店へと視察の合間に連れていってくれた。


 ーーーー今日はティール雑貨店、に連れていってもらえるのよね? どんなお店だろう!


 オルソン公爵の勧めるお店は、とにかくセンスが良かった。公爵領は街の規模も大きく、商店も数えきれないほど存在する。その中からオルソン公爵はアンジェリアの好みにぴったりのお店をいつも教えてくれていた。

 レオンもオルソン公爵が毎回、的確なお店を案内してくれることを不思議に感じていたのだろう。オルソン公爵にストレートな質問を投げかけた。


「オルソン公爵殿は、どうして女性が好みそうなお店までご存知なのですか?」


 アンジェリアもちょうど、オルソン公爵は不思議な方だなぁと考えており、レオンの質問に対するオルソン公爵の回答がとても気になった。


「そんな事、大したことではないよ? 強いて言えば、愛しい奥さんを喜ばせるためには色々な情報が必要だってことさ」


 オルソン公爵はそう言うと、レオンに思わせぶりなウィンクをした。レオンは瞬時に耳まで顔を赤くして、なるほど! と呟いている。


「そう言えば、ルーシの様子はどうですか? ダイアナ様が付きっきりだと、メイドが噂をしておりましたが」


「あぁ、昨晩、急に熱が上がってな…。なぁに、朝には熱が引いたから、今頃、ダイアナもゆっくり休んでいることだろう」


 オルソン公爵はアンジェリアにそう答えると、心配してくれてありがとうと頭を撫でてくれた。

 ルーシとは側妃カルラが暗殺事件の後に産んだレオンの妹だ。側妃カルラが幽閉の身となったために、オルソン公爵家で育てることになったのだ。

 生まれつき体が弱いルーシは熱を出しては、オルソン公爵夫人ダイアナ自らが懸命に看病をしている。

 アンジェリアは、昨日から病弱なルーシの看病をしていて疲れたであろうダイアナにもお土産を買っていこうと決めた。



 ◇◇◇◇◇



 オルソン公爵領で一番栄えている街、ゴージュ査察の視察を終えると、オルソン公爵は子供達をティール雑貨店へ連れてきてくれた。


「本当に、品揃えがたくさん!! あら? これも可愛いわ! もう、どれを買おうか悩んでしまう!」


「アンジェリア様、こちらなどはセライア様にお似合いかと。ーーこちらのサインペンはイアン様にいかがでしょう? 侍女頭の話では、最近、勉強を熱心に取り組まれているそうですし」


 思った以上の品揃えに、アンジェリアは喜び次々に物色し始めた。アンジェリアの側に控えたマリアナも、コーディル公爵家から定期的に送られてくる情報を頼りに、アンジェリアにアドバイスをしていく。


「本当! さすがマリーね! セライアお姉さまの好みを知り尽くしているわ! それにこのサインペン、とても軽くて持ちやすい!」


 アンジェリアはついでに兄のギルバードや父のコーディル公爵にもサインペンを贈ろうと選び始めた。マリアナが薦めてくれたシルバーの髪飾りも、とてもセンスが良くセライアのプレゼントにぴったりだ。年齢に関係なく、髪に着けても可笑しくないデザインで、光に当たるとキラキラ反射して美しい。


 ーーーーこれ、ダイアナ様もお似合いかも…


 アンジェリアはセライアのプレゼント用とは色違いの髪飾りも買うことにした。すると、何だか自分用も欲しくなってくる。


 ーーーーセライアお姉さまと、ダイアナ様とお揃いの髪飾り…! すごく良い!


 姉のセライアとダイアナが直接面会することもないだろうと、自分の分と合わせて3つ、色違いでアンジェリアは買うことにした。


「おいおい…、そんなにたくさん買うのか? アンジェには…もっと高価な物が…」


 次々と購入を決めていくアンジェリアにレオンは呆れ顔だ。

 一方、オルソン公爵は店主と共に品を一つ一つ見ていた。どうやら偽物の宝石表示をしていないか抜き打ちでチェックしているようだ。店主はかなり緊張しているが、自信を持って受け答えしている。


 ーーーーこの店は信頼できそうね…


 それにしても貴族女性の買うものにぶつぶつ小言を言う王族って如何なものかと、アンジェリアはだんだんレオンに腹が立ってきた。ましてや、アンジェリアはサスティアル王国の王位継承権を持つ貴族なのだ。なのに姑みたいに、今も横で『もっと珍しいペンダントが…』などぶつぶつ小言を呟いている。


「もう! レオンったら、アクセサリーや置物は、高価であれば良いってもんじゃないのよ? 渡す相手の事を考えて選ばなきゃ! それに女性の買い物に小言も嫌。折角、連れてきてくれて嬉しかったのに」


 アンジェリアがくどくどうるさいレオンに言い返すと、レオンは慌てて言い訳をしだした。


「ーーっ! ごめん! ただ、アンジェにはもっと素敵なアクセサリーも似合うんじゃないかって…、楽しそうに買い物してるのに、その…、悪かった」


 素直に謝ったレオンに溜飲を下げ、アンジェリアが周りを見渡すと、店内の他の客達がチラチラとこちらを見ていた。


 ーーーーいけない、騒がしかったかしら…


 貴族として、店内で口喧嘩をするのは子供でも誉められた振る舞いではない。アンジェリアは反省して、さっき選んだ分を買い求めてお店を出ようと思った。

 ちょうど、オルソン公爵も店のチェックが終わった様で満足そうに店主と握手を交わしている。

 国を代表する公爵が一介の商人と対等に言葉を交わし握手をすることも、求心力を高める好手段なのだろうかとアンジェリアは感じた。

 アンジェリアの横ではレオンがまだ先程の言い合いを気にして、アンジェリアの機嫌を取るように話しかけていた。

 そこへオルソン公爵が買い物の様子を確認しに2人のもとへ戻ってきた。


「アンジェリア殿、レオン様、お買い物はお済みかな? そろそろ帰宅する時間のようです。おや? レオン様はまたアンジェリア殿の機嫌を損ねたのかね?」


「ちっ、違う! 私はただ…」


「うむ。レオン様は女性との買い物について少し勉強した方が良さそうだ。今度、ダイアナに教えを乞うとどうだろう?」


「……」


 アンジェリアに叱られ、オルソン公爵にも窘められたためか、帰りの馬車の中で、レオンはずっとシュンとしてうなだれていた。

 静かな馬車の中には、帰宅の途中に人気菓子店で買ってきたカヌレの甘い匂いが広がっている。

 落ち込んでいるレオンを見ていると、外出に誘ってもらった身としては少々気まずい。何と言葉をかければ良いかアンジェリアがおろおろ困っていると、オルソン公爵が助け船を出した。


「アンジェリア殿、お探しのプレゼントが決まったようで何よりです。レオン様も査察の息抜きになって良かったのではないですか?」


 明らかに馬車内の沈んだ空気に気を使って、オルソン公爵は発言をしていた。それが伝わったのか、レオンも気分を立て直し応えた。


「あぁ、街の消費動向も分かったし、アンジェとの散策も楽しかったーーまた、天気の良い日にでも一緒に…散策へ行こう」


 レオンがアンジェリアにまっすぐ視線を向けながら、緊張しているようにオルソン公爵へ言葉を返した。そんなレオンにアンジェリアはきょとんとしながらも、また皆と外出ができそうだと素直に喜んだ。


「はいっ! 今日はとても楽しかったです。また、皆で行きたいです!!」


 元気の良いアンジェリアの答えにレオンは明らかにホッとしたため息をつき、オルソン公爵は苦笑を返した。

いつもありがとうございます!

評価&ブックマークのご協力もお待ちしておりますm(_ _)m


3回目の婚約解消編はルカも出す予定です!

よろしくお願いします。

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