第3話 暗黒の森
読み直すとズレがあるような……
初期設定からあまり変更はないはずなんだけどなぁ
長く書ける人って、随分と王道邪道知識が豊富なんですねぇ
とかなんとか思う今日この頃です
実際問題、趣味の私は今読んでる作品に影響を受けている可能性があります
まぁ、ぼちぼちやって完結はさせますよ。たぶん……
夢忘れることなかれ、その森は生きている
ヒトが協定を破りしとき、ケモノたちは群勢となって迫り来よう
汝その森にて救われたくば、すべてを捧げよ
その森の支配者は寛容なれば
「ショーン君、なに読んでんの?」
「うん?暗黒の森の伝承まとめ」
ショーンたちは暗黒の森への道を馬車で順調に進んでいた。
暗黒の森は、エコールからだいぶ遠い。それは暗黒の森が帝国きっての大規模な魔物の領域であるからで、過去にこの森の開拓を試みた者たちは悉く散って行った。
「ふーん、でもさ。この協定ってなに?」
「ああ、これは森が三層に分かれていることに関係していてだな。浅層・中層・深層のうち浅層にのみ人間が立ち入っていいことになってんだよ」
「へぇー、なんでだろね。現実的に見れば、中層以降は犠牲者しかでないからかな」
「まぁ、大抵の伝承なんて、そんなもんだろうが。この世界はなぁ、魔族なんかもいるし」
「あー、魔物の統率?ができるんだっけ。確かに魔族が協定を結んでるんなら、現実的にあり得るものなのか」
ショーンとトーカは、雑談の中この世界の法則性のなさに呆れていた。
「しっかし、寛容なのにすべてを捧げよか。それはただの驕りだよなぁ」
「ははは、確かに。すべてってことは命もだもんねえ。何が救われるんだろ」
「さてな」
その伝承をショーンとトーカは冗談半分で捉えていた。
「ショーンさん。もうすぐ到着ですよ」
レイルの声に昼寝をしていたショーンは目を覚ます。
「うあ?もうか。おー真っ黒だな」
ショーンは暗黒の森の姿に軽い感嘆の声を上げる。
暗黒の森。木々の背はどれも高く、葉が生い繁り地表に日の光は届かない。それどころか、木々の葉はどれもがほぼ黒である濃緑色をしていて見た目にも真っ黒であった。
「さて、うんじゃあ、レイルとサクラとカーミラは留守番な」
「トーカさん、お願いしますね」「もちろんさー」
「むー」
「はいはーい。お姉さんに留守は任せなさーい」
ショーン、トーカとアニヤはレイルたちに馬車を任せ、暗黒の森へと向かっていった。
「しかし、魔狼ねぇ、どうやってさがす?」
わざとらしく、舌足らずな口調でアニヤが問うと
「血だな」「血だね」
ほぼ同時にショーンとトーカが答えた。
「あー向こうに来てもらうわけね」
危険な二人の考えにアニヤは呆れのため息を吐いた。
本当に二人は日本人なのだろうか。
数時間後、ショーンたちの周囲には、夥しい数の屍があった。そのどれもが無惨にも斬り捨てられ大量出血している。
「これぐらいやりゃ、充分かね」
「そだね。準備運動にもなったし」
「君たち、温厚な異界人じゃないのかい?」
アニヤの問いに二人は
「「デジマ」」
真顔で古いネタをぶっ込んで来た。しかも、状況にあってんのかよくわからないネタを。
おそらく二人としては「何言ってんのマジで」ぐらいの感覚なのだろう。
「この世界に適性があるから招ばれるんだろ。だったらこのくらいの破綻者じゃないと」
「そうそう。あの世界は停滞してる分、壊れやすいからね。表面的には、あと全体的には完成したシステムで回ってるけど」
「そですか」
二人の回答にアニヤはすべてを諦めていた。
日本人が温厚とは限らない。彼らの気質は、平和ではなく、仲間意識に強く偏っているからだ。今も昔も身内良ければ全て良しが日本人である。
一方、留守番組。
「レイル、暇」
「いえあの、サクラさんそう言われましても」
サクラが暇を持て余していた。
「むー、僕だってB級くらいならいけるのに」
「サクラちゃん、それは相手が単独の場合でしょ。あなた、持久力がないじゃない」
「むむ…」
カーミラの正論にサクラは何も言えない。
(私も本当はショーンさんと居たいですけど)
その様子を見ながら、レイルはショーンのことを思う。
「では、暇つぶしにアチェスでもしますか」
そう言いながら、カーミラが馬車から何かを取り出してくる。
「カーミラさん、いつの間にそんなものを」
レイルは若干呆れていた。
「おー、やるやる」
サクラは暇つぶしの登場に喜びの声を上げる。
アチェスとは地球で言うところのチェスと将棋の合いの子である。武官系の駒と文官系の駒がある。武官系では相手の駒を倒すだけであり、文官系ならば相手の駒を自陣の駒として使えるというルールだ。勝つには相手の駒の6割を倒すか寝返らせるかする場合と王の駒を取る場合の二つである。
「では、一局」
駒を並べ終わり、カーミラとサクラは早速に打ち始めた。
レイルはその様子を観察しながら、周囲の警戒を行う。
「ショーンさん大丈夫かな……」
心は上の空であったが。




