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第15話:【後夜祭】キャンプファイヤーの誓い

学園祭の狂騒が嘘のように静まり返った、校庭の中央。巨大な薪がパチパチとはぜる音と共に、オレンジ色の炎が夜空を焦がしていた。

 遠くで他の生徒たちがフォークダンスに興じる中、シュウたちはテツクズ号の影、少し離れた静かな場所で、小さな焚き火を囲んでいた。

「……ふぅ。……疲れた。……足、パンパン」

 ミーニャがシュウの膝に頭を預け、銀色の猫尻尾を力なく地面に投げ出す。その耳も、今日一日の大立ち回りを物語るように、くったりと垂れていた。

「本当よ! なんで第一王女の私が、あんなに必死に注文を取らなきゃいけないのよ……。……でも、……みんな、『美味しい』って言ってたわね」

 フィオナが膝を抱え、炎に照らされて少しだけ柔らかい表情を見せる。その黄金の髪が、夜風に吹かれてキラキラと輝いていた。

「……おう。俺の打った什器も、一度もへこたれなかったぜ。……シュウ、仕上げの『あれ』、出しちまえよ」

 ガストンが促すと、シュウは焚き火の灰の中でじっくりと蒸し焼きにしていた「北方産の魔導芋」を取り出した。

 包丁を入れ、真っ白な湯気が立ち上る中、シュウは自作の「香草バター」を落とす。

「……食え。……これが、今日一番の『ご褒美』だ」

 五人と一人が、等しく分けられた芋を口に運ぶ。

 濃厚な甘みと、鼻を抜ける精霊の森の香り。

「……っ!! ……美味しい……。……何これ、疲れが全部溶けていくみたい……」

 エレインの翡翠色の耳が、今日一番の速さでプロペラのように回転を始める。彼女の瞳には、微かに感動の涙が浮かんでいた。

「……ふふ。私の計算では、この味が未来の『晩餐』の柱になりますわ。……ねえ、シュウ様。いつか、境界線の向こう側でも、こうして皆で食卓を囲めますわよね?」

 リィネが金色の瞳を細め、願うようにシュウを見つめる。豊かな狐尻尾が、焚き火の熱に煽られてゆらゆらと、確かな希望を描くように揺れた。

「……ああ。……最高の食材を、最高の場所で、……また全員で喰おう」

 シュウの言葉に、誰からともなく笑みがこぼれる。

 炎の粉が星空へと舞い上がっていく。

 「ゴミ」と「鉄屑」と「はみ出し者」たちが、一つの炎を囲んで結んだ静かな誓い。

 それは、後に世界を蝕む闇を喰らい尽くし、勝利の宴へと繋がる、かけがえのない絆の原点だった。

次回予告

第16話:【教室】雨の日のトランプ、あるいは「全賭け」

激しい雨で訓練が中止になった昼休み。教室でトランプに興じる一行。リィネのイカサマ級の計算vsミーニャの野生の勘。そして、罰ゲームの「シュウへの告白(?)権利」を巡り、教室が戦場と化す!

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