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乙女ゲーの妖精に転生したのでヒロインをモブに育てたい  作者: 星川 咲季
第1章 目指せ村人D! 幼女拾ってスローライフ
7/30

第7話 フラグ建築完了! ってバベルの塔並みの高さじゃない?




「あー……。全力でフラグを叩き折るつもりが、なぜか基礎工事だった時の絶望感、誰か分かる?」



──────



 ど、どうしよう。

 出ていくタイミングを完全に逃しちゃった。


 目をこすっていたデイジーはついにふらふらしだして……や、ヤバい、お眠で倒れちゃう!


「大丈夫か!」


「しっかり……!」


 座りながらもパタリと倒れるその瞬間、黄色髪の少年と、白髪の少年の二人がデイジーを支えた。


「こ、こんなに小さな子が僕たちを……!」


「この細腕のどこにあのような力が……!」


 うむ、デイジーを丁重に扱う。

 プラス5点、ガキんちょーズ。


「あんな凄まじい一撃を放ったというのに……どうしてこんなに、儚くて柔らかいんだ……」


「ああ。まるで、触れたら消えてしまいそうな……森の妖精みたいだ」


「ハインリヒ」


「ああ、ローベリア」


「今度は僕たちが彼女を守らなければならないようだ」


「そうだな、命の恩人だ。何としても守り抜こう」


 うむ、セリフはいいが、お求めではありません。

 ってか、デイジーが寝てるからと勝手に触るな。

 マイナス100点、ガキんちょーズ!!


「でも、こんな武器を持ったこともないような手で、僕たちを助けてくれたのか……」


「それでいてこんなに可憐とは……」


 や、ヤバい!

 このままエスカレートしたら、デイジーがあんなことやこんなことに!

 って10歳未満のちびっ子にされることはないとは思うけど、どどど、どうしよう?!


 ええーい、あれ、すっごく疲れるからあんまりやりたくないけど、四の五の言ってられないわ!

 行き当たりばったりで考えるのが苦手な私だけど、なんとかなるなる!


 と言うわけで、マジックハンドの魔法!


 有効範囲以上だと疲れがフィードバックするけど、気合いよ気合!

 デイジーを強引に立ち上がらせ、ふらふらとこっちの方に歩かせるように見せかける。

 今にも倒れそうな若干おぼつかない足取り、っていうかまるで夢遊病者のようだけど気にしない。

 うおおぉぉー、ヤァーッ! パゥワぁー!!


「な!? き、君! どうしたんだ!?」


「どこへ……!?」


 どこだっていいでしょーが!

 仕方ない、ここは煙幕もくっ、このままだとこいつらついてくるわね!?


 そうだ!

 濃霧の魔法(しろいきり)

 もういっちょ濃霧の魔法(しろいきり)


 毒とか一部の状態異常を防ぐ魔法だけど、重ね掛けすればもれなく視界不良。誰だろうと五里霧中よ。

 なんか使い方が違う気がするけど、きっと気のせいよね。


「なんだ、この霧は!?」


「ローベリア、気をつけろ!」


「分かっている! お、おい、君!」


 だああ!

 着いてくるなっての!


 仕方ない!

 こんだけ霧が濃ければいい感じに演出できるでしょ!


「その子に、触れるな……!」


 めちゃくちゃ力んでるからいつもより低い声な気がする!

 やだ、私の声カッコイイ!


「だ、誰だ!」


「君、行くな!」


 だからしつこいっての!

 おら、霧の大狼の魔法(真夜中の姿)よ!


「き、霧の狼!?」


「いったい何なんだ……!」


 よし、足が止まったわ!

 後少し!


「それ以上寄れば、命の保証は、ない」


「お、お前は……! その子をどうするつもりだ!」


「その子は普人だ、解放しろ……!」


 く……中々粘るわね……!

 仕方ない、ちびったらゴメンね!

 威圧をかける魔法(プレッシャー)


「黙れ小僧! 貴様らにこの娘が救えるか!」


「「ひっ……!」」


 たぶんちびってない!

 ヨシ!


 ちなみに脅しの言葉には何の意味もございませんわ。おほほ。


 デイジーは茂みに入り、ようやく私の眼の前に現れた。

 これでミッションコンプリート!

 無事に回収完了したし、霧が晴れる前にさっさと帰るわよ!


 追手が……いや、別に悪いことして追われてる訳じゃないけど、念のため着いてこないか魔法で確認しとくか。


 |遠くの声をこっそり聞く魔法ヒアリング


「若様! ご無事ですか!?」


「あ、ああ……」


 お、ちびっ子の護衛たちかな?

 ようやく来たようね。


「良かった……! 先ほど、凄まじい気配がしたので、まさかと思い急ぎ来てみましたが……無事なようで何よりです。ハインリヒ殿、貴殿も無事なようだな。若様をお守りいただけたようで……感謝申し上げる!」


「いえ、私は……相手に害意がなかっただけです」


「ふむ……まあ良い。続きは屋敷に帰ってから詳しく聞かせてくだされ。さ、若様もお戻りください」


 ふむふむ、撤収の感じみたいね。

 まあそりゃそうか。

 逆によくここまで来たと思うレベルだもの。


「……ん? なんだこれは。穴が3つ空いた布? なぜここに? まさかさっきの彼女の……?」


 え?


「若様、何を呆けておられるのです! さあ、奥方様も生きた心地がせずに帰りを待っておられます。すぐにお戻りを!」


「わ、分かっている! 今行く! ……命の恩人に、いつか返しに行かねば……」


 最後の方はさすがに遠くて魔法でもよく聞こえなかったけど、穴が3つ空いた布……?

 はは、まさかね……。



◆ ◆ ◆



 3つ穴の空いた布が非常に気になるけど、その後は何事もなく帰宅。

 ふぅ、もうこれ以上はコリゴリよ。


 デイジーを寝かせようとベッドに下ろすと、彼女は目を覚ました。


「ふぁ〜、おはよう、お姉ちゃん」


「おはようってより、こんばんは、だけどね。どう? 体調平気?」


「うん、寝たらスッキリしたわ」


「ああ良かった。「くぅ〜」……とりあえず、デイジーの可愛いお腹がペコペコみたいだし、夕ごはんにしましょう」


「う、うん」


 パゥワーマシマシのマジックハンドの魔法によりめっちゃ疲れたけど、まあヘロヘロになるほどじゃない。

 いや、嘘。

 だいぶヘロヘロだけど、夕ごはんくらい食べさせなきゃね。

 まあごはん食べれば何とかなるっしょ。


「ごめんね、お姉ちゃん。しっぱいしちゃった……」


 しょんぼりデイジー。

 正直ちょっとかわいい。


「いいのよ。名前もバレずに逃げ切れたんだし。妹の失敗をカバーするのが姉としての役割よ! そもそも、今回の作戦は私がお願いしたんだもの。頑張ったデイジーに感謝はしても、責めるなんて見当違いだわ!」


「うぅ……、ありがとう、お姉ちゃん! 大好き!」


「ありがとう、私も大好きよ!」


 とりあえずこれでフラグは折れたっしょ。

 うん、きっとそうに違いない!


 なんてったって、火吹き熊に襲われたり、霧の大狼に脅されたりと、デイジーよりもインパクト強いイベント盛りだくさんな訳だし!

 大丈夫だ、問題ない!


「あ、ところでデイジー、ここにあった、その、私の下着、知らない?」


 残り少ない布地を使ってこっそり作っておいたやつ。

 あれ、まだ試作中なのよ。


「あ! やっぱりお姉ちゃんのおパンツだったのね! えっと、ポケットに……あれ? ない?」


 ガッデム!

 どっか行った!

 っていうか、呼び方ストレート!


「ま、まあ失くしちゃったものは仕方ないか。それにこれで一件落着ね。あとはこのまま静かに暮らせば、あいつらもデイジーのことなんて忘れてるでしょ」


 とりあえず終わり良ければ全て良し!




 ──それが、今日の事件が、全ての始まりだったなんて。当時の私は知る由もなかった。







明日18時に更新予定です。

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『ネコミミ娘に転生したので楽しく気ままに生きたい』
※前作を読まなくても本作のストーリーには影響しません
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