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『虚像』  作者: 闇深太郎
9/10

虚像


 (わたし)(かれ)(こと)名前(なまえ)()(こと)にした。(しげる)さんは、(わたし)(はなし)をずっと()いている。()()らずの子供(こども)にここまで出来(でき)るだろうか。(わたし)には()からない。



 怪奇小説(かいきしょうせつ)()いているという(しげる)さんは、(わたし)(はなし)興味(きょうみ)があるようだ。そこで(わたし)(ゆめ)(はなし)や、幽霊(ゆうれい)()った(はなし)をした。どれも突拍子(とっぴょうし)もない(はなし)だったが、(しん)じてくれた。

 もしかすると、都市伝説(としでんせつ)()きな菜月(なづき)さんなら(かれ)()()うかもしれない。ところが、それよりも(わたし)(はな)したいそうだ。

幽霊(ゆうれい)()たのは本当(ほんとう)かい?」

(わたし)(うなず)くと(しげる)さんは()()がった。

「じゃあ、その幽霊(ゆうれい)(さが)しに()こう。」

(しげる)さんは子供(こども)のように(よろこ)んでいた。(わたし)(よろこ)ぶのはどうなのかと(おも)いながらも()いて()った。

(わたし)はその()()らないんです。でもその()(わたし)(なに)(つた)えようとしてたんじゃないかって…。」

「そうなのか…。それで、どうしてそのカメラを指差(ゆびさ)したんだろうな。」

(しげる)さんは(なに)(かんが)える素振(そぶ)りを()せた(あと)(わたし)にこう()いた。

「そのカメラはどうしたのかい?」

()された(とき)()としてしまったみたいで、その(あと)回収(かいしゅう)されたそうで手元(てもと)には()いんです。」

「そうか…、その()はカメラの()(ぬし)(さが)していた。(きみ)にはその()(だれ)()からないが、()くなったお(とう)さんならそれが()かったかもしれないな…。」

(しげる)さんも大切(たいせつ)(ひと)のカメラを()っているそうだ。その(ため)か、(わたし)気持(きも)ちはよく()かるそうだ。

「カメラに(うつ)るのは虚像(きょぞう)写真(しゃしん)真実(しんじつ)であり(うつ)ろなものなんだ。」

(しげる)さんはそう(つぶや)いた。



 私達(わたしたち)中学校(ちゅうがっこう)辿(たど)()いた。(しげる)さんは取材(しゅざい)(しょう)して入校許可(にゅうこうきょか)()って一緒(いっしょ)(はい)(こと)になった。

 私達(わたしたち)図書室(としょしつ)()かった。今日(きょう)もあの(とき)(おな)じく(だれ)()なかった。幽霊(ゆうれい)(うわさ)()ってから(だれ)図書室(としょしつ)()りつかなくなったそうだ。

 (わたし)図書室(としょしつ)(おく)()かった。すると、そこにはあの少女(しょうじょ)()っている。その姿(すがた)以前(いぜん)よりもはっきりとしていた。

(()て)

少女(しょうじょ)図書室(としょしつ)()学校(がっこう)(そと)()かう。私達(わたしたち)はそれを()った。



 彼女(かのじょ)()かったのは人気(ひとけ)のない公園(こうえん)だった。その(ちか)くの路上(ろじょう)(ちち)()されたと()いた。何故(なぜ)彼女(かのじょ)はここに()たのだろう。

(ここに大切(たいせつ)なものがある)

少女(しょうじょ)()したのは公園(こうえん)植木(うえき)だった。(わたし)がそこを()ると、(いし)とも(こと)なる(かた)いものがあった。

 そうして(ひろ)ったのは金属(きんぞく)のリングだった。書類(しょるい)()めるものにも()えたが、それにしてはしっかりしている。

「これは…、指輪(ゆびわ)?」

(わたし)はそれを大切(たいせつ)仕舞(しま)った。指輪(ゆびわ)(こと)少女(しょうじょ)にも(つた)えようとしたが、その姿(すがた)()えていた。


 その指輪(ゆびわ)(ちち)婚約指輪(こんやくゆびわ)だった。カメラは(こわ)れてしまい、もう(もど)らないが、この指輪(ゆびわ)(ちち)形見(かたみ)として大切(たいせつ)にしている。



 その(あと)(しげる)さんとは(わか)れた。これからの日々(ひび)(かな)しみに(いだ)きながら()きていかなければならない。どんな(こと)があろうとも、()(つづ)けられる(かぎ)りはそうしなければならない。



 それから、しばらく()ってから警察(けいさつ)から連絡(れんらく)()た。(わたし)(ちち)()した犯人(はんにん)()つかったという()らせだった。

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