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22話_王都へ

「ほう、お嬢さん達は七龍学園に向かってるのか。唾つけとかなきゃな。」


 にやりと笑うルアードさん。


「そうだな。王都を案内しよう。おすすめのお店も教える。」

「そこってルアードさんとこのお店?」

「もちろん。」


 再びにやりと笑うルアードさん。商魂たくましい。


「案内の対価になんか買えって言われても買わんぞ。嬢ちゃんたちに金の無駄遣いをさせるわけにはいかねえからな。」

「いえいえ、そんなこと言いませんよ。気に入ったものがあった時だけ買ってください。ただ、お願いがありまして。」


 敬語になった。途端に胡散臭さが増したな?


「あ?面倒ごとは引き受けんぞ?」

「まあまあ、そんなこと言わないでください。王都まで護衛をしていただければいいだけですから。」

「もちろん情報はくれるんだな?」

「ひゅ~。話が早いといいね。」

「??どういうこと??」

「後で説明するから今は話を聞くぞ。」

「はーい。」


 情報ってことは何かあったのかな?


「王都の近くの魔物が活発になってるみたいだからなるべく護衛を手厚くしたくてな。ウィードさんは腕が立ちそうだしお嬢ちゃん達もさっきの動きを見たら動けそうだ。」

「なるほどな。そういうことならいいぞ。そっちの護衛はだれだ?」

「あいつらだ。王都で多少は名が売れてる。」


 三人の女性が近くに来た。ひょろっとした雰囲気の人とデコボココンビの三人だ。


「旦那ぁ。そこはかなり名が売れてるとか王都で有名っていうとこっすよ。」

「色物パーティーでしかないお前らは良くてもそこそこだろう。せめてバランスをそろえろよ。」

「あっはっはー。そういいつつも贔屓にしてくれる旦那には感謝っすね。あっしらは王都で冒険者やってる“あなぐま”ってパーティーっす。あっしはリーダーのエニシャ。ちっこいのがメルででっかいのがソアラっす。よろしく頼むっすよ。三人とも斥候向けなんで、あっしらは先頭守ります。んで、おっちゃんたちには殿任せていいっすか?」


 あなぐま...。似合わない名だ...。左右か前後に分かれるのは当然だ。良く知らない相手との臨時パーティーの場合、近くにいると逆に邪魔してしまう可能性が高い。

...?三人とも斥候?あのでかいソアラって人もなのか。


「そういうことなら了解した。王都までの短い間だがよろしく頼む。」

「そこの嬢ちゃんたちは王都ついてからも一緒でいいっすよ?あっしらのパーティーはみんな物理タイプだから魔法使える人募集中っす。」

「断る。」

「遠慮しておきますね。」

「うぅ。バッサリっす。サクラっちはどうっすか?」

「んー、王都着いたらそれどころじゃなくなると思うからなー。」

「?」


 学園もあるし私の場合は魔王退治の旅に出る可能性も高いだろう。神霊との契約者とかじゃないとついてこれない旅になるはずだ。


「私もごめんなさい。」

「そっすよね。まあダメもとだったしいいっす。あらためて王都までよろしくっす。」

「「「よろしく!」」」


 こうしてルアードさん一行と合流して王都に向かうのだった。


―――


「そうだウィードさん。情報だー。って下りの説明お願い。」


 数十分進んだころ、見渡しのいい道に出たため少し警戒を緩めたタイミングでさっきの話を聞いてみた。


「ん?ああ、あれか。そうだな…。商人ってのはなんだ?」

「ものを売り買いする人。」

「そうだな。そして商人には金にがめついやつが多い。あのときルアードのやつはなんて言ってた?」

「王都は案内するけど物を買う必要はない。だったかな?」

「そうだ。つまり金もとらずに働くって言ったんだ。」

「ってことはお金の代わりに王都の案内で護衛を雇うつもりだったと。」

「そ、商人は金にがめついが自分の命を特に大切にするやつが多い。命あっての物種だからな。そんな奴がわざわざ遠回しに金以外で雇われろって言ったんだ。」

「そっか、さすがに王都の案内と護衛じゃ釣り合わないから、足りない分として情報を渡そうとしたんだね。商人としてただで情報を渡すのは主義に反するから。」

「そういうこった。」


 商人ってめんど…大変そうだな。知識チートとかやろうとしなくて良かった。…できなかっただけとも言うけど。


「ほう、お嬢さんも頭が良さそうだ。」

「あ、ありがとうございます。」


 大体理解できたところでルアードさんが近くに来た。


「お嬢さん、その良い頭でなにかいい商売のタネが浮かばないかい?」

「え?いや、特にはないですね...。というかなんで私なんです?」

「いやー、なんかびびっと来てね。お嬢さんから金になりそうな匂いがぷんぷんと。商人はこういった勘を大切にしなきゃいけねぇ。」

「本当にないんですが...。」

「本当かい?隠してないよな?」

「おい、やめろ。嬢ちゃんが困ってる。」

「おっと済まねえ、つい力が入っちまった。じゃあお嬢さん。何か良いこと思いついたらルアード商会に持ち込む頼むぜ。色付けるよ?」

「分かりました...。思いついたらですからね。」

「おう、それでいい。」


 満足そうな顔をして元の位置に戻っていた。


「押しの強いやつだったな。」

「だね。そういやソアラって人。「ピィーーー!」行こう、ウィードさん。」

「おう。」


 先ほどの笛の音は緊急事態の連絡だ。魔物が集まってきてるのだろう。


「よし、集まったっすね。ソアラっちが見つけてくれたんすけど、この先にオークとオーガが混在した群れがいるっす。危険なので迂回したいっすけどどうするっす?」


 ソアラさんが見つけたのか。どうやったんだろう。


「サクラ?人の技能の詮索は禁止よ。」

「知ってるよ。毎度心を読まないで。」

「サクラの事だから聞くだけ聞いてみようとか思って突撃すると思ったのだけど?」

「うっ。この後聞きに行くつもりでした。」

「絶対だめだからね。」

「はーい。」


「おい、そこの二人。話聞いてたか?」

「道をそれるのも大変だし、回り込まれても致命的だからそのまま進んで倒すんでしょ?ちゃんと聞いてたよ。」

「...。まあいい。あなぐまの三人とカトレアはここに待機してルアードさん達の護衛を継続。俺とサクラとウィードの三人でオークとオーガを殲滅する。異論は?」

「「ない。」」

「ま、待つっす。」

「三人でオーガもいる群れの殲滅は無理っすよ。全員で行かないと。」

「いや、、それだと護衛が手薄になるだろう。俺たちの任務は殲滅じゃなくて護衛だ。安全を確保するために戦っても安全を放棄していいわけじゃないだろう。」

「そうっすけど...。やっぱり無茶っす。」

「俺たち三人なら余裕だ。それにお前たちは全員斥候向けだと言っていただろう。助けはいらん。」

「…わかったっす。その代わり危なくなったらすぐに逃げるっすよ。」

「...。その判断をするのは雇い主の俺だこの阿呆。逃げてこっちに来られると全員巻き込まれる。逃げてもいいが別々の方向に、なるべく多くの魔物を引き付けてくれ。」

「はぁ。その指示を出すなら追加で料金を貰うぞ。情報と案内だけじゃ割に合わん。」

「分かってる。店で好きな商品を一人三つ持っていけ。」

「ふん。高級なものをふんだくってやる。サクラ。ウィード。準備はいいな?」

「もちろん!」

「うし、行くか!」


―――


「はっ、ほっ。」


 接敵してから数分間、とにかく近くの魔物を切りまくった。


「おらぁ!」

「思ったよりも多いねー。」


 一体一体は大したことないがとりあえず数が多い。せっかくだし特訓の成果を出すときかな?


「スティムー。あれやるよ!」

「おう。」


「「アースメイデン」」


 アースメイデンはスティムとの合わせ技だ。スティムがアースウォールで相手を囲み、私が魔力で操作して内側を串刺しにする。対集団戦においてかなり凶悪な効果を発揮する。


「お前らえげつねぇな…。うらぁ!」

「いやいや、そっちもかなりえげつないよ...。」


 ウィードさんは喋りながらも刀で群れを薙ぎ払っている。無双ゲームを見てるみたいだ。


―――


「アースニードル」


 更に数分後、最後のオーガにとどめを刺す。


「やっと終わったか。」

「結構いたねー。魔物が活性化してるって本当みたいだ。」


「いやー、三人とも強いねー。雇って良かった。」

「約束通り一人三つずつ商品貰うからな。」

「もちろん約束は守るよ。商人は信用が第一だからな。ついでに宿も手配しておく。入学前だと入寮できないんだろ?もちろん金も俺持ちだ。」

「太っ腹だな。いいのか?」

「ああ、想定以上にあんたらが強かったからな。今後も仲良くしたい。」

「ふん。そういうことか。ありがたくお世話になろう。」

「ええ、任せてください。」


 この後は特に魔物の集団に襲われることなく無事に王都に着いた。

ちなみにあなぐまの三人は戦ってる間ずっと口を開けていたらしい。


*****

Tips ルアード・テスラ

 ルアード商会の会長。若手だが他の商会の長達にも引けを取らない実力の持ち主。金への嗅覚がするどく。運もとてもいい。ここぞというときは勘を信じて成功してきた。サクラから金になりそうな匂いを感じて目を付ける。

サクラ 「ふっふっふー。これがフラグの効果ってやつですよ?カトレアさん。」

カトレア「どや顔してるところ悪いけどもう遅いわよ。」

サクラ 「がーん。」





次話は明日の17時投稿予定です。


誤字脱字報告お待ちしております。

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