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神は勝手なのだと知っている  作者: 神狼 龍王《みたらしだんご》
第4章 暴虐なる獣と呼ばれた優しき獣
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第7話 目覚め

「は〜い、そ・こ・ま・で♪」


女の声が響いた。背がゾクゾクとするような、妖艶な音。同性ですら蕩かすような嬌声のような音。


ショーンもアクトもトーカもサクラも、ゆっくりと振り向いた。


「ルカセリア=アデウス、何の用だ?」


アクトによって、名が告げられる。


そこに居たのは、妖艶な美女。桃色の長髪、濡れた瞳は蒼。薄く染まる紅の唇。スッと通った鼻筋。陶磁のような白い肌。肢体は豊満で、されどどこか清楚な様子を漂わせる。


「ふふふ、ブレイブちゃんは相変わらずね〜。あ、今はアクトちゃんと呼んだ方がいいかしら?」


「……好きにしろ」


「ふ〜ん…ま、いいわ。そ・れ・で〜用件なんだけど〜。そろそろ、暴食の子が目を覚ますわよ?」


小首を傾げた、疑問のような断言。反応したのはサクラだ。


「え!?やっぱ、子守唄が途切れたから……」


「う〜ん?違うわよ。原因は、貴方が来たからよ。強欲さん?」


ルカセリアが指し示したのは、ショーンだった。


「アクトも言っていたがな。なんだそれは?俺が強欲の魔王?だから、なんだったんだ?」


「あら〜?、アクトちゃんも似たようなことで訪ねたのかしら?私もしかして、骨折り損?」


まるで困ったというように、身をよじる。その仕草ひとつひとつがどこか淫靡な様子を見せていた。


「フフ、まぁ、いいわ。アクトちゃんじゃあ、ケンカになっちゃったみたいだし。私から説明するわ。

強欲の魔王はねぇ。恐ろしく強かった。それこそ、現魔王の中で、最強と謳われるサタナエルすらも凌いでね。だから、彼は暴食の魔王に彼のペットを就かせた。自らの力を最大限に発揮して。愛しき子を守るために。

そして、暴食の魔王もまた、強欲に懐いていた。それは支配関係ではなかった。だから、強欲の死に耐えられず、彼は狂い、理性を捨て、今ここに眠っている。怠惰の魔王のチカラによって。

けれど、そこにかつての主人が現れた」


「だから、目覚めると?」


「そういうことよ」


「俺が強欲だとなぜ思う?」


「……貴方が振るう刀と鎌は、どちらも強欲がかつて手にしていた物。つまり、貴方の魂は強欲と同一。輪廻したと理解するのが普通よ」


ショーンは未だ握り締める新月に目をやる。これが強欲と同じ代物なのか?本当に?


俺は騙されてるのでは無いか?


疑えば、いくらでも否定できることだ。


「ふふふ、すぐにわかるわ。暴食が目を覚ます。貴方にじゃれついてくるだろうから、その時に判断すればよろしいわ?」


余裕の笑みは、随分と蠱惑的だった。







ーウア……ミュー……

ー……マダ、ネムい……

ーデモ、ゴシュジンソマのニオいが……

ーア……ア……ゴメンナサイ……

ーゴシュジンソマ、ボクは……

ーモう、


()()()()()()()


金色に輝く瞳は、ついに覚醒する。


一瞬の理性の中、獣はただ一人の主人への謝罪を述べる。


次の間には、その瞳は色褪せて自らの呪縛を引き千切る。


グウララルルルアァァァァアアア!!!!!






「……!」


「どうされましたか?」


「……目覚めた」


「そう、ですか」


憂鬱の侍女に世話をされていた主人が反応を見せる。

それに憂鬱は、静かに頷く。


遠い遠い時間だった。


遂にアレが、倒される。


世界を喰らう獣。ヒトの獣性を端的に表したかのような()()()()()()怪物が、遂に。


星の民は歓喜するだろう。世界は救済(滅亡)に一歩近づくのだから。

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