魔族と仲良くなるのは悪くないよね! ③
「え、マオリって学校通った事ないの???」
「うん、ずっと通いたかったけど、魔王としての勉強があったからね」
「そっか、、、、それはなんか勿体無いよね」
次の週の金曜日の放課後、狼牙こと麗君の付き添いありでマオリとまた会いながら現状報告や会わなかった間の話をする。
家臣さんが用意したであろう椅子に座りながらお茶をするのは側から見たら結構シュールだと思う。
その中で学校の話になって、通ってないと言う事実が発覚した。これはファンブックにも書かれてなかったから、結構衝撃だったし、知れて良かったから内心ワクワクしている。
だけど、通う事が普通だと思ってしまっている俺からすれば、通えない事が辛い、と思ってしまってる可能性があるから、気になる所存。
「それに魔王の子供が学校なんて、あり得ないよね」
「あり得なくないよ!」
「!」
そう言ったマオリは笑ってた。でも悲しそうな顔で笑ってて、辛いのを隠す様にだ。
それを見て俺はすぐに否定した。だって、そんな事思って欲しくない。マオリが悪い奴じゃないって事をプレイヤーとしても、ユイリアとしても分かってるからだ。
それにね、マオリは気付いてないだろうけど、マオリの家臣さん達もマオリがそんな事を言うのは嫌だって、悲しそうな顔をしてるの気付いてないでしょ。
「私はね、通いたいって気持ち、分かるよ。わたしもお兄様達が学校の話とかすると、良いなぁ、って思ったんだ。だから、通いたいって気持ちは分かるし、良いと思う」
「、、、、そっか。嬉しい。でも魔王として勉強したけど、ユっちゃんが居るから、僕も学校通いたいな。同じ学年は無理でも、さ、、、、えへへ、子供っぽいかな」
「、、、、、、、、そ、そっかぁァァァァァ。嬉しいなぁァァァァァ(可愛過ぎんだろぉ!!!!!!)」
思わず心の中で叫びながら、軽く心臓部のワンピースの布を握り締める。
それは麗君も同じらしく、背後から微かに草が動く音がして多分崩れ落ちたんだと思う。分かる、可愛い、うん、イケメンの笑顔ほど破壊力の高いものはないもんだ。
だけど、何故か頭上からも崩れ落ちる音が聞こえたのは気のせいだろうか。
〈優衣って意外と面食いだよねぇ〜、ユイリア、、、、ユイリア?、、、、!!ユイリアまでダメージを!?〉
〈昔を思い出してダメだった。可愛過ぎる、、、、可愛い、、、、死ぬ、、、、って、もう何回も死んでるんだった笑〉
〈「(笑い話じゃない)」〉
思わず俺と神様はユイリアの言葉にツッコんでしまった。
間違ってはないけど、笑って言う事ではないよね、って思う。
だけど、ユイリアのおかげで冷静になったと言うか、トキメキが抑えられたから良かったっちゃあ、良かった。
お茶を飲んでホッと一息してると、またマオリから衝撃発言を聞かされる。
「ぁ、そうだ。僕、聞きたかった事があるんだ」
「ん?何?」
「ユっちゃんって男と女、どっちが好き?」
「ブフッ、、、、ゲホゲホッ、ケホケホッ、、、、きゅ、急なしつ、質問、だね」
王族、皇女らしからぬお茶を吹き出してしまった。が、今はそんな事は関係なく、マオリからのまさかの質問に動揺が隠せない。
確かにこんな格好してるから気になるのは分かるし、でもそれは【恋する乙女達(♂)のハッピーエンド】を作った製作者側が決めた事だし、俺だってなんで!?って思うし!
なんて答えれば良いのか、分からない。此処はユイリアとしてか?
〈今のユイリアは優衣だし、優衣ので良いと思うよ、私は〉
〈そうそう、と言うか優衣は前世を含めてどっちなの?面食いだし〉
「(うーん、女の子は可愛いとは思った事はあるけど、好きとか付き合いたいとは思った事はないから、、、、多分、男が好き、なんだとは思うけど)」
〈〈じゃあ、そう答えれば良い〉〉
分かってるよ。それぐらい。
隣に座るマオリの期待した目に誤魔化しは効かないし、するつもりはない。
それに何故か、離れた所で見守っている麗君も気になっている表情をこっちに向けているから、嘘付くのは悪い気がするから、先輩心で素直に言おうか。
それにこの世界は、好きな人が男とか女とか関係ないから。
「わたしは、男の子が好き、だよ」
「!、、、、そっか。良かった」
「?何が?」
「いや、もし女が好きだって言われたら、どうしようかな、、、、と」
「、、、、どうするつもりだったの?」
思わずそう聞き返してしまった。マオリから出るオーラがなんか、不穏でお茶が入ったコップを持つ手が無意識に力が入る。
聞き返した俺にマオリはニコッと笑ったと思ったら、一言こう言って俺は全身に寒気に襲われた。
「洗脳、、、、かな」
「ヒェッ」
〈〈ヒェッ〉〉
「(、、、、死)」
まさかのマオリの言葉と顔に俺は言葉を失ってしまった。
だって言葉もだけど顔と言うか目が笑ってなかったんだよ。その様子を見ていた神様、ユイリア、そして麗君もダメージを負ったのは流石の俺で分かる。
変にツッコんだら、痛い目に遭うから何も言わないでおこう。そうしよう。
「って、そう言えば来月、学園祭があるんだって?」
「ぇ、ぁー、良く知ってるね、マオリ。うん、と言ってもね、わたし達初等部の下級生はお店とかじゃなくてお手伝い、なんだけどね」
「そっか、、、、あのさ、変装するから、学園祭行っても良いかな?」
「!、良いよ!!でも、初日は外部の人は入れないから、2日目なら、招待状送れば優待されると思うよ」
「ヤッタ!」
「「「「ジーッ」」」」
「、、、、ぁ」
マオリが分かりやすく喜ぶとその背後に立っていたマオリの家臣さん達のジト目の視線に気付いたのか、気まずそうな顔をして、「ダメ???」って顔を唯一の人型の魔族の家臣さんと言うか執事さんみたいな人に視線を向けると、腰に手を当てて大きくため息をした。
その動作がなんかアルビーに似てて、キュンときちゃった。
「ハァァ、、分かりましたよ、マオリ様。ただ、ワタクシも着いて行きますから」
「パァァァ 分かった!!!!!!」
「良いお返事です」
許しを得たマオリは満面の笑みを浮かべながら、俺と執事さんを交互に見ながらニコニコしてる。
それが何とも魔王とは思えなくて、魔族だからとかで勘違いされているって事がとっても嫌に思えてくる。
今の俺が、7歳の1人の子供がどうこう出来る問題ではないけど、マオリやまともな魔族には報われて欲しいな、そう思った。




