42話_アービシアの行方
「私からもいいかな?」
レオン達の話に一区切りがつき、一息入れてからシルビアが切り出した。
「まずはサクラ、魔境の修復に協力ありがとうございました。」
「いやー、私が原因だしね…。」
ここ一ヶ月、せめてできることだけでも。と魔境と化した場所の魔力を少しずつ散らして普通の土地に戻したのだ。荒れてることには変わりないが人が入れる程度には修復できた。
「気が付いたら元通りに戻って…いえ、森が広がっていて驚きました。いつの間に直したんです?言ってくれればお手伝い出来たのですが…。」
「ん?私がやったのは魔力を散らして人が入れる場所にしただけだよ?」
「ではどなたが?規模的にサクラくらいにしか出来ないと思ったのですが…。」
「それはおそらく彼女なの。」
「ああ、サクラに契約してもらう予定のセレスの仕業だな。セレシアって言うんだが植物の扱いに関してセレスの右に出るやつは居ない。」
セレシア…。SDSでは出てこなかった最後の神霊…。ゲーム内では終始パートナーのいなかったサクラだがおそらくゲームでも正しいルートを踏むことができると契約することができるようになるのだろう。
「出会ったらお礼を言わないとね。でもなんでわざわざセレシアは直してくれたのかな?」
「サクラの魔力が残っていたからなの。気に入った魔力で土地を整えようとした痕跡を見つけたから手助けしたって感じだと思うの。」
嬉しいから良いけど私が気に入られてるのは確定なのか。
「そういうことでしたか。では、改めてお話を、確定ではありませんがアービシアの拠点を割り出しました。サクラさんにお願いするのもどうかとは思いましたが、よく分からない力を持っている以上、最大の戦力をぶつけたいと思っています。相手が実父でやりにくいかと思いますがアービシアの捕獲。お願いできますか?」
「産まれてすぐ捨てられたから実父の感覚はないかな。もちろん良いよ。私一人?」
「光魔法の適正があるライアスと、影魔法に適正があるカトレアさんを連れて行ってください。あなた達三人であれば連携も取りやすいと思いますし、何があっても対応しやすいでしょう。」
「カトレアちゃんも連れてかなきゃダメ?」
「聞いて本人が断るようであれば連れてかなくても大丈夫です。ただ、アービシアが闇魔法を使うのでいた方がいいと思っただけですから。」
言いたいことは分かるけどカトレアちゃんを危険な場所に連れて行きたくないな。聞かずにライアスと二人で行こうか…。
「サクラ。カトレアさんに黙って行くとしても止めはしませんが、カトレアさんの気持ちも考えてあげてくださいね。」
「う、うん…。」
そう言われると弱い。断るのを願いつつ聞くしかないかな。
―――
一度解散しカトレアちゃんのところに行く。私が神霊と契約するかもしれないこと。それと父を捕縛しに行くことを話した。そして父の捕縛に付いてくるか聞くと。
「もちろん行くわ!…と、言いたいところだけど私じゃあ足でまといだもの。行く前に影魔法を少し使うからその制御を持って行ってちょうだい。本当は近くまで行って補助してあげたいけど私が捕まって人質にされたらサクラは動けなくなるでしょ?」
「カトレアちゃん…。ごめんね?」
「気にしなくていいわ。ただ、無事に帰ってきなさいよ?」
カトレアちゃん…。分かってたけどなんていい子なんだ!感極まって抱きつこうとしたら躱された…。ぐすん。
―――
カトレアちゃんを連れて二人で学園長室に戻る。レオンとジークは姿を現したままだ。
「え、神霊様?ほわぁ、絵本やぬいぐるみよりも本物のほうがめちゃめちゃ可愛いじゃない!」
「ほほう、さすがサクラの親友だ。見る目があるではないか。なぁ、ライアス?」
「うんうん。カトレアは良いこと言うの。シルビアも見習うの。」
「カトレアちゃんが壊れた。」
「いえ、神霊様に可愛いは不敬になりそうで言えませんよ。」
「ああ、普通神様の子供を見てニヤニヤできないな。」
こちらを見つつ言うライアス。人のニコニコ笑顔をニヤニヤとは失礼な。
「はっ、ごめんなさい。神霊様、よろしくお願いしますね。」
カトレアちゃんが正気に戻ったようだ。可愛いもの好きだとは思っていたけどここまでだったとは…。正直気持ちはわかるが…。セレスは契約したら吸わしてくれるかな?
「ふふふ、では本題に入りましょうか。すでにサクラに説明されたと思いますが、カトレアさんは二人と一緒にアービシアの捕獲に行きますか?」
「いえ、足手まといになるから留守番をするわ。それでも話は聞いておきたかったの。行かない人は聞いちゃダメなお話かしら?」
「いえ、そんなことありませんよ。」
「良かったわ。そして殿下、ありがとうございます。サクラが黙って出発したらひっぱたくところでした。」
え?私ひっぱたかれるところだったの?危なかった…。そしてシルビアがけしかけたことに気付いてるのか。さすがカトレアちゃん!
「サクラがひっぱたかれなくて良かったです。では、話を続けますね。三人は魔の森をしっていますか?」
よく知っている。先日スタンピードが起きた森をさらに奥深く進んだ場所にある森のことで大昔の遺跡があると言われているところだ。SDSでも後半で行くことになる森で気合を入れて挑んだが名前負けする簡単な難易度だった場所だ。
「この前にスタンピード前までは大した魔物も出ていなかったのですが、ここ最近、かなり強い特殊個体や変異体の魔物が大量に出現しているといった報告があります。冒険者ギルドが中堅以下の立ち入り禁止と高ランク冒険者への緊急クエストを発令するほどに…。二人も次にギルドに顔を出すと緊急クエストを言い渡されると思います。」
最近、SDSの知識との差が大きくなっている気がする。魔の森だからと油断せずに行く必要がありそうだ。
「スタンピードの黒幕がアービシアだと考えると変異体もアービシアが何かをやっている可能性が高い。ならばそこに本人がいてもおかしくない。ってことか。」
前回と違い姿を隠していないことが気になるけど…。
「スタンピードの時みたいにたった一人に一掃されないよう、集めずに小出しにしているんだと思うわよ。」
「なるほど…。」
相変わらずカトレアちゃんの心を読む精度が高いな。まあ、説明いらずで助かるけど。
「うん。私もそう思います。そうなると魔の森にある遺跡が潜伏するのに一番都合がいいでしょう。」
魔物を変異させるのも、小出しにするのも近くにいないと難しいってことか。ま、なにはともあれ、
「目的地は魔の森中心部の遺跡だね。」
*****
Tips 魔の森
SDSのシナリオを進めると後半に行けるようになる森。序盤から行ける王都近くの森とほとんど同じ敵しか出ないため、かなり難易度の低いフィールドだった。中心部には遺跡がある。
サクラ「神霊は吸うもの。」
リリー「やばいこと言い始めたのじゃ。」
カトレア「…。」
サクラ「カトレアちゃん?」
カトレア「…。」
サクラ「トリップしてる…。想像しちゃったか…。」
次話は明日の17時投稿予定です。
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