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26話_学園長室での一幕<ライアス視点>

ライアス視点です。

 扉が開いて顔を出したのはサクラ・トレイル。俺以外に日本の記憶を持つ可能性がある存在だ。というか十中八九日本の記憶を持っている。現に俺のことを見て「ライアス...。」って呟いてるし姿を隠してるレオンを探している。いや、学園長室なんだからきょろきょろするなよって突っ込みたいが我慢だ。

 おそらくこの少女と共に魔王討伐の旅に出ることになるのだろう。そんな確信を持った考えに俺は違和感を持つこともなかった。


 ―――


 レオンに調べてもらった結果、神霊との契約者は俺以外全員日本の記憶を持っていないみたいだった。今後日本の記憶を思い出す可能性もあるが、生まれたとき、物心ついたとき、洗礼式といった記憶を思い出す可能性の高い瞬間はもう過ぎているため、死にかけるとかの大きなショックを受けない限りほぼないとみていいだろう。

 今日の入学式ではサクラを見かけた。SDSのストーリー上でも疑問に思っていたが魔法の適正がないのにどうやって魔法科に入学したのだろうか。なんてことを思いつつレオンにあれがサクラだと遠目に説明した。ちらっと聞こえた会話にレオンも引いていたが俺もここであのセリフのチョイスはないと思う。いや、気持ちは分かるが実際に言ったりしないだろう。

 入学式が終わって寮に戻ろうとしたときにブルーム国の王子様であるシルビアに話しかけられた。どうやら学園長が呼んでいるそうだ。シルビアについていき学園長室に行く。

 中に入ると先ほど花火で形作られていた学園長がそこにいた。SDSでは生徒会にはいると主に雑用だったが小遣い稼ぎ用の依頼を出してくれる人で、報酬は安いが簡単に稼げるような依頼をメインで提示していた。


「やっと来たな。後一人来るからそれまで適当に座って待っているのじゃ。」


 まさかののじゃロリだとは...。入学式の威厳は何処に行った...。衝撃的な事実に驚いている俺をよそに学園長はニコニコしながら俺たちを、正確にはレオンとジークがいる方を見た。


「お二方ともお久しぶりでございます。今回の契約者は気に入っておりますかな?」

「おう、面白いやつで気に入ってる。」

「うん、頭がいいし欲しいものをくれるからお気に入りなんだよ。」


 レオンとジークが猫型に顕現して答える。人前ではなかなか顕現しないのに珍しい。というか目上の人?には普通にしゃべるのか...。


「今回の呼び出しは俺たちに用があったんだろう?なんの用だ?」

例の候補(・・・・)を見つけました。私の友人の娘なんですが天の適正を持ち魔力も豊富。エルフの子なので性格もあうかと。これから来る子のことです。」

「うん、見極めろということなんだね?分かったんだよ。」

「あぁ、あいつか...。気乗りしないがちゃんと見てやる。」

「あら、レオン様はすでに面識がありましたか。お手数おかけしますがよろしくお願いしますね。」


 良く分からんがレオンの様子を見るにサクラが来るのだろう。例の候補とはなんだ?それがSDSでもこの世界でも彼女が魔法科に入ることができた理由だろうか。レオンに聞こうと思ったがジークと共に姿を隠している。もうすぐ彼女が来るということだろう。


 コンコンコンッ


 ノックの音が聞こえて学園長が許可を出すと予想通りサクラが来た。扉を開けた彼女はこちらを見て「ライアス?」と呟いた後辺りをきょろきょろ見渡した。


「こほん。初めましてなのじゃ。とりあえず座るのじゃ。」

「へ...?あ、はい。失礼します。」


 学園長にすすめられてサクラが空いている椅子に座る。一瞬ポカーンとしていたな…。いや、小声で「リアルのじゃロリなのじゃ…」って呟くな。笑いかけただろうが。


「さて、全員そろったことだし簡単な自己紹介をするのじゃ。わしはリリー・シナリー。エルフとドワーフのハーフなのじゃ。こんななりだけど結構な年寄りだから労り崇めるのじゃ!」


 もちろん知っている。SDSでもかなりお世話に...ならなかったがゲームが苦手な人はお世話になった人も多いだろう。ちなみに年寄りと言っても現役時代からほぼ衰えていないため、いたわる必要がないことも知っている。


「ふむ?微妙そうな顔をしてる人が二人もいて失礼なのじゃ。とりあえず王子様から自己紹介をするのじゃ。」

「先の答辞でも述べたましたがシルビア・フォン・コモン・ブルーム。この国の王太子です。よろしくお願いしますね。」

「次は俺だな。ライアス・アルパイン。しがない獣人だ。よろしく頼む。」

「最後は私が、サクラ・トレイルです。ハーフエルフです。よろしくお願いします。」


 自己紹介が終わり俺たちを呼び出した表向きの目的が説明される。


「今日の入学式のときにも言ったんじゃが、君たち三人が特に優秀な生徒たちなのじゃ。そこで授業が開始して一週間後に上級生との親善試合を行うのじゃ!」

「なぜ、この三人なのでしょうか。シルビア様は王子ですしライアス君は神霊との契約者なので分かりますが、私は適正が無ですし選ばれる理由はありませんよね?」

「なんでライアスちゃんが神霊と契約してるのを知ってるのじゃ...。」

「あ!いや、それは...。」

「はぁ、俺から入学式で少し話しました。レオンの気配に感づいていたみたいなので余計なこと(・・・)を言われる前に口止めをと思いまして。」

「はい!そうなんです!」


 こいつ、うっかりか。一応言葉に含ませた意味は感じ取ってくれたみたいだな。学園長はいぶかしんでるが突っ込みはしてこなさそうだ。


「まあいいのじゃ。サクラちゃんを選んだ理由はローズがよく自慢してきていたからある程度の実力を知っているからなのじゃ。それとAランク冒険者だと聞いているのじゃ。それだけでも資格は十分あるのじゃ!」


 は...?Aランク冒険者ってSDSでも中盤から終盤にならないとなれないんだが?最序盤でなっていいランクじゃないんだが?隣を見るとシルビアも驚いているみたいだ。


「あー、ばれてたんですね。分かりました。お二人が良ければ私もお受けしましょう。」


 そんな空気に気付くことなく話を進めるサクラ。気楽な奴だ。


「良かったのじゃ。話はそれだけだからサクラちゃんは戻っていいのじゃ。帰り道は気を付けるのじゃ。」

「はい。では失礼いたします。」


 サクラは挨拶を済ませてちゃっちゃと出ていった。


「ローズから聞いていたけど変な子なのじゃ。それで二人は受けるのじゃ?」

「ええ、もちろんかまいませんよ。」

「俺も問題ない。でもいいのか?このメンツだと上級生相手でも圧勝することになりそうだが。」

「問題ないのじゃ。上級生も優秀だからなめてると痛い目をみるのじゃ。それで彼女はいかがでしたでしょうか?」

「そうだな。見込みはある。あいつも気に入りそうだ。…二人そろうとやかましそうだが。」

「問題ないと思うんだよ?とりあえず二人を合わせてみればいいと思うんだよ。」

「そうですか。では準備ができ次第彼女にお願いをしてみます。」


 切り替えが早いな...。でも、そんなことよりもSDSでは語られなかった裏側にワクワクする。あとでレオンに聞いてみよう。


*****

Tips リリー・シナリー

 七龍学園の学園長。元ローズのパーティーメンバーでエルフとドワーフのハーフ。見た目は子供だが数百歳を超えている。知識が豊富で歩く辞書とも言われる。冒険者時代ではローズの暴走を抑える役だった。のじゃロリ。

カトレア「どうだった?」

サクラ「学園長がちっちゃくて可愛かった!」

カトレア「そうじゃないんだけど...。」

サクラ「のじゃロリだったのじゃ!」

カトレア「そうでもないんだけど...。」





次話は明日の17時投稿予定です。


誤字脱字報告お待ちしております。

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