41話_暗雲と日差し
ゲームシナリオ編スタートです。
私を一目見るとアービシアは本当に去っていった。
「ライアス。リリーの治療を!」
「ああ、もう回復魔法をかけてる!だた傷が深い…。応急処置で手一杯だ。」
「私が回復するよ!」
今こそ天の適正を活かすとき!全力でライアスの回復魔法を補助する。アービシアの行先も気になるがこちらが最優先だ。
しばらく治療を続けると、学園長の呼吸が安定してきた。
「ここまでやれば大丈夫だ。あとは専門家に任せよう。」
「そうだね。お疲れ様。」
「おう、サクラもサンキューな。」
最後は慌しかったが体育祭はこうして閉幕した…。
―――
「あいつは何がしたかったんだ?」
部屋主は不在だがいつものごとく学園長室に集まった。話題はアービシアについてだ。
「そもそも私、捨てられた後、父さまの行動を知らないんだけど…。」
「あー、すまない。実はサクラの洗礼式後、ディアードさんに協力して貰いつつ俺が裏で手を回しててな、サクラが有名になった後に手を出せないようにあいつのことを追い詰めてたんだ…。だが、止めを刺す前に雲隠れをされちまってな。ずっと探してたんだが、まさかこんなところで出てくるとは…。」
「いや、ウィードさんが謝ることじゃないよ。悪いのは私の父だし…。」
ウィードさんが手を回していたおかげで父から私への接触が無かったのか。私が有名になったら家に戻そうとしようとすると思っていたのに接触が無く違和感があったけど雲隠れしていたとは。
「見事な逆恨みだったな。自分で捨てておいて裏切り者だとよ。」
「魔王が関係してるのかな?」
「なんでそう思う?」
「ウィードさんの攻撃をいなしていたからかな。ただの貴族だったあの人がウィードさんに数秒でも耐えることはできないでしょ。学園長にも気づかれずに接触したし、闇で覆ったのも相当な魔力が必要でしょう?」
「そういえば魔王の伝説に、契約者とその親族に力を与える。といった伝承がありましたね。」
「今日のスタンピードを対処した時に不思議な感じがしてて…。いつもより魔力の減りが小さかったんだ。」
「だからやりすぎたって言うつもり?」
「う、大事なところはそこじゃなくて、あの人が契約をして力を得たからその親族である私にも力が流れ込んできた。とか考えられるかなって…。」
「…。」
「ライアス?」
「…。なんでもない。」
ライアスの様子が気になるが本人に何も言うつもりがないのなら言う必要がないことか、今が言うタイミングではないのだろう。
しかし、いくら話し合っても結論は出ず、魔王が復活し、アービシアと契約したと仮定して行動することになった。
―――
「迷惑をかけたのじゃ。」
嵐の前の静けさなのか、魔王にもアービシードにも特に動きはなく一か月が過ぎ、学園長も無事に全快した。学園を休校にし、王都も厳戒体制を引いたのにも関わらず、まるで嘲笑うかのように何も起きなかったのだ。
そして、私ことサクラは今までの人気が嘘のように遠巻きにされていた。原因は二つ。一つ目は一人で地形を変え、魔境にすらしてしまう。そんな力を周りが恐れたこと。もう一つはアービシアが言った言葉。“私の娘”と“裏切り者”だ。憶測が憶測を呼び、尾ひれはひれが付いた噂が王都中に流れていた。中では私が内通者だとか魔王の契約者だとか言った話まで出てきている。幸いなことに私のことをよく知っている人や、仲のいい人は離れることなく擁護してくれ、さらには噂を消そうとしてくれたがなぜかそういった噂が消えることはなかった。
そんな私は現在、ライアス、シルビアと共に学園長室に来ている。
「わざわざ来てもらってすまぬな。こんなときじゃが、サクラにお願いしたいことがあるのじゃ。レオン様、ジーク様説明をお願いいたします。」
レオンとジークが?なんの説明だろうか。疑問に思ってると姿を現した。気配はよく感じていたけど、実際に姿を見せてくれるのは初めてだ。挨拶と片手をあげる姿にほっこりする。ニコニコしながらレオンとジークを見ていると呆れた視線が方々から刺さる。だらしなくなる顔をきりっとさせようと格闘しているとレオンから質問が来た。…
「おう、サクラ。お前は俺たち神霊を何人知ってる?」
「それを聞くのは変なの。七人いることは有名過ぎて誰でも答えられるの。」
「そうじゃねえよ、通常の形態と戦闘の形態、得意な魔法とかすべてを知ってるのは何人かってことだ。」
「それこそ聞く意味ないの。0人に決まってるの。」
普通はそうかもしれない。けど私とライアスは別だ。
「六人だよ。」
「!?なんでなの?…分かったの。ライアスと同じなの。」
「そういうこった。んで、サクラには最後の一人の契約者になってほしい。」
おぉ、驚いた表情も可愛い…。そういえばライアスがレオン経由で神霊の契約者に記憶持ちがいないか探ったって言ってたな。そこに結びついて私に記憶があることに気が付いたのだろう。…魔王に対抗するためにも契約者にはなりたいが一つ問題が…。
「え?契約者は本人が気に入らないとなれないんじゃ…?」
「そこは大丈夫なの。彼女の性格や気に入る対象は分かっているの。」
「で、サクラの様子を見てお前なら気に入られると踏んでのお願いだ。」
そういうことならばいやはない。アービシアの襲撃から一か月、ようやく明るい話題を得られた気がした。
*****
Tips 契約
神霊や魔王など、上位の存在に力を借り受けることができる。デメリットは特にないが、上位の存在に気に入られないと契約することはできない。一部の上位存在との契約の効力は親族までも影響が出るという。また、さらに気に入られるともっと結びつきの大きな関係になるといわれているが…?
ローズ「リリーちゃん。大丈夫〜?」
リリー「う、お腹が痛くなってきた…。」
ローズ「あの人にやられた傷が…?」
リリー「いや、ローズが何かやらかさないか心配で胃が…。」
ローズ「流石に失礼じゃないかしら〜?」
忘れてる人も多いいと思いますがディアードさんはスティムの父親でサクラの故郷の領主様です。
次話は明日の17時投稿予定です。
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