ニュー何ちゃら♪
「ひ、光の絶対結界を……反復横跳びでノーダメだと……!? バ、バケモノめ……ッ!新型か!?」
石畳の上に腰を抜かし、ガタガタと顎を震わせるマルティス枢機卿。
そんな成金クソボスを身体を目一杯反り返り見下ろし、私はフン! と
「ザコとは違うのだよザコとはぁああ!新型だって!?失礼ですわね! バグ技を極めたニュー何ちゃら♪とお呼びあそばせ! ――さあリリス様、出番ですわよ! ソファーから立ち上がって、そこに転がっている聖具を適当に掲げてみてくださらない?」
「えー……ポテチ食べてるのにポテチより優先しろと!?はぁ」
広場に運び込ませた特等席ソファーから、気だるそうに立ち上がったリリス様。
指先についたコンソメパウダーをぺろりと丁寧に舐め、足元に落ちていた枢機卿の天球儀を、汚いゴミでもつまむように二本の指でひょいと持ち上げました。
その瞬間でした。
ピピピピピピピッ! ドルルルルンッ!!
私の網膜ウィンドウが、過去最大の狂乱アラートを叩き出したのです!
【重大なシステム警告:聖遺物が想定外の魔力反応・至高の造形を検知!】
【信仰AI判定:魔力純度999999(オーバーフロー)】
【神聖エラー:あまりの神々しさに教義判定がバグを起こし『始源の光の女神』と誤認されました】
ゴオオォォォォォォッ……!!
雲を割り、天から王都中央広場へと降り注ぐ、本物の神々しすぎる黄金の極光!
艶やかな黒髪を黄金の光に輝かせ、圧倒的な美貌と威厳を放ちながら佇むリリス様。
指先にはポテチの粉、足元には空袋。それなのに――溢れ出る魔圧と神絵師デザインの造形美が、聖国のポンコツ信仰判定を完全にオーバーヒートさせてしまったのです!
「「「め、女神様ぁぁぁぁぁぁッッ!?」」」
ドォォォンッ! と地響きを立て、広場の聖騎士たち、王都市民、そして枢機卿までもが白目を剥いて地面に額を擦り付けました。
広場全体が、一瞬で狂信的な集団土下座会場へと早変わりです!
「……ねえディード」
黄金の光の中で、リリス様が心底うっとうしそうに眉をひそめました。
「なんか知らないおじさんたちが一斉に平伏して涙流してるんだけど……。すごく気持ち悪いから、全員灰にしていい?」
「待って、もったいないですわ! 最高の舞台装置ですもの!」
私が止めに入ると、這いつくばっていた枢機卿が、すがるような目でリリス様を見上げました。
「お、恐れ多くも始源の光の女神様……ッ! どうか、どうかその神聖なる御力で、我が教団に仇なすそこの不浄なる悪女をお裁きくださいまし……ッ!!」
必死に私を指差して泣きつく成金ボス。
ですが、そんな醜い命乞いを前に、私の口角は斜め45度……と極限まで吊り上がりました。
「あら、悪女ですって? ――不浄なのは、いったいどちらかしら?」
パチンッ! と私が扇を打ち鳴らした瞬間、神具『夜闇の逆バニー』の魔力が全開となり、網膜ウィンドウのプロジェクター機能が起動しました。
「マルティス枢機卿。貴方が信徒から巻き上げた寄進金を横領した裏金口座の全記録、本国法王庁の穏健派を暗殺して乗っ取ろうとしていた反逆密約書……そして! 前世のファンディスク資料集で履修済みの、貴方の『恥ずかしすぎる裏性癖』を――全世界に4K解像度で大公開して差し上げますわ!!」
「な……な、何をデタラメを――ぶへっ!?」
枢機卿の反論を遮り、王都の青空全体をスクリーンにして、超巨大ホログラム映像がドカンと投射されました!
そこに映し出されたのは――
金糸の帳簿にびっしりと記された、天文学的な横領の証拠と裏金ルート!
そして次の瞬間、画面が切り替わり――
『うふふぅ♡ 今夜のミーちゃんは、悪い子のお仕置き待ちでちゅわぁ〜♡』
ピンク色のフリフリネグリジェに身を包み、子豚のぬいぐるみをおしゃぶり代わりに咥えながら、自室のベッドで悶絶しているマルティス枢機卿のドアップ超高画質スチル(4K)が、王都上空にデカデカと浮かび上がったのです!!
「「「……………………っ!?」」」
王都全体を包み込む、水を打ったような静寂。
次の瞬間――数万人規模の市民、兵士、聖騎士たちから、凄まじい引き潮のようなドン引きの声が巻き起こりました。
「う……うわぁ…………」
「き、汚ならしい……! あの人、夜にあんな格好して豚のぬいぐるみ吸ってんのかよ……!?」
「俺たちの寄進した金……あいつのピンクのフリフリネグリジェ代に消えてたのか……!?」
「鳥肌止まらないんだけど! 目が腐る! 目が腐るぅぅぅッ!!」
「コレ、、、毒です、毒すぎます」
広場にいたララァ様などは、ポテチを喉に詰まらせて「おえぇぇぇっ! 狂気のスチルだにゃん! 見ちゃダメなもの見ちゃったにゃん!」と耳を伏せて絶叫しています。
「あ、ぎゃ、やめろぉぉぉぉぉぉッッ!!」
枢機卿は顔面を真っ赤に染め上げ、血を吐くような悲鳴を上げて頭を抱えました。
「消せぇぇぇッ! 今すぐその幻影を消せぇぇぇッ! 頼む、死ぬ、死んでしまうぅぅぅッ!!」
「ふふっ、社会的な死刑宣告ですわ♡」
社会的尊厳が原子レベルまで粉砕され、泡を吹いて悶絶するマルティス枢機卿。
まさにその時でした――。
ゴォォォォォォォォォォッッッ……!!
王都の空気を震わせる重厚な飛行音とともに、雲を突き破って巨大な白銀の飛空艇が姿を現しました。
船体に刻まれているのは、聖国教会本国の紋章。
――ピロリン♪
【速報:以前発送した『特命チクリ特急便』が本国法王庁中枢へ着弾!】
【聖国本国より『異端審問特務部隊』が現地へ緊急突入しました!】
「さあ……運営(本国)からのお迎えが来ましたわよ?」
上空の巨大スクリーンでピンクのフリフリ姿を晒し続ける枢機卿を見下ろし、私は優雅に微笑んだのでした。
ここまでお読みいただき
本当にありがとうございます!
「コンソメは正義」と少しでも思っていただけましたら、作品下部にある
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