第4話 森のピクニックと姉妹の絆(とノーパンのこだわり)
「あー……。鬼畜AP管理にした乙女ゲーの運営には文句を言いたい。AP切れのペナルティ、いくらなんでも重すぎない?」
──────
結局、あの後デイジーは完全に寝てしまった。
APが効いてる間は元気いっぱい、魔法使いたい放題だったけど、APが切れた反動か、単に疲れがどっと押し寄せたのか、まあ年相応に遊び疲れて寝ちゃったってところかしら?
寝顔にイタズラしたくなる気持ちが湧いてこないこともないけど、さすがに妖精の私だって自重するわよ。
マジックハンドの魔法により、デイジーを抱えて家に戻る。
冒険者時代の友達に教えてもらったこの魔法は、パワーは本人依存だし、有効距離は大人の女性腕一本分程度までしか届かない。
でも、体が小さな私からしたら、自分よりも大きな物を持ち運べるしすごく便利なのよねえ。
ちなみに妖精は体が小さくても、パワーは大人の女性程度はあるのよ。
クタクタに疲れたデイジーにこれ以上無理はさせられないので、その日はサバイバル術の知識を面白おかしく話しながら、二人でゆったり過ごした。
あ、言っておくけど、デイジーを拾った日のうちに、家は普人の子どもでも過ごせる程度には大くしたわよ。まあ建築の知識なんて無いから、嵐が来たら壊れちゃう程度のやっつけ仕事で作ったものだけど。
「うーん、APの効果がある間は、デイジーの成長率や魔力量がとんでもないことになってるとはいえ、さすがに限界までAPを使うのは危険だわ。魔物に襲われてる最中にAP切れとか洒落にならんし」
そんなことを考えつつも翌朝。
「今日はAPの残量を気にしてみなきゃね。さ、デイジー、準備できた?」
「もちろんよ!」
最低限の武装として、私は昨日のうちにナイフを渡してあげた。
このナイフは使ってなかった解体用のものだけど、まあ無いよりかはマシでしょ。
そもそもデイジーは荷物なんて持ってなかったし、質素な令嬢服だけという、まさに着の身着のままのストロングスタイルなわけなんだけど。
「うん、大丈夫そうね。今日は森の浅いところで実地訓練よ!」
幼女に本格的な訓練はさすがにどうかと思うので、実質ピクニックなのよね。
と言うわけで、早速出発!
◆ ◆ ◆
「そう言えばお姉ちゃん」
「何かしら?」
「私、お着替え持ってないけど、どうしよう? 昨日も下着を洗ってなかったわ。私もノーパンの方が良いのかしら? あ、分かった! お姉ちゃん、下着洗うの面倒だからノーパンなんでしょ!」
「違わい! とにかく、下着だけじゃなく服も大丈夫よ。デイジーが寝てる間に私が魔法で浄化しておいたからキレイなの」
「あ、そうだったんだ。ありがとう! そっかー、だからあちこち汚れてたと思ったのに、すっごくキレイだったのね。あれ? それじゃあなんでお姉ちゃんはノーパンなの?」
「……街からこの森に引っ越す時、荷物をみーんな置いてきちゃったから、かな?」
「ふーん、そうなんだあ。下着までぜーんぶ置いてきちゃうなんて、おっちょこちょいなお姉ちゃん!」
「ま、まあね〜。あの時は急いでたから仕方なかったのよ……。まあ人目が無く、慣れれば解放感があっていいし?」
「今は私がいるよ?」
「だから早く欲しいのよね……なんならデイジーもノーパンする?」
「えー、ちょっと恥ずかしいかも」
「ですよね!」
なんだかデイジーってば、私の下着の有無についてやたらと執着してるような気がしないこともない気がするけど……まあお子様なんてこんなものよね。
◆ ◆ ◆
そんなこんな雑談をしながら、庭からちょっと行ったところで、って言っても家も庭も森の中だけど、とにかく薬草やハーブを採取したり、小さく弱い魔物をあしらったりする。
強いやつは私がイタズラ(意味深)しまくって近寄ってこないので、家の近くなら比較的安全なのよね。
APを少しだけ付与してあげれば、昨日のような異常とまでは言わないけど、かなりの成長率と魔力量で魔法を使うデイジー。
うーん、私の加護、もといAPの補助もあるにしたって、デイジーは天才なのでは?
「うんうん、一般人なモブとしての自活能力が着実に育ってるわ!」
突然のAP切れが怖いし、普段はまあこんなもんで良いでしょ。
私は後方腕組み姉面ができてご満悦である。
「お姉ちゃん! この薬草って、ええと、ポーションの素材になる薬草で、黄色い小さな花と実がついてて、花弁が5枚で、実の中には細かい種子がたくさん入ってる、エレクタームって言うお名前の薬草でいいんだっけ?」
「そうよ。凄いわ、デイジーは物覚えが良いわね」
ちなみに薬草の名前は友達に教えてもらうまで私も知らなかった。みんな薬草ってしか言わないし、薬草で通じるから問題なかったし。
「えへへ〜、ありがとう! なんだか私、お姉ちゃんと一緒に過ごすようになってから、とってもお利口さんになった気がするの!」
「いやいや、デイジーが頑張ってるからよ」
「そうかな? あ、お姉ちゃんが凄い先生だからかも! きっとそうね! 大好きよ、お姉ちゃん!」
「私も大好きよ、デイジー!」
良い子すぎる!
デイジー、めっちゃ良い子すぎる!
私の母性が!
姉パゥワーがすごく高まってる気がする!
ってか私に母性なんてあったんだ!?
それにしても、こんなに可愛くて良い子を森に捨てるとかどんだけよ!!??
これは何が何でもデイジーの幸せ一般人エンドを目指さねば!




