第10話 30センチの妖精、初めての学校生活
「あー……。妖精の私が学校に通うことになるなんて。しかも妹の同級生として。楽しいスクールライフが私を待ってる! って言えたらどれだけいいのやら……」
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他種族が行き交う学校の門をくぐる一行。
デイジーの肩には、特注の極小サイズの制服に袖を通した私が座る
そしてその後ろにはエプロン姿のバナ助が続く。
この女子生徒の制服、可愛いのよ!
セーラー服を基本としてるのかな?
国立学校指定の制服だからか質感はかなり良いわね。妖精仕様は背中空いてるけど。
さすがにいつも着てる超高級ワンピース程じゃないけど、まあ我慢はできるかな。改めて考えるとあのワンピースは羽もすり抜けるしどうなってんの?
ただしパンツ、オメーはダメよ。
パンツはドロワーズが主流で、付け心地はフィット感が無いためよろしくない。とは言え、さすがに王都でノーパンはフツーに死ねるから付けざるを得ないけど。寮の部屋に行ったら脱ごうかな……。
今度獣人の友達に会ったらワンピースと同じようにツテを使って下着を作ってもらおう。王都にいるし、冒険者ギルドを経由すれば何とか連絡つくっしょ。
とにかく、貯金がすっからかんになっても問題ないほど欲しい!
「おはようございます!」
周囲の生徒から私へ視線が集まり、当然私の隣にはデイジーの頭があるもんだから、デイジーとも目が合う。
そんな感じでデイジーは挨拶しまくってる。
ちゃんと挨拶できて偉いわ!
ちなみに、その後に続くバナ助を二度見するまでがセットだ。
まあ火吹き熊って高ランクの魔物らしいし、仕方ないわよね。
辺境の森にある我が家については、バナ助の父に貸している。
バナ助の父も、何だかんだとよく家に来てたし、諸々の家具の使い方は見て学んだようだし、ある程度は任せておけるのよね。とはいえ、所詮は火吹き熊だし、畑もろともダメになった時は、まあそんときゃそん時よ。
「んじゃ、バナ助はここに書いてある学生寮の厨房に挨拶に行きなさい。あんた話せないし、腕章外しちゃダメよ。あと、この紙を料理長に見せるのよ」
「グアグア(分かってるって)」
バナ助は新しい料理を作れるという期待感を胸に、意気揚々と出向していった。
一方、私たちは公演用のホールに向かう。
どうやら入学式の挨拶はそこでやるっぽい。
断片的な前世の記憶からすると、たぶん経験したんだろうけど覚えてない。覚えてないと言うことは、つまり、どうでもいいってことね。
よしっ!
カツラを被ったやつがいないかチェック!
いたら、ふっふっふ……!
なーんて、下らないことを考えてたら、あっという間に校長の話が終わってた。ちなみにパッと見ただけではカツラはいなかった。残念。
次に新入生代表として登壇したのは、案の定というか何というか、あの生意気なローベリアだった。
無駄にキラキラしたオーラを放ちながら完璧な挨拶をこなす姿は、まさに「乙女ゲー開幕!」って感じね。
……こっち見んな!
もうパンツはやらねーわよ!
え?
デイジーはあいつと目があった?
ウチの子はやらねーわよ!!
◆ ◆ ◆
そんなこんなで入学式はあっと言う間に過ぎ、私とデイジーは寮の自室に戻る。
ルームメイトは当然デイジー。
デイジーと引き離したらどんなイタズラをするか分からないなーって独り言を呟いた甲斐があったってもんよね。
自室に戻ると同時にワンピース一丁となり、開放感を得る私。
ふー、やっぱりこの白いワンピースは最高ね!
制服は可愛いは可愛いんだけど、やっぱり普段着、寝間着、お出かけと何でもござれなこのワンピ、改めて考えなくても無敵すぎるわ。
デイジーと新生活のことについてあれこれ話してたと思ってたけど、気づけば翌朝目を覚まして寝ていたことに気付いた。
素早く身支度を済ませて朝ごはん。
バナ助が作ってくれたモーニングを食べ終えた。
こんなメニューを教えたことは無かったし、早速修業の成果が出たみたいね。
んで、いよいよ教室。
基本的に席は成績順のようだけど、男女で左右に分かれてる。
私たちの成績?
そりゃもうバッチリよ。
一番ではないけど一桁にはいるわね。
デイジーには学力で惨めな思いをさせたくないので、森では勉強もしてたもの。まあAPによるブーストは結構あったけど。
私は妖精の中では相当若い方だけど、普人と比べればまあそれなりに生きてきたからこの程度はね。
デイジーの机の隅には、私用の特注の極小机と椅子がちょこんと置かれている。こういう所がこの国の良いところね。だてに国立学校を名乗ってないわ。
しかし、なんでまたデイジーのすぐ近くにローベリアたちの席があるのよ。何か作為的なものを感じる……。
「お姉ちゃん、凄いわ! 人がたくさんいるわ! お友達できるかな?」
「そうね、デイジーは可愛いんだし、友達くらいすぐにできるわ!」
「お姉ちゃんだってとっても可愛くて素敵よ! それにこんなにスタイル良いんだもの。きっとモテモテよ!」
「そうね、私の大人の魅力に誰も彼も釘付け間違いなしね!」
いつも微笑ましい表情を向けられるのが不思議だけど!
まあそれはそれで良いわ。
私はあくまでデイジーのおまけ。
デイジーが一流の一般人田舎者村娘Dでいられればいいだけだもの。
この4年間、ひっそりやり過ごすわよ!
明日18時に更新予定です。




