第3話 妖精、ガバガバAP管理の恐ろしさを知る
「あー……。森でのノーパンライフの快適さを教えたいけど、さすがに教育に悪いわよねえ」
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とりあえずいつもの庭先で野菜や果物をサクッと収穫し、朝ごはんを済ませる。
「ごちそうさま。どれもこれもすっごく美味しかった!」
「お粗末さま。そうなのよ、この森で手に入るものって基本美味しいのよね。ま、火を使った料理はまたお昼や夜ごはんにでも作ってあげるわ」
今朝はたくさん話して時間があんまりなかったから、基本的にほとんど手間がかからないものだけだったしね。
「さてと、それじゃあ朝ごはんも食べ終えたことだし、早速サバイバル術の授業を始めますか」
「わー! 楽しみ!」
「ふっふっふ、最初の課題は……ズバリ! お水の確保よ! なぜなら水飲まないと人間は死ぬ」
ちなみに妖精はそんなに飲まなくても問題ないけど、さすがに普人であるデイジーは水がないとダメでしょ。
「あ、そっか、そうよね。あと、顔洗ったり、おトイレだったり、食器洗うのも使ってたね」
「そうそう、そういうこと。飲水や料理、家事をするにも必要よ。何だったらお風呂にだってね」
とにかく無いと困ることだらけなわけよ。
「んじゃ早速始めますか。デイジーは魔法の使い方、知ってる?」
「よく分かんないけど、魔力を使うとなんか起きるのよね?」
「うーん、まあざっくり言うとそうね。ま、それだけ知ってれば何とかなるでしょ! とりあえず、水の確保は魔法が基本。魔法で水を出せるかやってみて」
ホントは体内にある魔素を魔力に変換し、その魔力を起こしたい現象をイメージしながら放つと起きる現象が魔法、なのよね。
ま、友達の受け売りだけど。
私は行き当たりばったりで考えるのが苦手だけれど、それっぽいイメージと勢いだけで魔法が使えてるあたり、やはり妹育成天才美少女姉妖精であるのは確定的に明らかだわ。
「え?」
「え?」
「ど、どうやるの?」
「こう、こんな風に使いたいと思ってエイヤってやればできるもんじゃないの?」
「そうなの? できないよ?」
「「……」」
も、もしかしなくても普人の子どもって、最初は魔法使えないの?
いや、冒険者時代の獣人の友達はバンバン使ってたし。いやいや、その友達ってば自分を基準にしないでって言ってたような気もするからこんなもんなの?
普人だって練習すれば多少なりとも使えるはずよね?
「と、とりあえず、魔力を作ってみるところからするわよ。私が魔力感知で作れているか確認したげるから、こう、気合を込めるような感じでやってみて」
「う、うん、分かった……むむむむっ!」
うーん、全然デイジーの魔力を感じられない。まだコツが掴めてないみたいね。
さて、どうしたもんか。
うーん、なにかいい案が……
\ピコーン/
閃いたわ!
昨日、デイジーは衰弱状態から加護であんなに元気になったんだから、元気な今使えば気合爆発もりもりMax間違いなし!
善は急げ!
と言うわけで、早速デイジーに加護……いや、もうAPでいいや。APを付与してみる。
エイヤ!
「むむむむ……あれ? なんか温かくなってきた? お姉ちゃん、これ魔力かしら?」
いや待てい。早すぎ!
できるようになるまで早すぎよ!
これが加護(AP)の力!?
「さすがよ、デイジー。まさかもう魔力を作り出せるように……っていやいや、え、魔力量多っ、ちょ、ちょっと、大丈夫なの?」
明らかに普人が出して良い魔力量じゃなくね?
魔素切れしないの!?
ま、まあこれもAPのおかげよね?
「ううん、全然大丈夫! むしろ絶好調よ!」
「なら良いのかな? まあ良いわ」
良く分からないけど、問題ないならヨシ!(現場にいそうな猫のポーズ)
「それじゃあ水を出すイメージをしながら魔力を出すのよ」
「うーん、魔力を出すってよく分かんないけど……こうかな?」
「お、出た出た。ちゃんと水が出たわね。人差し指から滴るようなイメージかしら?」
魔力量に対してささやかすぎるけど、まあ幼女のイメージはこんなものよね。
「もったいないし、デイジー用に用意したこのコップに入れるわよ、ってなんか水量多く……いや、溢れてる溢れてる! ちょーっ! ガボガボガボ……!!」
「あはははっ! お姉ちゃん、流れていっちゃったー!」
バケツをひっくり返したような水量でコップごとゴロゴロと流されちゃったけど、ま、まあ合格よ。
とりあえずデイジーの元までふわふわ飛びながら戻る。
「や、やるわねデイジー。イタズラ好きな妖精と勝負できそうな良い水魔法だったわ」
「お姉ちゃんびしょびしょ! ノーパンで良かったね!」
「ノーコメントで!」
初めて魔法を使ったけど、これだけ威力を自由自在にできるなら、立派な一般人(?)としてすぐに生きていけるようになるわね!
私の育成プランは完璧!
「さてお次のサバイバル術は――」
火種の魔法とか、風の魔法とか、土の魔法とか諸々試していった。
アフロになったり、風で飛ばされていったり、土に埋まったりと、トラブルがあったのは御愛嬌。
むしろ妖精的には最高のスパイス!
デイジーは妖精の才能があるわね!
うーん、順調順調。
「ところで、APの残量ってどうやって分かるのかしら?」
私の加護にUIなんて親切設計は無い。
それにしても、どの魔法も初めてとは思えないほどの急成長ぶりに驚きつつも、これがヒロインチートか……とどこか納得。
いや、そうじゃないわ!
才能を引き出したのは私なんだから、「デイジーは私が育てたのよ」と後方腕組み姉っぽい感じができるのでむしろアリ!
むほぉー!
「まあいっか。よく分かんないけど、残量は疲労感とかそんな感じで分かるっしょ!」
っていうか、順調すぎて楽しすぎる!
こりゃもう【第1部 修行編 完!】って言っても過言じゃ
プツン
「あ」
なんか突然APが切れたっぽい。
そしてさっきまでお隣で迸るって程でもないけどバンバン感じていた魔力が突然霧散した。
あ、あるぇ?
楽しさテンションMaxなデイジーは魔法を放とうと構えてたけど、急にピタリと止まり、立ったまま大人しくなる。
「ちょ、ちょっとデイジー?」
そこにはさっきまでAPによるヒロインチートで急成長を遂げていた面影は全く無い。
器用に立ったまま船を漕ぎ始めるとかどんだけ!?
「いやいや、さっきまでの無双はどこ行ったのよ!? なんで急にごはん食べたあとの電池切れ幼女になってんの!?」
いや、確かにさっきまで幼女が休憩無しでサバイバル術の習得もとい遊び続けてたけどさ、AP切れでバフが無くなった……ってコト?
「UIが見えないって……これ、肝心な時にAP切れたらヤバくない?」




