麗君と主要人物達との対峙 ③
週末、いつも通り何人もの護衛を連れて、お菓子を手にしたアシェルが現れた。中庭で穏やかに過ごす時間が過ごせるとは思った。
だけどいつもとは違う事があった。
「ユイ、久しぶりだね。そしてごめんね。フェリがどうしてもって」
「久しぶり、ユイリア。急に来てごめんね」
「いえ、フェリシアン殿下、、全然大丈夫です」
まさかのアシェルの双子の弟であり、攻略対象の1人でローズウェル王国第4王子のフェリシアンが来るとは予想外だった。
双子だけど二卵性な為、目の色と種族性以外あんまり似てない。アッシュが美人系なら、フェリシアンはイケメン系、だな。
フェリシアンが来るとは予想外で、心の準備が出来てない俺は動揺を何とか隠してるけど、俺の斜め後ろに立っている狼牙こと麗君はアワアワしているのを何とか隠してる。
だけど、その顔、綻びそうだなって思う。
椅子に座って対面しながら、メイドが淹れてくれる紅茶と、アシェルが持って来たケーキを堪能する。
「ユイが攫われた、誘拐されたと聞いた時は、心此処に在らず、になってしまった。本当に心配したよ」
「心配させてごめんなさい、、アッシュ。でも、無事?に帰って来れたよ!」
「それでも、心配だよ。僕がそばに居たら攫われなかったかも知れなかったと何回も考えてしまう」
「アッシュ、、、、」
うーん、前より、なんかユイリアに対して愛が強くなっている気がする。気のせいか?、、、、気のせいじゃないんだなぁ、これが。
何とか、ケーキが気を紛らわせたいな、と思ったが、此処でフェリシアンが仕掛けて来た。
「大事な人がそばに居ないだけで辛いのは当たり前だよ。それは俺も同じだから」
「だよね、フェリ、流石僕の双子だ」
「(ッ〜、双子愛、、、、良き!)」
〈んでもって、将来その双子から愛されるのは優衣なんだけどね〉
〈面白い話だよね、神様〉
「(黙ってて)」
そう、フェリシアンは第1弾から、ずっとユイリアに片思いをしているキャラなのです。
それを知っているのは勿論遊んでいた俺、麗君、そして世界の創造主である神様と、キャラの1人だったユイリアなのだけど。
麗君は心の声聞こえないけど、多分こう思っているはず。
「(将来、奪い合う同士の意見の合致!、、、、数年後、また見たい!尊い!)」
と、言っているだろう。
麗君、カプ厨?って言う奴らしいから。
暫くは、俺の誘拐事件の話になったが、なんとか、何とか話を逸らす事に成功出来て一安心したも束の間。
アシェルからのまさかの言葉に思わずフォークの手を止めしまった。この時、俺の表情に薄く影がかかっている事に麗君だけは気付いた事だろう。
「魔王が代替わりしたらしい。父さんが話していたのを聞いた」
「、、、、」
「ぁー、そう言えば言ってたね。誰だっけ?」
「マオリ、と言う名前だそうだ、、、、ユイ、どうかしたか?」
「!、ううん、何でもない。そっか、魔王さんが代替わりしたんだ、マオリ、さん、、、、ねっ」
「?それなら良いんだが」
冷や汗がたらりと頬に伝う感覚がするが、そんなの気にするほど今の俺に余裕はなかった。
俺は本当に何で何個も何個も重要な事を忘れてしまうのか、またこの厄介と言うか馬鹿な性格を治したいと、思ってしまう。
そう、魔王、この世界に蔓延る魔物、魔族を統べる新たな魔王・マオリ、、、、
を、過去に【ユイリア】の時に会って居た事を何で忘れて居たんだ!!!!!!
〈その場合、優衣って言うより、ユイリアに問題があるんじゃ?〉
〈シッ!今悪い方向を、優衣に押し付けれるんだから余計な事言わないでよ!神様!〉
〈ユイリア、悪い顔してるよぉ〉
なんか、今変な会話が頭上からしたが、今そんな事考える余地はない。
約束したんだよ、確か。守らないと、守らないとヤバい事になる。じゃないと、この世界が終わっちゃう!!!!!!
でも、その約束自分がした訳じゃないから、全然分かんねー!!
だけど、何万回とプレイしてんだ、思い出せばいける!うん!!
今は一旦、、アシェルとフェリシアンの方に集中!!
「ユイ!、、ユイ!」
「はい!何でしょうか!?」
意気込んだ矢先にアシェルからの声かけに思わず大きな声で返答してしまった。
7歳児で王女なんだからもっとお淑やかに、と思うがしょうがないかもしれないと心の中で言い聞かせながら、アシェルの方に視線を向ける。
「!、ビックリした。いや、、学校復学出来るのいつか聞きたいんだけど」
「ぁ、それ、えっとね、、来週ぐらい、かな」
「そうか。それじゃあまだ少しは寂しくなるな」
「図具に復帰するから、、、、心配かけてごめんね」
「別に、心配はしているが、そこまでではない。ユイと過ごす時間が少なくなるのは嫌なだけだ、、、、大好きだからな」
「ッ、、、、(顔面真っ赤)」
もうヤダ、この11歳児。本当に11歳か???日本の11歳児でもこんな事言わな、、、、いや、最近の小学生はませているし言う可能性はあるけど、この世界の11歳児は絶対に言わないって!
と、心の中で叫びながら、何とか両手で顔面の集中する熱さをパタパタと逃す。
〈照れてる優衣可愛い、ね、神様〉
〈そうだねぇ、ユイリア。でも、多分次の優衣の言葉は〉
「(揶揄う暇があるなら、もうちょっと役に立ってよね)」
〈だと思った〉
「そう言えば、、アッシュ、ユイリア知ってる?学校の七不思議」
「「七不思議???」」
フェリシアンの言葉に紅茶のカップを持って居た手を止める。
あの学園七不思議ってあったんだ、って言う事だ。いや、覚えてないだけである可能性はあるか。
「そう、今噂になってて、夜中に本当に起こるのかって、中等部の先輩達が言ったって話」
「ふむ、それは気になる。本当かどうかはまだしも、もしそれで怪我をすれば、、看過は出来ないな」
「そうだね。でも、そう言う噂って何処から生まれるんだろ」
「小さな話から出来るのが良くある話だよね」
「そうだな。それで国に損害を与える話にまで発展しそうだ」
何て、七不思議の話をし終わってケーキと紅茶を堪能しながら、話したい事を話して、フェリシアンともそれなりに仲良くなれたなって実感した夕方ごろに2人は帰宅した。
俺は自室に戻ってベッドにダイブ。その背後には、一応執事として咳払いをする狼牙こと麗君が立っている。
麗君だからこの姿見せるからね?他のメイドとか執事とか、兄達が居たらこんな姿見せられないからね???
って、心の声で言っても聞こえないか。
そう思っていると、麗君が口を開いた。
「ユイリア様、、、、じゃなくて、優衣先輩さっきの魔王の話、覚えてます?」
「覚えてるよ、狼牙、じゃなくて麗君」
「アレ、放っておくのはダメだと思うんですけど」
「それは、分かってるよ」
「と言うか、一応優衣先輩ではなくても会ってますよね?新魔王と」
「会ってるけど、、、、アレって原作としてちゃんと書かれてないんだよなぁ、何があったかも詳しく分からないし」
もし、会うってなってもちゃんと対応が出来なかったらヤバいだろうし、どうしようか、と悩みながらベッドから起き上がる。
下手したらこの国が早く終わる方向に行ってしまうからだ。
それだけは避けたい。避けさせて欲しい。
そう思っていると、タイミング良く頭上からユイリアの声が聞こえて来た。
〈優衣〉
「(ユイリア、何?)」
〈勉強机の1番下の上に、ノートが貼り付いてる。それ取って〉
「(?、分かった)」
突然のユイリアの提案に少しビックリした。だけどその声色が真剣そのもので、それ以上は聞かず受け入れる。何となく意図は理解出来てすぐに勉強机の1番下の大きめの棚を開け、上の部分に貼り付いているものを取ると、本当にノートだった。
俺の一連の行動を見て居た麗君は目を大きくしながら、近づく。それを確認して、ノートを開くと、そこにはまさかの事が書かれて居た。
この時の俺はその内容に思わず息を呑んでしまった。




