24話_冒険者ギルド
会長室までどなどなされた私たちはふかふかのソファに座った。
「それで、俺の店に足りない“あれ”ってなんだ?」
座ってすぐ、待ちきれないというようにルアードさんが聞いてくる。
「いいですか、“あれ”とは、“ガチャ”のことです!」
「ガチャ?」
そう、昨今のソシャゲやらで大人気のガチャである。いいアイテム、狙ったアイテムがでるかどうかの緊張感。出たときの嬉しさから逆に出なかった時の悲しさまで、いろんな人を虜にしてきた悪魔の商品だ。SDSではこのお店でガチャを回せたのだ。
「ええ、お金を支払うとランダムでいいアイテムが出てくるもの。それがガチャです!」
「...。」
ババーンと宣言する。が、感触が良くない。おかしい、一度でもやれば病みつきになるはずなのだが…。
「いや、それじゃわからんから説明してくれ。」
「あ、はい。」
ガチャについてルアードさんに説明をした。ついでにスロットのような賭け事も合わせて教えてしまった…。子供にも遊べるゲームが大人のゲームになってしまう…。
「いいな。その商品うちで扱っていいのか?」
「もちろんですよ?じゃなかったら話さないし。」
「そうだったな。よし、一人三つじゃなくて五つずつ好きな商品を持っていけ。後、何か困ったことがあったらいくつか手助けしてやる。」
「そんなにいいの?ありがとう。」
「もちろんだ。こちらこそ感謝する。これは儲かるぞ!これから細かいところ詰めるから好きに商品を持っていってくれ。一応、どの商品を選んだかはそいつに伝えておいてくれ!後、例のやつもそいつから受け取ってくれ。」
ルアードさんはそう言って奥に行ってしまった。
―――
私たちはそれぞれ好きな商品をもらってルアードさんの店をでた。次は冒険者ギルドに向かう。
「ウィードさん。冒険者ギルドまで案内して?」
「嬢ちゃんさっきは場所知ってたじゃねえか。」
「さっきは適当に言っただけだから。早くしないと遅くなっちゃうし行こう。」
「サクラッち。あっしらも依頼達成の報告に行くっすから一緒に行くっすよ。」
さっきのうっかりが尾を引いてるがなんとか誤魔化しエニシャさん達と冒険者ギルドに向かう。テンプレ通りなら入った瞬間にかませキャラに絡まれるかもしれない。華麗に躱すかカッコよく成敗するか悩ましい。
「何を期待してるのかまでは分からないけどサクラの思ってることは起きないと思うわよ?」
「どうしたっすか?」
「サクラがろくでもないこと考えていそうだと思ってね。」
またもやカトレアに心を読まれてた気がするけどそんなことよりもどう撃退するか考えなくては。
―――
ちりんちりーん。
冒険者ギルドのドアを開けると鈴の音が鳴る。中にいた冒険者たちが一瞬こちらを見るが直ぐに元の体勢に戻り談笑を再開する。
「あれぇ?」
「どうかしたっすか?立ち止まってないで受付に行くっすよ?」
「う、うん。そうだね。」
誰に絡まれることもなく受付に到着する。何人か受付嬢がいるがみんな美人さんだ。そこは異世界のお決まりらしい。
「あなぐまのみんな、おかえりなさい。そっちの子たちは?」
「ただいまっす。依頼達成の報告に来たっす。この子たちはサクラッちにカトレアっちにスティムっちっすよ!強面のおっちゃんはウィードっちっす。誘拐犯とかじゃないっすよ。」
「親切な紹介ありがとな。」
「いえいえ、なんてことないっすよ!」
ウィードさんの皮肉が全く通じてなかったが気を取り直して簡単な自己紹介をした。この受付嬢の名前はレイラというらしい。ウィードさんがSランク冒険者と知ってレイラさんよりもあなぐまの三人のほうが驚いていたのはご愛嬌だろう。ちなみにあなぐまの三人はCランクとのこと。
「レイラさん。冒険者登録をしたいんですがいいですか?」
「もちろんですよ。推薦者や推薦状などはありますか?」
「はい。これが紹介状です。」
「はいはい、うちらあなぐまが推薦者にはいるっす。」
「俺もだ。Sランク冒険者としてこいつらの実力を保証しよう。」
ずいぶんと過剰な推薦を貰ってしまったがありがたく受け取っておこう。ただ冒険者になるだけなら誰でもなれるが、推薦人が居た方がギルドの信用が得やすく割りのいい依頼が回ってくることが多くなる。もちろん推薦がなくとも真面目にやっていれば信用は得られるが手っ取り早く信頼を得られるのはいいことだろう。
ちなみにSDSでも推薦制度があり、特定の住人からの依頼が発生しやすくなったり、推薦者がいないと発生しないイベントがあったりもした。そのことを覚えていた私は鶏の情報の報酬としてルアードさんの推薦状を貰っていたのだ。
「大店商会長のルアードさんからの推薦状に加えてCランクとSランク冒険者からの推薦ですか...。これはサクラさんたちへの期待が高まりますね!」
「任せてください!...と痛いところですが、七龍学園に入学するので休日しか依頼を受けられないんです。」
「ふふ、そういった方も多いので問題ないですよ。ランク付けの試験は今から受けますか?」
「今日は遅いからまた明日にします。...そういや宿はルアードさんが手配してくれるはずだったのに忘れてた。」
「それなら推薦状と別で手紙に書いてありましたよ。ギルド専用の宿舎をサクラさん達に使わしてくれって。本当はAランク以上にならないと入れない宿舎なんですがその分立派なんです!ルアードさんがAランク相当の実力の持ち主だって保証してくれるなんて…。期待がさらに高まります!」
なぜかルアードさんからの信頼が厚いが粋な手配をしてくれたみたいだ。その辺の宿屋でもセキュリティがしっかりしているが明日直ぐに試験を受けられるのはありがたい。
「それってもしやあっしらも…?」
「残念ながら三人はダメですね。Aランク相当の実力を保証してもらえるように頑張ってください。まずは魔法を使えるメンバーの補充からかな?」
「うぐぐ。仕方ないっすね。いつもの宿屋に戻るっす。サクラっち達も明日の試験頑張るっすよ。」
こうしてあなぐまの三人と別れた私たちは男二人、女二人に分かれてギルドの宿舎に泊まるのであった。
ベッドはとってもふかふかだった。
*****
Tips 冒険者ギルド
国から独立した機関。雑用から脅威となる魔物の討伐まで冒険者に仕事を斡旋する。魔物や冒険者の力量を測ってランク付けもしており、それぞれの冒険者に合った依頼を進めてくれる。冒険者は誰でもなれるが続けたり高ランクになったりするのは難しいので見下されるわけではない。推薦者があると信用されやすくなる。
サクラ「三下に絡まれるイベントなかった…。」
カトレア「王都はそんなに治安悪くないわよ。」
サクラ「じゃあ、田舎の冒険者ギルドなら…。」
カトレア「あるわけないでしょ!」
次話は明日の17時投稿予定です。
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