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乙女ゲーの妖精に転生したのでヒロインをモブに育てたい  作者: 星川 咲季
第1章 目指せ村人D! 幼女拾ってスローライフ
5/30

第5話 強制イベントは突然に。攻略対象、来襲!




「あー……。デイジーが可愛すぎる。平和で幸せな一般人モブエンドを目指したい。だけど、こういう時に限って向こうからフラグが全力疾走してくるのよね……」



──────



「……ん?」


 なにやらだんだんと森の入口方面から大きな怒号と、剣戟の音、そして僅かに焦げ臭い匂いが漂ってくる。


「え!? ま、まさか人間!?」


 剣戟とかこんな人工的な音は人間しかあり得ない。

 なんでわざわざ危険なこの森に?


「うーん、デイジーを連れ戻しに……?」


「えっ」


「いやいや、そんな訳は無いはずよ。私に用があって来てる可能性のほうが高いわ。安心なさい」


 うっかり口を滑らせたけど、デイジー関係はあり得ないわ。

 それにしてもデイジーにこんな曇り顔をさせる人間ってどんだけよ。

 会うつもりも会わせるつもりも無いけど、万が一出会うことがあったら、それはもう丁寧なイタズラをプレゼントしてあげなくちゃね。


 まあそれはいいわ。


「でも雰囲気からすると、どっちかって言うと……会いに来たってよりも、追い詰められてる、のかも?」


 う〜〜〜〜〜〜ん…………。


 正直、この森に来る連中はどうでもいいのよね。

 ただまあ、デイジーのような子どもだったら寝覚めが悪いし、様子を見に行っても良いのかもしれない。


 迷った時は勢いに任せて行動よ!


「あんま考えても仕方ないし、念のため様子を見に行こうかな。デイジー、あなたはどうしたい?」


「え? 私?」


「うん、様子見に行く?」


 でもまあ、ぶっちゃけ、デイジーが嫌がるなら放って置くけど。


「えっとね、ちょっと怖い、けどお姉ちゃんが一緒なら平気! もし困ってる人だったら助けてあげようよ」


「やーん、いい子ね! よし、んじゃ早速行くわよ!」



◆ ◆ ◆



 っというわけで、こんにちは。

 こちら、茂みの影からこっそり覗き見をしている私ことガーベラと、デイジーよ。


 なんと目の前ではボロボロになりながらも、火吹き熊と応戦してる二人の少年がいるではありませんか。


 こいつら、きっと貴族のガキんちょどもね。

 だいぶボロボロだけど、高級そうな身なりしてるし。


 うーん、それにしてもどこかで見たことあるような?


「黄色い髪に生意気そうな紫色のツリ目な坊っちゃんと、護衛のように振る舞う白髪に赤目の剣士。泥だらけで半べそかいてるけど、隠しきれないくらい顔面偏差値が高いなこの二人……え、あれ!?」


 ぎょえええぇぇぇ!!??


 またも思い出したぁァァァ!!!


 乙女ゲーの攻略対象、ローベリアとハインリヒじゃん!!

 ローベリアの顔には傷が無いし、二人ともちびっ子だけど、間違いない!

 出会うのはもっと先の話でしょ!?

 なんでこんな辺境の森にいるのよ!!


「お姉ちゃん、そんなに驚いた顔をしてどうしたの? 知り合いだったの?」


「い、いえ、私が一方的に知ってるだけよ。なんでこんなところにいるのかとびっくりしただけよ」


 叫ばなかった私、グッジョブ。

 デイジーも空気を読んでひそひそと話してくるのもグッジョブ。


 それにしても、なんで乙女ゲーのフラグが向こうから……。

 もしかして顔の傷って今できるとか?


 いやいや、そんなまさか。


 と言えないのが悔しい!


 強制力、恐ろしい子……ッ!(白目)


 ホントに強制力だとしたら怪我で済むんだろうけど、傷が残ったら可哀想だし、そもそもとして火吹き熊相手に生き残れる保証なんてないのよね。


 お呼びじゃない。

 お呼びじゃないけど、このまま見殺しにするのは寝覚めが悪い。


 ガキんちょーズは、悲壮な表情をしつつも、文字通り必死に抵抗してる。

 でも幸いにして、あの火吹き熊は、いつもイタズラしてる個体の子どものようで、じゃれてるようにしか見えない。

 よし、まだ余裕はあるわね。


「さて、どうしよっかな……」


 ここでデイジーが華麗に助けたら好感度爆上がりからのフラグ乱立!

 そうなったらせっかく私が考えたデイジー幸せ一般人モブエンド計画が水の泡に!


 うーん、なにかいい案が……


 \ピコーン/


 閃いたわ!


 昨日に続いて完璧で究極な案が思い浮かぶとは……さすが私の灰色の脳細胞!

 自分の才能が恐ろしいわ!


「デイジー、作戦を考えたの。聞いてくれる?」


「もちろんよ、お姉ちゃん!」


 妖精がこんな辺境の森にいるなんて広がれば、あっという間に身バレしてこの快適スローライフが終わっちゃう。


 でも、こんな危険な森に住んでる村人なら倒せて当たり前って感じじゃない?

 ほら、よくあるラスダン手前の町や村にいる一般人的な感じで。


 だから、デイジーにAPをドカンと注ぎ込んで一瞬で魔物を倒させ、名前も名乗らず芋っぽくダサい感じで走り去る、通りすがりの有能な村人D(モブ)作戦が成り立つッ!


 さらに、デイジーの訓練にもなる!

 ガキんちょーズも助かる!


 まさに一石二鳥どころか一石三鳥!

 私ってば天才美少女姉妖精ね!


 実地訓練もといピクニックの間にもAP使ったけど、控えめだったし、まあまだ大丈夫でしょ。


「私がデイジーに加護をかけてあげる。そうすれば昨日のようにパワーアップするわ」


「そっか、すっごく調子が良かったのってお姉ちゃんが手伝ってくれたからだったのね」


「そうよ。でも一時的だからあんまり無茶できないの。それに、見つかったら面倒なので、サクッと助けて、ササッと逃げるわよ!」


「うん、分かったわ。うまく行くよう頑張るね!」


「いい? デイジー。助ける時は「ふっ、怪我はないか?」とかカッコいいこと言っちゃダメよ! 「うおおおお! 邪魔だどけー!」とかそんな感じで助けて、逃げる時は「早く家に帰らなくちゃー!」って感じで、あくまでかっこ悪くいくのよ!」


 勝負は戦いが始まる前から決まってるって言うじゃない。

 つまり、何が言いたいのかと言うと、勝ったッ!

 第5話完!







明日18時に更新予定です。

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『ネコミミ娘に転生したので楽しく気ままに生きたい』
※前作を読まなくても本作のストーリーには影響しません
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