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30話_情報共有

「ま、そうだよな。シルビアの紙装甲についても知ってたみたいだしSDSはどれくらいやりこんだんだ?」

「七周目での挫折した組だよ。六周目までなら何十、何百とクリアしてたよ。」

「俺と同じやりこみ組か。おそらくだが七周目の世界でいいんだよな?」

「そうだと思うけど決め手はないかな。レオンは何か教えてくれなかったの?」

「決め手とまではいかないが神霊との契約者でも俺以外に日本の記憶を持ったやつはいないな。」

「そうなるとやっぱり二人でクリアしてみろって言われてる気がするね。もちろんするよね?魔王退治。」

「そうだな。俺もなぜか他の主人公達は巻き込まずに進むと思ってるよ。直感だがな。」


 結論としてSDSの七周目の世界線だと思ってよさそうかな。シルビアも忙殺されて魔王退治に行ける環境にならなそうだし...。頭の中で整理をしているとライアスが真面目な顔になった。


「サクラは前世の記憶がどのくらい残ってる?」

「?基本的なことは全部憶えてるよ?久々にSDSの七周目をやろうと思ってSDSやってたらんだけど、気が付いたらサクラとして生まれ変わってた感じ。」

「名前は憶えてるか?」

「?もちろん覚えてるよ。…もしやライアスは憶えてないの?」

「ああ、名前も向こうでの最後の瞬間もな...。エピソード記憶だったか?がほとんどないんだ。SDSの知識だけはしっかりと残ってたおかげで生きやすくはあったけどな。」


 日本で過ごしてきた記憶がほぼ無いってことか。郷愁を感じることは無さそうだがきつそうだ。でもかけられる言葉はないかな...。


「あぁ、そんな泣きそうな顔するな。覚えてないことがどうでもいいんだ。俺はこっちで生きていくことに決めたからな。レオンもいるし村のみんなも大切だ。サクラはどうなんだ?向こうの記憶があれば帰りたいとか思わないのか?」

「たまに…思うかな。でもこっちも楽しいし、母さまやカトレアちゃんがいるからね。帰るかどうかはその時にならないと決められないかな...。」

「そうか...。思いっきり悩めばいい。というか湿っぽくなりすぎたな。話題を変えよう。今日の模擬戦のあれこれ。魔道具使ってっての嘘だろう。何やったんだ。吐け。」


 うん。しんみりしたのは好きじゃないし話題の転換に乗ろう。


「SDSのネタバレを含むけどいい?」

「ああ、どうせ戻るつもりはないしな。どんとこいだ。」

「SDSの都市伝説として超級適正が存在するって言われてたの覚えてる?実は超級適正って鑑定で見ることができないんだって。」

「は...。ってことはSDSのサクラもお前も超級適正ってことか?ん?なんでシルビアにはそう言わなかったんだ?」


 何言ってるんだ?シルビアにばれたら王宮監禁コースか結婚して手枷付きコースしかないだろう。それに元男、現女としてだれかと結婚とか考えたくないし。…あ、前世男だってライアスに言ってなかったな。なんとなくうるさそうだし誤魔化しておくか。聞かれた時だけ正直に答えよう。


「そういうこと。シルビアに言ったら手枷足枷付けられて王宮に監禁されたり研究者たちに弄り回られそうだから嫌なの。シルビア本人にその意志がなかったとしても他が分からない以上気を付けないと。」

「かなりうっかりしてそうなのに意外としっかりしてるんだな。なら俺も黙っておくよ。」

「ありがとう。ちなみに超級適正はあっても膨大な魔力と繊細な魔力操作の技術がないと使えないから魔法専門のエルフ以外では適正無だと思われるようになったんだってさ。」

「はー、そんなことがあったのか。じゃあSDSではサクラを魔力制御全振りとかで育てればクリアできそうだな。」

「いや、たぶん無理かな。六歳の魔力発現時から訓練し続けても一年経って超級適正のさわりができるようになるくらいの感じだし、SDSは一年も経たないから。」

「やっぱ無理ゲーじゃねえか。くそかみ戦争を起こすつもりはないからあえて明言はしないが難易度調整がひどいな。」


―――


コンコンコンッ


 この世界と日本の差や、SDSであったイベントなどいろんな話題に花を咲かせた()たちだったがカトレアの合図で時間を思い出す。


「もうこんな時間か。また情報交換しような。」

「うん、いつでもいいよ。会議室取ってもらう必要ありそうだけどね。」

「そうだな。いやー、それにしても初めて見たときはなんてやべーやつがいるのかと思ってたからこんなに話が合うとは思わなかった。なんだか男友達と話してる気分だった。」


 その言葉を聞いて我に返る。日本色の強いライアスと話していたことで私の人格が前世...、いや赤ん坊の頃のものに戻っていたみたいだ。


「そう?向こうで知り合いだったりして。」


 そういいつつ遮音結界を解く。


「じゃ、親善試合でもよろしくね。」


 カトレアにも聞こえるように挨拶をして別れる。


「上級生との試合だっけ?模擬戦の時みたいにやりすぎないでね。」


 余計なことは聞かないカトレアちゃんの心配りに感謝しつつ寮に戻った。



 しかし、部屋に戻った後も私の心の中には日本に帰るかどうかの話題がしばらくの間引っ掛かったままだった...。


*****

Tips くそかみ戦争

 SDSプレイヤーの間で勃発していた戦争。クソゲーだと評価するプレイヤーと神ゲーだと評価するプレイヤーが終わらない議論を繰り返していた。それはさながらキノ〇タケノ〇戦争のよう。

ライアス「無理ゲーとかやっぱクソゲーだな。ちなみに何がとは言わないけどタケノコ派な。」

サクラ「六周目までの神ゲーを考えると攻略方法があるけど見つかってないだけでしょう。ちなみにキノコ派。」

ラ・サ「はぁ?これは戦争だ(な)!」





次話は明日の17時投稿予定です。


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