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希望の物語 演義  作者: よむよみ
第二章 文明発展コンテスト

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第十六話 筋肉のマスクル

 私はモニターに映ったそれぞれの星の様子から、ホープ様の星を再び探した。

 季節は春で、山頂には雪がまだ残っている。どちらかというと寒冷な気候なようだった。

 当てはまりそうな星を探していて、ようやく見つけた。

「やっと見つけた。まさかこんなところにあるなんて」

 天界から遠く外れたところにポツンと一つの恒星がありその周りには四つの惑星。

 四つの惑星はまるで兄弟のように同じ形で恒星からの距離も同じ。

 公転の角度も均等に45度ずつずれていて、条件は完全にそろえられているようだ。


 私は、コンテストの様子を大型モニターに映しながら、自分のモニターで四つの星を確認していた。

 時々、大型モニターから歓声が上がる。

 一番最初に盛り上がりを見せたのは、ごつい体をしているマスクルのようだ。


 ◇


 俺はマスクル。

 天界の外敵に対して真っ先に挑む特攻隊長だ。

 例え正体不明の敵が現れたとしても、真っ向からぶつかっていく。

 生傷は絶えないが、俺はその傷を誇りに思っている。


「よく食べ、よく鍛え、よく眠る」

 そうやって、傷に強く、回復の早い、健康的な体を作り上げる。

 それが俺の信念、マッスル イズ ビューティーの理念だ。

 黙々と日々鍛える。そして、鍛えられた筋肉は絶対に裏切らない。


 この文明では、俺は冒険者としてギルドに所属していた。

 危険な動物やモンスターの情報が入れば、直ちに駆けつけて、即時解決。

 最近では、俺の信念に共鳴した仲間も増えた。

 穏やかな日には、一緒に筋肉を鍛えている。

 モンスターを倒した後、筋トレの後、仲間と飲む酒は格別だ。


「いよいよ明日ですね」

 仲間の一人が声をかけてくる。

 この世界では、コンテストのモンスター情報は天のお告げとしてギルド経由で伝えられている。


「ああ、そうだな。今日は早く寝ろ。

 明日のモンスターはいつもよりだいぶ強いらしいが、やることは変わらない」

「見つけ次第、速攻で倒す。ですね」

「もちろんだ」

 俺たちは手をがっしりと握り合った。


 翌日、仲間たちと山の中腹へ向かう。

 普段と変わらぬ岩肌が広がる場所――ギルドの情報によれば、ここに現れるらしい。


 地底から地響きが鳴る。

 低く、不穏さをまき散らす音。

 辺りの地面が波打っていく。

 次の瞬間、地表が裂け、巨大な腕が地面を破壊しながら現れる。


 オルドレム――ゴーレムだ。


 人の三倍、いや四倍はあるか。

 腕は異様に長く、足は岩柱のように太い。

 体は岩石質、可動部は粘土状。

 動くたびに粉塵が舞う。

 額には青白く輝くクリスタルが埋まっている。


「おら!おでましのようだ!みんな、やるぞー!」

 俺は、気合を入れなおして、叫んだ。


「現れたぞ!かかれー!」「いけー!」「やれー!」

 仲間たちの掛け声が、地響きにも負けず響き渡っている。


 ゴーレムは動きこそ鈍いが、攻撃は重力まかせ。

 多くの攻撃は避けられるが、時折負傷する者もいる。

 だが、負傷者は下がって回復し、また前線に戻る。

 一撃入れて、疲れたら、下がって、回復して、また殴る。

 それが俺たちの流儀だ。筋肉は、休ませるとさらに育つ。


 剣では効果が薄く、刃こぼれもひどい。

 俺はすぐにハンマーに持ち替えた。

 岩は筋肉でたたき割るしかない。ハンマーはそのための武器だ。

 ハンマーの一撃が、ゴーレムの装甲を少しずつ削っていく。

 剣と岩がぶつかる音と共に、ドォーンという重い打撃音が鳴り渡る。


 そして――俺の一撃が、ゴーレムの左足を破壊した。

 巨体がぐらつく。左足を失い自重を利用した攻撃の威力は半減、動きもさらに鈍くなる。

 岩を持ち上げて投げる攻撃に変わったが、動きは単調でさらに読みやすくなった。

 仲間たちも続けて次々に攻撃を打ち込んでいく。俺も、もう一度振りかぶる。


 ついに、ゴーレムの動きが止まる。


「勝ったぞー!」「えいえい、おー!」

 鬨の声が山肌に反響する。

 俺たちの筋肉が、神の試練を超えた瞬間だ。


 よく食べ、よく鍛え、よく眠る――それだけで、神の試練にも勝てるってもんだ。

 そして、勝利の後は、筋肉にご褒美を。今日の酒は、間違いなく最高だ。


 ◇


 マスクル達だけでなく、天界でも歓声が上がっていた。

 マスクルと同じぐらいごつい体をしている神々が、拳を突き上げ「筋肉を讃えよ!」と叫んでいる。


 各星の様子を確認しながら耳を傾けていたが、すごい暑苦しいと感じた。

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