魔族と仲良くなるのは悪くないよね! ④
「麗くーん、髪拭いて〜」
「分かりました、」
マオリと会ったその日の夜、夜ご飯を食べてお風呂を上がってパジャマのシルクのワンピースを着て椅子に座れば、万能執事狼牙こと麗君に風魔法で髪を乾かして貰う。
男の時だったらタオルだけだったけど、こっちの姿は髪長いから正直1人だと大変だ。
狼牙ってキャラは設定として、闇・光・無属性以外の魔法が使えれるから意外と何でもこなせるキャラなので、頼りにしてる。
程よい風当たりで、気持ち良くなっているとベランダ側から視線を感じる。カーテンは閉めてるけど少し隙間があるが、麗君も俺と同じで感じているらしいのか、チラチラと視線向けてる。
小さな声で、話しかけて来る。
「(優衣先輩、誰か外に居ませんか?)」
「(麗君も分かる?お風呂入る前には寮の敷地内には居たけど、、、、殺気は感じないし、敵意も感じない、かな)」
常に感知魔法で、半径100メートルの人は勿論動物達を感知してるが、人や獣人、エルフとは違う魔力と身体構築をしているのが気になる。
この魔力に近いのは、マオリ、だ。
だが違う。感知魔法は距離が近いほど情報が分かるのに、この人物は分からないのが気になる。
此処で引いたところで、気になるだけでちゃんと寝れなさそうだし、やってみますか。
髪を乾かし切るのを待って椅子から立ち上がり、ベランダ側に近づきカーテンを開けるとまさかの人間?がそこに立っていた。
「!、ま、マオリの執事さん!」
「こんばんわ」
そう、マオリが特に信用しているだろう、ゲームなどでもそばに立っている事が多い執事さんが居て、思わず目を見開く。
気配だけなら、感知魔法特化の俺と元暗殺者の麗君の他の人なら気付かないだろうし、魔力まで制限すれば暗殺者も驚きの働きがこなせるだろうな。
って、心の中で思いながら急いでベランダの扉の鍵を下ろして開ける。
一礼してから、中に入る執事さん。それと同時に結界魔法で部屋全体に結界、そして音が漏れない様に防音効果を付与させておく。
「失礼しますよ。すみません、夜遅くに」
「い、いえ。急にどうした、んですか?」
「優衣、ユイリア様、紅茶お淹れしましょうか?」
「ぁ、うん、お願い」
「実は、マオリ様の事で、言っておきたい事がありまして」
「言っておきたい事???」
執事さんを椅子に座らせながら、麗君に紅茶を淹れて貰い、訪れた内容を聞く。
執事さんを改めて見るけど、イケメンだなって感想。魔族特有のツノは生えてるし、メガネをかけて、王宮の服とは違うけど執事服を着てるから、多分執事だと俺は予想してるけど。
用事が何なのは、気になる所。
麗君に淹れて貰った紅茶を一口飲み、落ち着く。
〈優衣、この人の名前はグレイ、マオリの執事兼従者だよ〉
〈ぁ〜、ユイリアの記憶の中で見た事ある。めっちゃ強いんだよね〜〉
「(へぇ〜、、、、)」
「私はグレイと申します。マオリ様と貴方、ユイリア様のご関係はマオリ様や前専属執事から聞いております。ユイリア様はご存知だとは思いますが」
「ぁ、はい」
「マオリ様はまともに友人と呼べる様な人物が居た事はありません。魔族のマオリ様と同年代の方々の中にはマオリ様を利用しようとする者も居ます。そして、貴方様はマオリが誰であろうと、再会して魔王だと分かっても、仲良くしてくれた。それに感謝を申し上げます」
そう言って深く頭を下げながら言うグレイを見て驚くと同時に律儀な人だとたったこれだけで分かった。
びっくりし過ぎて持ってたカップを落としそうになったし、麗君は危うくグレイ用の紅茶を溢しそうになってて、心の中で笑ってしまう。
でも、わざわざそれを言う為だけに此処に来たのか?と言う疑問が頭の中で浮かんだがすぐに答えはグレイから聞けた。
「マオリ様は人間界の常識や何があるのか、流行っているのかは存じていても友人と遊ぶ、と言う経験が少ない。そして魔王として確立した今、貴方様に言うのもアレですが世間知らずなマオリ様を監督出来るのは貴方様だけなのです」
「!、、ぉ、(じゃなくて)わたし、7歳ですよ」
「それは存じております。ですが、貴方様は私の予想ではございますが、マオリ様より精神年齢が高くお見受けなさるので」
「、、、、(この人、丁寧な口調でマオリを貶した。いや、単に俺の精神年齢が以上に高いと言いたいだけか?)」
まぁ、マオリって人族とかで言えば15.6歳だし、元22歳児の俺からしたら年下だし、違うとは言えないな。
それにしても、ちゃんとマオリの事を思ってお願いして来るのは好感度が高いポイントだし、大事に思ってるってのは言葉の端々から伝わって来る。
此処まで言われて断る様な性格は俺には携えてないし、断るなんて明らかに子供だしね。
〈いや、今の優衣は子供だし〉
〈ちょ、神様!〉
「(ん?なんか言った???)」
〈〈いえ!なんにも!!〉〉
「(そう)」
いつも通り、神様とユイリアのおふざけを静止しながら、紅茶入りのカップを机に置いて、姿勢を正してグレイの顔を見つめ、言葉を紡ぐ。
「、、、、分かりました。マオリの事任せて下さい。グレイさんは文化祭当日はどうするんですか?」
「私は陰ながらマオリ様の護衛を。私がそばに居れば真に楽しめるとは思えませんので。もし、この情報が何処かに漏れれば、暗殺、の可能性もありますから」
「そうですか。でも大丈夫です、わたしの執事のれ、狼牙は元暗殺者なので強いです!」
「そうなんですね、、、、もしや、ユイリア様を攫ったと言うのは」
「ッ、、、、はい、俺です」
グレイからの視線と質問に、さっきまで息を殺してた麗君の顔色は真っ青でちょっと可哀想な発言しちゃったと反省。
でも、ちゃんと返答をするあたり本当に良い後輩、そして執事を持ったな、と心の中で大歓喜をする俺だった。
「今は反省しるから大丈夫ですよ。あとこの事はマオリにはご内密に。知ったら暴れそうなので」
「了承しました。お引き受けて貰い感謝します、そして夜遅くに訪れた事、申し訳ございませんでした」
「いえいえ、いつでもいらっしゃって下さい」
「では、失礼します」
グレイはそうして、ベランダに向かうので結界を解き、居なくなったのを確認したら、麗君が大きなため息が耳に届いて、心情が分かって苦笑いしてしまった。
それを見られて、ぷんぷん怒る麗君。
「急に俺を話の話題に出さないで下さいよ!優衣先輩!」
「ごめんごめん。安心させる材料で咄嗟に出ちゃってさ」
「もし、マオリに知らされてたら、俺死ぬ所だった」
「ごめんってば、許してよ〜」
「、、、、だったら文化祭1日目、自由行動させて下さい」
「!、全然良いよ。寧ろ楽しんでおいで(麗君がこう言うとは)」
そう言えば、友人が出来たって言ってたっけ。
ちゃんと12歳の子供らしい事出来てるみたいで安心するが、一気に頭上がうるさくなるのだけは安心出来ない材料だったし、目と心を逸らしたくなるがそれを許されないのは俺の運命だろう。
〈優衣って俺とユイリアの事になったら容赦ないのに、なーんで他の身内には甘いのかなぁぁ〜〉
〈しょうがないですよ、優衣はツンデレですから。しょうがない、しょうがない。私達は我慢するのが定め〉
〈でも、俺達だって寂しいのにさぁ〜、贔屓だよね〜」
「(、、、、、、、、回線切ってないだけ、慈悲があるのを理解しろ。誘拐犯)」
〈〈ごめんなさい!!!!!!!〉〉
こう言えば謝って静かになる。
間違ってないしね。
なんて心の中で呟きながら、隣の部屋へと戻って行く麗君を見送りながら、部屋の電気を消してベッドへと向かい、数日後に迫った文化祭、そしてマオリとの遊びを楽しみだな、と思いながら眠りへとつく。




