第2話 一般人(モブ)化計画、始動! 私は今日からお姉ちゃん
「あー……。まさか私の魅惑のノーパンライフが、幼女を拾ったことで儚く消え去ろうとしてるとは……」
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そこは木漏れ日が降り注ぐ森の奥深く。
私は今、肌触り最高な超高級ワンピースを着て、でも下はスースーの解放感あふれる状態だ。
いつもなら、このふかふかの苔のベッドに大股開いて寝転がっているけど、今日からはそうも言っていられなくなるかもしれない。
今日も朝から元気いっぱい!
だらだらしつつ、ふかふかの苔のベッドで二度寝を決め込むぜ!
としたいのは山々だけど、拾った幼女もといデイジーと話し合わなくちゃよねえ。
結局、デイジーは私の加護によって一時的に元気になったとはいえ、やっぱり衰弱が激しかった。だから、昨日は食事を与えて寝かしつけた。
そうそう、昨日初めて効果が判明した謎スキルもといAP、あれ、私の加護だったわ。
妖精は個体ごと、特殊な種族ごとに加護が異なるのよ。でも、今まで私の持つ加護ってイマイチよく分からず何だろうって思ってたのよね。
それがまさかこんな形で、こんな効果だと判明した訳だけど、なんでよりによってAPなのよ!
普通、ヒロインの特殊能力がAPだと思うでしょ!
ヒロインのAPが妖精頼りなんて思わんでしょ!
まあ私の加護がAPなのは分かったわ。文字通り、アクションポイントで良いわよ。
別に今まで加護が無くたって全く困ったことなかったし。
さて、いつまでも寝かせておいてあげたいけど、そろそろデイジーを起こさなくちゃ。
「ほらデイジー、朝よ。起きなさい」
昨日と同じく、幼女の額をペシペシと叩く。
「うぅ〜〜ん……」
「ぶべっ!!」
寝返りと同時に手で払われ弾かれる私。
痛くはないけどびっくりするからやめてほしい。って、この行、昨日と同じような気がするけど気のせいよね。
「おはよう。体調はどう?」
「おはよう、ガーベラお姉ちゃん。……うん、大丈夫そう。こんな暖かくて調子の良い朝は初めてよ。ありがとう」
「そう、良かったわ」
寝てる間に身体に負担の少ない回復魔法をかけといたから大丈夫とは思ってたけど、良かった。
若干、心配になるようなコメントが聞こえたような気がしたけど。
「あ、ツルツル。……やっぱり今日もノーパン?」
ですよね!
ふわふわ浮いてるもんだから見上げられると丸見えなの、また忘れてた!
ってかどこ見てた!?
妖精はみんなこんなもんよ!
ほっとけ!
「これには山よりも高く、海よりも深い深〜いわけがあるのよ。後で何とかするのでそっとしといて」
「分かったわ。……ん? あれ? 私の前髪のここの色、ちょっと変わった? お姉ちゃんと同じ、ピンク色になってる」
うげげっ!!
「あー、そ、それはね。……そう! 妖精の、加護の証よ! 名誉なことなのよ!」
そっちもですよね!
ギリギリ嘘は言ってない!
昨日フルパワーで加護による力を流し込んだせいで、一房変色しちゃっただなんて言えるわけ無いじゃない!
「わ、そうなんだ。この色、お姉ちゃんとお揃いで、嬉しい」
うおぁー!
良心が痛む!
私が耐えられないので話題そらさなきゃ!
「で、お家はどこ? 親は? 助けるとは言っても、通すべき筋は通さなきゃいけないし。私はしっかりした妖精なのよ」
「あ……」
一瞬、子どもがしちゃいけない表情をしたと思ったら、すぐに俯いた。
え、怯えてる?
どゆこと??
「お家は、もう無いの。森に、置いていかれちゃった……」
「は? はあぁーーー!?」
一瞬あっけにとられ、でも怒りで叫んでる時にちょっとだけ思い出した!
ゲームの序盤設定で、ヒロインは継母に虐待されて森に捨てられた不遇の令嬢だったじゃん!
え、なに?
ここで親元に返したら、即行でバッドエンド直行&確定じゃん!
そこで問題よ!
私の平穏なスローライフを守るためには、どうやってフラグをへし折るか?
3択 ─ ひとつだけ選びなさい
答え①
美少女妖精のガーベラは突然解決するアイデアを閃く
答え②
冒険者時代の仲間、もとい獣人の友達が来て助けてくれる
答え③
諦める。現実は非情である
私としては、「答え②」に○を付けたい。非常に付けたい。
面倒を丸投げ、じゃなくて色々とお世話になった頼もしい友達にお願いしたい。でもあいにく、この森は辺境も辺境。さらにそこそこ深いところに私たちはいる。助けに来てくれることは期待できないわ。
当然、「答え③」は論外よ。
(1) デイジーを親元に返す
虐待ルート一直線。胸糞悪いので却下。
(2) デイジーを孤児院や人間の街に預ける
いずれ乙女ゲーのメイン舞台に立つことになり、攻略対象と出会ってしまう可能性がある = フラグ直行だからこれも却下。
(3) なすがまま! 運命を受け入れる
私がスローライフできないので却下。
ふふっ、となると、やはり答えは…………①しかないようね!
私の平穏なスローライフと、デイジーの幸せを満たすには、この子をメイン舞台である王都や学園に関わらないよう全てのフラグを叩き折り、平和な一般人エンドに導く他無いわね!
通すべき筋?
そんなもん火吹き熊に食わせるわ。
「……分かった。全て分かったわ、デイジー。今まで本当に大変だったわね。よく、頑張ったわ。この私、妖精のガーベラが、あなたの親であり姉になったげる。だから、もう安心なさい」
「え……良いの? 私の、お姉ちゃんに……なってくれるの?」
「もちろんよ! 言ったでしょ。助けてあげるって」
「……ありがとう。ありがとう! お姉ちゃぁぁあん!!」
そっか、そうだよね。
少しの間、そっとしておいてあげましょう。
◆ ◆ ◆
「どう? 落ち着いた?」
「ぐすっ……うん……」
あー、柄にもなくあんな優しい言葉をかけちゃったもんだから、エラい目にあったわ。
抱きつかれたっていうか、抱き上げられたっていうか、とにかく両手でぎゅーってされたもんだから、涙はまだしも、鼻水まみれにされて、もうハンカチの気分よ。
「じゃあこれからのことを話すわね。私は助けるとは言ったけど、デイジー、あなたをただ甘やかすことはしないわ。いずれ街に行ったときに困らないよう、一人の人間として自立できるようにしてあげる。どう? イヤとは言わせないわよ?」
「うん……うん! もちろんよ!」
「いい覚悟ね。それじゃあまずは身を守る魔法とサバイバル術を教えてあげる。直近の目標は森での自給自足と、あの火吹き熊に出会っても軽くあしらえる程度の強さよ!」
「分かった! お姉ちゃん、これからよろしくね!」
「ええ、よろしくね!」
計画通り
行き当たりばったりな私がここまで考えに考え抜いて立てた計画。
『デイジーを一般人にする計画は遂行する』『妹も守る』。『両方』やらなくっちゃあならないってのが『天才美少女姉妖精』のつらいところね。
覚悟は良いわね?
私はできている。
誰もが幸せになれる、完璧で究極な計画ッ!!
ここに始動ッッ!!!
「あ、お姉ちゃん、サバイバルにはやっぱりノーパンがいいの?」
「ケースバイケースよ」
そこには触れないで!




