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11話_サクラへの試練 <ローズ視点>

初めての母視点です。

なんか主人公以外の視点っていいですよね。私は好きです。

「ローズさん、サクラは合格か?」

「見守っててくれてありがとうね~、ウィード。そうね~。及第点はあげてもいいかしら~。」

「こりゃまた厳しいねぇ。」

「発想は良かったけど~、後先をもっと考えて欲しかったわ~。」

「それは初戦なのに高望みしすぎだろう。」


 まったく、ウィードは一年間もサクラの師匠をしていたのに何をみていたのかしら。この子ならそれくらいできてもおかしくないでしょう。

  腕の中で眠ってしまった我が子の頭を撫でる私はローズ・トレイル。今回のピクニックからのウルフの襲撃はサクラの試練としてウィードと共に計画しました。体を休めてほしいといった気持ちも本物でしたが、サクラには安全な状況で初めての実践をしてもらいたかったのです。

 試練を開始したのは一年前、ウィードが任務といってサクラから離れていったとき。

 最初の試練は師匠がいない中でもひた向きに努力を続けられるかの確認。あの子は師匠に言われたことを守りつつ一年間ずっと努力をしてきました。

 次の試練はサクラの実践への好奇心を刺激しつつ私が邪魔をするといったひどい仕打ちをしながらもサクラの隠密能力を鍛えてきました。

 そして今日、最後の試練として一人で魔物を倒すことができたら試練は合格。今後は私が直接サクラを鍛えようと考えていました。


「それにしてもやっぱり嬢ちゃんは強いな。」

「ふふふ~、サクラはただのウルフだと思ってたみたいだけど、一年かけて育てたCランクレベルのウルフも倒せましたからね~。」

「まったく無茶させるぜ。」

「それはサクラに?それともあなたに?」

「どっちもだよ。適当な魔物をある程度育てろとか正気を疑ったぞ。」

「えぇ~、あなたのことは信頼しているから心配してないし、サクラは私の子ですからね~。」

「はっ、ちげえねえ。薔薇の女王の娘は桜の姫ってか?」

「ウィード。それをいうのは禁止ですよ?」

「悪い悪い。」


 エルフの王女として生まれた私は森に閉じ込められる生活が嫌で家を飛び出しました。周りには立派な女王になるために~なんて言って外に出てきたのだけど、単に世界を見る旅をしたかったのです。旅を始めると、ウィードを始めとした心強い仲間に囲まれました。ちょっとしたやんちゃをした結果、薔薇の女王なんて二つ名を付けられてしまったのはサクラには隠したい黒歴史。絶対に隠し通します。

 なぜかサクラは私がか弱いと信じて疑わないみたいですが、私はSランク冒険者として活動していました。やんちゃしすぎた私は仲間以外のほとんどに恐れられ、会う人会う人に化け物を見るような目で見られる程度には強かったんです。

 そんな中で、化け物としてではなく人として見てくれた人間に惹かれた私は仲間に反対されながらも冒険者を引退しました。サクラを産んで、その時に相手が実は私を“人”ではなく“才能ある子を産むための道具”として見ている人だったと気がつき、別れてから8年。不思議なこの子と生きてきました。


「それにしてもローズさん。どうやったら嬢ちゃんみたいな子が育つんだ?胆力もだが想像力も思考力もあり得ないほど高いぞ。」

「ん~。生まれつき天才だったのよ~。」

「はぁ、やっぱり親ばかだな。」


 ウィードはため息をついていますが本気でサクラは生まれつきの天才だと思っています。

 生まれたて直ぐ、実の父の言葉に反応して泣き出し、しゃべる前から合図を考え、今まで見てきた子供よりも早く歩き始め、まるで大人のような思考力を持つ...。ふふふ。やはりサクラは天才なのでしょう。


「やはり天の適正か?」

「そうだと思うわ~。氷華の本来の能力は切り口を凍らせるだけのものだもの。あんな使い方は天の適正がないとできないわよ~。」


 この子の父親は適正無だと言ってサクラを捨てたけれど、鑑定で適正が分からない場合は超級適正を持つことはエルフの中で常識。ただ、それを言うとサクラを道具として利用しそうだったから黙って別れた。サクラに会わせてもらえたこと、現実は違ったけど化け物ではない人として接してもらったことは感謝していますが、もう二度とあの人と関わることはないでしょう。


「魔刀か。二年前は良く嬢ちゃんに渡したな。下手すりゃその場で氷漬けだっただろう?あれ。」

「まさか~。あの子は私よりも魔力が多いもの~。氷華が認めないなんてありえないわ~。」

「まじか、嬢ちゃんの魔力ってローズさんより多いのかよ…。」


 サクラの魔力は生まれつき私よりも多い。その上、今も増え続けている。


「巨大な力に潰されないためにも。誰かに利用されないためにもしっかりと鍛えないとね~。」

「今から嬢ちゃんが気の毒だな...。」


 なぜかウィードが引き攣った笑いをしていますが気のせいでしょう。


「どんな修行をさせようかしら。」

「力加減間違えて殺さないようにな。」

「あらあら~。私の子よ~?少しくらい厳しくても大丈夫よ~。」

「ローズさんの少しは少しじゃないんだよな。」


 可愛いサクラも生まれたことだし後数百年の間、帰るつもりはありません。まだまだこの可愛い我が子を愛でていたいし、エルフのみんなはのんびりしている人が多いからそれくらい気にしないでしょう。


*****

Tips 神霊

 創造神の子供達。全員で七人いてそれぞれが各種族の祖となっている。普段は猫の姿をとっているが戦闘する時は龍の姿をとる。また、気に入った存在と契約を結び、契約者とそっくりの見た目の人型をとることもできる。


レオンハルト・R・シャオローナ(レオン):普段は金目金毛の猫の姿をとっている。尊大な態度をとっているが猫の姿なので可愛いだけ。日を司る。


ドラゴハルト・S・シャオローナ(ドラン):普段は赤目赤毛の猫の姿をとっている。怒りっぽいが猫の姿なので怒っていても可愛いだけ。火を司る。


ジークハルト・A・シャオローナ(ジーク):普段は黒目灰毛の猫の姿をとっている。いろんなものを欲しがる姿がとても可愛い。土を司る。


ヴィヴィリア・A・シャオローナ(ヴィー):普段は赤目黒毛の猫の姿をとっている。とても上品でなぜか色っぽい。月を司る。


リーヴィア・R・シャオローナ(リヴィ):普段は緑目青毛の猫の姿をとっている。一度懐くとずっと付いてきてとても可愛い。水を司る。


ルルディア・B・シャオローナ(ルディ):普段は桜目水毛の猫の姿をとっている。よく食べる姿がとても可愛い。金を司る。


セレシア・B・シャオローナ(セレス):普段は水目桜毛の猫の姿をとっている。よく寝る姿がとても可愛い。木を司る。

次話は明日の17時投稿予定です。


誤字脱字報告お待ちしております。

コメントや高評価を頂きますとモチベアップにつながりますので是非お願いいたします。

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