23話_王都観光
ルアードさんの顔が利き、特に止められることもなく私たちは門を通過した。
「おぉー。ここが王都か!」
「ちょっと、きょろきょろしてるとお上りさんみたいで笑われるわよ。」
「そういうカトレアっちもそわそわしてるじゃないっすかー。」
「そ、そんなわけないじゃない...。」
「語尾が弱くなってるよ?」
定番の?やり取りをしながら道を進む。ブルーム王国の王都は中世ヨーロッパの街並みに近世の最先端技術が同居したようなちぐはぐな雰囲気を感じる。この辺りは世界観が大事だけど便利さは捨てられないといったSDS製作者の考えが出ている。
ゲームとしてSDSを遊んでいた時も見た目に反して便利機能が多かった記憶がある。
「たしか、あっちに冒険者ギルドがあって、向こうに露店のでてる通りがあったはず。」
「いや、なんで始めて王都にきたサクラが知ってんだよ。」
「え、えっと、なんかそんな気がしただけだよ。あはは…。」
「サクラだからね。」
不本意な言われ方をしているが言い返せない。
それにしても見た感じ冒険者がやたらと多い。魔物の活性化と関係があるのだろうか。
「先にうちの商会にくるか?それとも観光を先に?それか学園でも見ていくか?」
「要所の場所は分かるからルアードさんおすすめの穴場教えてほしいかな。」
「...。」
「...。」
「...。」
「...。あ、いや、スティムは何度も王都来てて要所は分かるだろうからってことだよ。」
「...。」
スティムとカトレアからの視線が痛い。最近うっかり発言が多くなった気もするし気を付けないと。
「と、とりあえず露店で何か買って食べよう。」
「ごまかしたな。」
「ごまかしたわね。」
「う、うるさい。おなか減ったでしょ。行くよ。」
カトレアの背中を押して露店の出てる通りに進む。
「やっぱお嬢ちゃんはいろいろ知ってそうだな?」
ルアードさんの言葉に冷や汗をかきながら。
―――
露店で肉串を買って近くのベンチに座る。たれのいい匂いにあっつあつのお肉。とても美味しそうだ。なんの肉かは言われなかったけれど王都で出てる肉はウルフやオークあたりものだったはずだ。たしかSDSでは牛や豚といったお肉が出てこなかったがどうしてだろうか?
「家畜?魔物を狩れば肉が手に入るのに何で食用の肉を育てなきゃいけないんだ?」
ルアードさんに聞いたらもっともな答えが返ってきた。ちなみに魔物のお肉のほうが魔力がこもっているからか美味しいらしい。わざわざ手間暇かけてまずい肉を育てるなら外で狩ってきたお肉を大量に買うとのこと。
「じゃあさ、卵ってどうしてるの?」
「それは冒険者がコカトリスやらあしなが鳥の巣からかっさらってきてるのが流通してるぞ。やや危険らしいが報酬も多いから中堅の冒険者が良く取ってきてるらしい。場所によっては不足するが困ったって話は聞いたことないな。」
「あっしらも良くとりに行くっすよ。」
「お前らに討伐系の依頼はきついからな。」
「安全第一あなぐまっすよ!」
「あ、そういう。」
あなぐまの由来は安全にやろうという戒めみたいだ。エニシャさんの性格だと調子に乗ってガンガン高難易度の依頼に手をだして大やけどしそうだけど。だからこその名前にしたらしい。
あなぐまの謎が解けたところで肉串を食べ終わった。露店や商店を冷やかしつつルアードさんの商会に向かう。
「じゃあさ、ルアードさん。質は下がるかもしれないけど安価で安定した卵の供給ができるとなったらどう?」
「ほう。方法にもよるがかなり儲けるだろうな。今までの卵は質のいい高級品。安定したものは質が劣るが安い品。ってすみ分けもできるから摩擦も少なそうだ。なにか案があるんだな?」
「できるかは分かんないけどね。さっき家畜の話をしたけどそれの鳥版だよ。鳥を育てて毎朝卵を回収するの。」
「鳥は飛んで逃げるし飛べないようにするとストレスでダメになるから難しいな。そこら辺の対策は?」
「そもそも飛べない鳥がいると思うんだ。鶏っていうんだけど。調べてみていたらやってみるといいよ。」
サクラとしては見たことはないけどSDSの魔物図鑑に鶏の文言を見たこともあるし合ってるだろう。
「よし、探してみよう。上手くいったらなにか報酬をやろう。希望はあるか?」
「じゃあ、あれちょうだい?」
「そんなんでいいのか?んー、でもそれは元々渡す予定だったんだよな。じゃ、元々発案者に渡される分の10%を増やして15%分渡そう。」
「あ、そんな制度あったんだ。」
「それは知らなかったのか。ますます変な奴だな。」
「うっ。カトレアー、ルアードさんがひどいよ~。」
「はぁ、あなたが変なのは昔からだからね。」
「うぅ、カトレアもひどい...。あ...。」
SDSで良く見たお店が目についた。SDSではさまざまなアイテムショップがあったが、このお店はいろんな商品が揃ってるアイテムショップでいろんな場所を回るのが面倒なときによく来ていた。なによりも“あれ”を回すのによくお世話になった場所だ。
「お、ここはいるか?ここはおススメだぞ。」
多くのプレイヤーがお世話になったこの店はルアードさんもおすすめのようだ。なんかにやにやしてるけどどうしたのだろう?
中に入ると客がそこそこいた。なかなか盛況そうだ。
「いらっしゃいませ。なにかお探しですか?」
「いえ、適当に見に来ただけなのでお構いなく。」
「かしこまりました。なにか御用ができましたらいつでもお声かけ下さい。」
うん。店員の接客も悪くなさそい。ただこの店員さん、やけにルアードさんの方を見てる、それに少し緊張してるみたいだ。商売敵として知っていて警戒してるのかな?
「ルアードさんって有名なの?」
「王都に住んでる平民なら大抵が知ってると思うぞ。」
「そっか。」
店員さんを気の毒に思いつつも一通り見て回った。やはりいいお店だし、SDSの時みたいに品揃えもいい。でも、このお店のオリジナルグッズである“あれ”がない。
「この店はどうだった?」
「ああ、品ぞろえが良いな。質はまあまあだが安価で平民は助かるだろう。」
「休日に遊びに来るにはちょうどいいわね。」
「...。」
「お嬢ちゃんは?」
「いいお店だけど…。“あれ”がない。」
「あれってなんだ?」
「悪いけど関係ないルアードさんにあれの事は言えない。店員さんに言ってくる。」
「待て待て待て待て、いい情報があったら俺に教えてくれるって言ったよな?」
「ルアードさんには鶏のこと教えたでしょ。我慢しなさい。」
別に知識をすべて教えるなんてことは約束していない。
「あー、くそ、ちょうどいいからってドッキリ仕掛けようとしなければよかった。いいか、ネタ晴らしするとここは俺の店だ。これでいいだろう?吐け。」
「本当に?聞きたいから嘘ついてるんじゃなくて?」
なんか嘘くさい。とジト目を送ってるとさきほどの店員さんが来た。
「サクラ様。会長が言っていることは本当のことですよ。ネタ晴らしもされたみたいですし良ければ奥の部屋にどうぞ。」
「へ?」
「そういうこった。行くぞ。」
こうして会長室までどなどなされた。
*****
Tips あなぐま
ひょろっとしたエニシャ。でっかいソアラ。ちっこいメルの三人パーティー。全員斥候とかなりバランスが悪い。基本、敵を先に見つけて先手を取るか、逃げるかしている。ルアードと仲が良く、冒険者よりも雑用のほうが板についている。魔法を使えるメンバー募集中!
サクラ「はい、カトレアちゃん。肉串あげる。」
カトレア「?ありがとう。頂くわね。」
サクラ「きゃー、間接キスだー。」
スティム「子供かっ。」
次話は明日の17時投稿予定です。
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