29話_種明かし(偽)と親善試合の準備
前話のチャレンジ内容は会話無しでの一話書き上げでした!
(私的に)無事に模擬戦が終わった。ライアスは痺れて動けないだけだしシルビアは…元々紙装甲だと知っていて手加減したから大丈夫だろう。王太子を半殺しにさせたとか言われると流石に私の心が持たない気がする…。
いや、模擬戦だったし手加減したって主張するけど…。うん。嘘ついてないから良いよね。
とまぁ、心の中で誰にとも言わず言い訳をしていると回復要員の教員が来て二人に回復魔法を施した。
「あなた、サクラさんだっけ?水の適正があるなら回復してあげなさいよ。」
怒られてしまった…。でも仕方ないよね?だって、
「回復してあげたいのはやまやまなんですが私に水の適正はないんですよ。」
「嘘おっしゃい。氷魔法と雷魔法を使ってるのみんな見てますからね!」
「あー、厳密には違うんですが…。学園長に聞けば私に水の適正がない事が分かりますよ。氷はこの魔刀の力ですから。」
正確には適正無だし魔刀だけだとあそこまでのことは出来ないけど誤差だろう。
二人の治療が終わった教員は疑わしげな目を向けつつも学園長に確認してみると言って待機場所に戻って行った。
―――
「おい、サクラ今日の模擬戦では何やった。訳が分からなかったぞ。」
授業が一通り終わるとすぐにライアスがやってきた。後ろにはシルビアもいる。
「私も気になりますね。確実に相殺できてたと思うのですが…。」
「人前ではちょっと…。人のいない会議室に行ってそこで簡単な説明をしましょう。」
ライアスはともかくシルビアに天の適正について話すつもりは無いから何とか誤魔化そう。
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カトレアを含めた四人でシルビアの取った会議室に入る。
「私場違いじゃない?」
「大丈夫大丈夫。居てくれるだけでいいから。」
「カトレアさんは初めましてですね。知ってるかもしれないですがシルビアです。よろしくお願いしますね。」
「ライアスだ、よろしく。」
「カトレアです。サクラのお目付け役やってます。よろしくお願いします。」
「カトレアっ!?」
なんかほっとした顔のライアスに腹が立つ。シルビアは良く分かってないみたいだ。そのまま純粋に育って欲しい。と頷いたが、
「うんうん。じゃないでしょ。殿下も直ぐに気が付くと思うわ。」
「どういうことっ?」
「そういうことよ。」
続けて抗議しようとしたが黙殺された。
ライアスとの話より先に模擬戦の振り返りをするしかないかな。
「私、魔道具科も専攻してるので、自作の魔道具を使ったんです。相手の魔法を吸収して使えるようにするって魔道具で、問題点はコストがかかること、吸収できる量に制限があること、私以外に使うのは難しいことでしょうか。」
「魔法科のオリエンテーションとしての模擬戦だったのに魔道具で勝負を付けたのですか?」
「学園長室で簡単に説明しましたが私の適正は無なので魔道具に頼るしかないんですよ。」
「そういえばそんなこと言ってましたね。ですがそれだと魔法科への推薦を貰えないと思うのですが。」
「普通はそうなんですけど私は魔力量だけは自信があったので。適正が無くとも魔力量だけで何かしら出来ないか追求したいって言って特別措置を取ってもらいました。」
カトレアちゃんがジト目で見てきてるけど辞めて欲しい。嘘がバレたらどうするんだ。
「納得行きかねますがとりあえずいいでしょう。その魔道具で何をしたんですか?」
先に妥協することで本命の質問をはぶらかしにくくしたのかな?自分を追い詰めるような魔道具(ということにしてる魔法)だし対策案を考えたいのか。
「まず、ライアスさんに近づいた時に殿下が発動した雷の1部を吸収してライアスさんに当てました。その時に自己回復用の光魔法を使ってたので制御を奪って回復量を減らしました。結果として回復量を見誤ったライアスさんが倒れたんです。」
「私には何をしたのでしょうか?雷は過剰に相殺したはずと思ったのですが。」
「殿下に向けた魔法は雷だけではありません。防御すべき場面でも回避を選んでいたので防御面に自信がないと思いライアスさんが使ってた回復用の光魔法を攻撃用に変換して紛れ込ませました。」
「あの一瞬だけでそんな判断をしたのですね。完敗です。魔道具もそんなことができるようになっているとは。サクラさんの魔道具科での成績が楽しみです。」
う、ゲームでの知識とか言えないから罪悪感が…。魔道具も嘘なのにシルビアの期待値が上がっている。王太子に嘘ついたとかで処刑されないよね?
「たまたまですよ…。勘を信じたら当たっていただけです。魔道具は私が作ったわけではなくて母が昔拾ったらしい物を貰っただけですし...。最後の場面もライアスさんが引いていたらもっと長引いていたかと。」
「引こうとした瞬間“しめた”って顔されたから攻撃に変えたんだがな…。判断ミスだったか。」
長引くと言っても数秒だけなんて言わないでおこう。
「じゃ、せっかくだし親善試合の作戦でも立てましょうか?」
「今日の模擬戦を見ていなければ上級生たちは俺ら二人を警戒するだろう?となるとサクラを切り札にすればいいよな。」
私が切り札...。いい響きだ。
「そうですね。上級生がどんな魔法を使うかが分からないから細かい対策は立てられないので決めるのは攻守の分担と連携方法くらいでしょうか。サクラさんを切り札とするとライアスさんが防御で私が二人のサポートが良さそうですね。」
「王子様の雷魔法と俺の炎魔法でサクラの火力を増強して攻撃してもらうのが手っ取り早そうだな。…それでいいか?そこの邪悪な顔をしてるやつ。」
「失礼なっ。こんな可愛い乙女「乙女...?」に向かって邪悪だなんて!ってカトレアちゃん?そこ疑問に思うところじゃないよね?」
「そ、そうね...。うん、サクラはちゃんと乙女よ...。中身残念だけど...。」
最後の一言は聞こえなかったけどちゃんと認めてくれたようだ。これで間違ってもライアスも邪悪な顔なんて言えまい。
「あー、おとめだったな。悪い悪い。で、役割分担はいいんだな?連携はどうする?」
「うむ。ちゃんと謝れてえらいぞ!役割は大丈夫。連携については私の切り札もあるし言えない事もあるからその場で合わせるよ。」
「腹立つなこいつ…。まあいい、詳細は決められないしこんなんでいいか。」
「ふふふ。なかなかいいコンビになりそうですね。私相手に緊張しないで発言してくれるのも嬉しいです。親善試合が終わっても仲良くしましょう。もっとフランクに接していいですよ。」
「?了解。科も一緒だしよろしくね。」
「おう、よろしく。」
「お邪魔してすみませんでした。どうしても気になったものでしたので。では私は退室しますので後はごゆっくり。一度でも会議室の中が無人となると自動で施錠されるのでお気をつけください。」
模擬戦の振り返りと親善試合の簡単な打ち合わせが終わり、シルビアが外に出ていった。これで本題に入れる。
「じゃ、遮音結界張るね。」
カトレアちゃんに一言声をかけてから結界を張る。すると早速ライアスが切り出した
「単刀直入に言うぞ、お前には日本の記憶があるな?」
「あるよ。そっちもでしょ?初めてのお仲間だね。」
やはり彼にも日本の記憶があるみたいだ。
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Tips 魔道具
アースフィア中に多く存在する魔法の力を秘めた道具。遺跡やダンジョンから出てくる人智を超えた魔道具から人が作った簡単な魔道具まで幅広くある。念話機といった魔力で遠距離通信ができるものや魔法袋といった見かけよりも大容量の袋はダンジョン産の魔道具でしか確認されていない。人の手で作る魔道具はエアコンやドライヤーみたいなものが多い。
シルビア「仲良くしましょう。(側近として)もっとフランクに接していいですよ。」
サクラ「了解。(クラスメイトとして)よろしくね。」
ライアス「おう、(ライバルとして)よろしく。」
カトレア「すれ違ってる気がするんだけど...。」
次話は明日の17時投稿予定です。
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