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乙女ゲーの妖精に転生したのでヒロインをモブに育てたい  作者: 星川 咲季
第3章 迫る破滅フラグと絶体絶命のAP枯渇
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第19話 平均的な薬草採取と、ドリル令嬢の不穏なポケット




「あー……。色々あったけど、いよいよ薬草の森での演習スタートよ。頼むからこの最強(で変人だらけ)の布陣で、何事もなく平穏に終わってちょうだいね!」



──────



 森に入り、薬草採取スタート。


「デイジー、ちょっと……」


 カモン!


「薬草採取なんてお手の物だけど、フツーの平均的な薬草にするのよ」


「え? なんで?」


「そりゃアデルハイトやハインリヒよりも凄い薬草を取りまくったら可哀想じゃない」


「うーん、そうなのかなぁ? まいっか。分かったわ、お姉ちゃん!」


 素直なデイジーに後方腕組み姉妖精はご満悦である。


「あ、あそこに凄く綺麗な薬草があるわ」


「ダメよ! これは平均じゃないわ! こっちの、どこにでもある雑草……じゃなくて、普及品の薬草を摘むのよ!」


「え〜」


 と思っていたものの、デイジーが採取しようとするフツーの平均的な薬草は、私たち基準の良い品質のフツー。

 わざわざ普及品レベルのビミョーな薬草を採取するのに抵抗があるっぽい。

 ままならない!


 うーん、なにかいい案が……


 \ピカーン/


 閃いたわ!


「デイジー、せっかく良い品質の薬草があるのに、それではなく、なんでわざわざ普及品の物を採取が必要だか分かる?」


「え? うーん、何かしら。考えたことも無かったわ。どういうこと、お姉ちゃん」


「難しく考えることはないわ。普及品ってことは、それを使ってポーションを作ってるってこと。いつも使ってる薬草の中に良いものが入ってたらデイジーはどう思う?」


「ラッキーって思うかな?」


「そうね、私もそう思う。ただ、それは個人で使う分とかそういったことの話。良い品質の薬草なら良いポーションが作れると思うけど、お店で売るものに品質にバラつきがあったらどうかしら?」


「ん〜〜……あ、分かったかも。効果が高い事を期待して買ったのに、効果が低かったらがっかりだわ」


「そういうことよ。同じ商品なら同じ効果が重要ってこと」


「なるほど! ありがとうお姉ちゃん!」


 屁理屈みたいなもんだけど、まあ事実ではあるでしょ。きっと。

 高めの値段設定にした高品質ポーションとして売り出せば良い、とかいうこともあるけど、それは置いといて。

 とにかく、デイジーが納得してくれたようで良かったわ。

 

 そんなわけで、デイジーの適度に優秀だけど目立たない一般人(モブ)田舎娘化に少しでも近づけそうで良かったわ。

 しっかり学ぶデイジーに、後方腕組み教育姉妖精はご満悦である。


「……なるほど! 必ずしも良いものが最上ではない場合もありえる、と。妖精流、奥が深い……!」


 聞き耳を立ててる自称弟子は放っておきましょう。


「お、これなんて良い感じの薬草じゃないかな?」


 オーブ、こいつは大半が普及品レベルじゃないの。

 やはりモブのプロは格が違うわね。


 アデルハイトは、みんなが採取してる時の見張り役。

 なんだけど、何だか上の空?


 高級志向そうなドリル令嬢のことだから、「そんな質の悪い薬草を摘んでどうしますの!」とか言ってきそうな予感がしてたんだけど……森の奥の方を気にしたり、ポケットの中身を気にしてる。


「ローゼンベルク嬢、顔色が悪いぞ。疲れが出たのなら無理せず声をかけて欲しい」


「……いえ、なんでもありませんわ」


 どうやらハインリヒも彼女のことを気にしているっぽい。


 うーん、アデルハイトがキーキー言わないと、テンション上がらないわね。

 調子悪いのかしら?

 それとも、普段来ないところで不安なのかしら?

 あんまビビってる感じじゃなさそうだけど。

 そう思って私も声をかけてみた。


 ん?

 お花摘み?

 そう、それなら仕方ないわね。


 見送る姿に違和感がある。

 彼女がコソコソしているなんて、らしくない。

 何だろう?

 漠然とした若干の不安を感じた。



◆ ◆ ◆



「お姉ちゃん、普及品の薬草だいぶ取れたね」


「そうね、上出来よ!」


 まあ最初に採取した最上級を除くと、普及品のみってのも凄い話ではあるけど。


「ふっ……私も中々の成果だな。それに屈んでの作業による負荷、観察眼の訓練。地味ながら重要な修行であった」


 ハインリヒはなんか勝手に盛り上がってるけど、まあ本人が満足ならヨシッ。


「よし、みんなの足を引っ張らなくて一安心だ」


 オーブは空気を読まずマイペース。むしろ良質なものもちらほら入ってるので、もしかしたらこの班ではトップだったり?


「………まあこんなものですわ」


 アデルハイトが採取した薬草は、低品質から高品質まで見事にバラバラ。

 どうしちゃったのかしら?

 こんなところで手を抜くようなやつじゃないのに。


 それにしても、何だか静かねえ。

 いや、アデルハイトじゃなくて、森が。

 何だか嫌な予感がするわ。


「お姉ちゃん、なんか変な感じしない?」


「デイジーも気がついたわね。ちょっと警戒を……!」


 風に乗って、微かに異音が混じった。

 キーンと、超音波のように甲高い耳鳴りみたいな音が。


 ちょっと待って。

 薬草の森って強い魔物って出ないんじゃなかったっけ?


 嫌な予感が的中しそうなんだけど。


 また、森の遠くから、妖精には聞こえるけど、普人には聞こえない高音域の響きが伝わってくる。

 今度はさっきより大きい。


 危険でヤバい魔物の接近に、私は冷や汗を──









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※前作を読まなくても本作のストーリーには影響しません
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