↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『虚像』  作者: 闇深太郎
10/10

旅の後先、夢の続き


 そうして、高瀬(たかせ)という町(まち)での取材(しゅざい)は終(お)わった。偶然(ぐうぜん)助(たす)けた千鶴(ちづる)君(くん)の見舞(みま)いに時間(じかん)が掛(か)かってしまった。他(ほか)にも色々(いろいろ)話(はなし)が集(あつ)まったが、千鶴君(ちづるくん)との出会(であ)いが心(こころ)に残(のこ)っている。


 そこで妻(つま)の反感(はんかん)を買(か)う事(こと)になるとは思(おも)わかった。私(わたし)には子供(こども)は居(い)る。それなのに他所(よそ)の子供(こども)を、それも年頃(としごろ)の少女(しょうじょ)を世話(せわ)するのもどうなのかと叱(しか)られてしまった。

 そして、再(ふたた)び千鶴君(ちづるくん)と会(あ)おうとした時(とき)、その妻(つま)、志保(しほ)を説得(せっとく)するのに時間(じかん)が掛(か)かってしまった。

 志保(しほ)は了承(りょうしょう)する代(か)わりに、高瀬町(たかせまち)まで着(つ)いて行(い)くと言(い)った。そうして、私(わたし)は志保(しほ)と二人(ふたり)で千鶴君(ちづるくん)に会(あ)いに行(い)く事(こと)になったのだ。



 高瀬町(たかせまち)は、青波台(あおなみだい)から少(すこ)し離(はな)れた場所(ばしょ)にある。

これまでも、取材(しゅざい)で様々(さまざま)な町(まち)を訪(おとず)れたが、地図(ちず)を見(み)ると、まだ知(し)らない町(まち)は沢山(たくさん)ある。

 私達(わたしたち)は町(まち)に着(つ)くと、千鶴君(ちづるくん)と千晶(ちあき)さんを電話(でんわ)で呼(よ)んだ。そして、近(ちか)くの喫茶店(きっさてん)で話(はな)す事(こと)になった。

「お久(ひさ)し振(ぶ)りですね。」

千鶴君(ちづるくん)は以前(いぜん)よりも表情(ひょうじょう)が明(あか)るくなっていた。時間(じかん)が彼女(かのじょ)の心(こころ)を癒(いや)したのだろうか。



 私達(わたしたち)は四人(よにん)並(なら)んでテーブルに座(すわ)った。それぞれ注文(ちゅうもん)をし、志保(しほ)の前(まえ)にはアイスコーヒー、私(わたし)の前(まえ)にはアイスミルクコーヒー。千鶴君(ちづるくん)の前(まえ)にはオレンジジュース、千晶(ちあき)さんの前(まえ)にはアイスティーが置(お)かれた。

「迷惑(めいわく)ですか?」

「そう、主人(しゅじん)が迷惑(めいわく)掛(か)けてなかったか心配(しんぱい)だったの。」

「最初(さいしょ)は変(へん)な人(ひと)とは思(おも)いましたが、色々(いろいろ)助(たす)けてくれました。ありがとうございます。」

千鶴君(ちづるくん)はあの後(あと)少(すこ)しずつ学校(がっこう)に通(かよ)っているようだ。教室(きょうしつ)にはまだ入(はい)れていないようだが、彼女(かのじょ)のペースで元(もと)の生活(せいかつ)に戻(もど)ろうとしている。

「そうそう、カメラ買(か)ってもらいましたよ!」

千鶴君(ちづるくん)は鞄(かばん)からカメラを取(と)り出(だ)した。私(わたし)と同(おな)じ会社(かいしゃ)の一眼(いちがん)レフのデジタルカメラだった。しかも、最新機種(さいしんきしゅ)である。

「その型(かた)のものは高(たか)かったのでないですか?」

「ええ、でも千鶴(ちづる)には必要(ひつよう)なものだと思(おも)ったから、奮発(ふんぱつ)しました。」

千鶴君(ちづるくん)はそのカメラで色々(いろいろ)撮(と)っている。写真部(しゃしんぶ)の活動(かつどう)も続(つづ)けているそうで良(よ)かった。

 


 会計(かいけい)を済(す)ますと、千鶴君(ちづるくん)は私(わたし)をある場所(ばしょ)に連(つ)れて行(い)った。それは、お寺(てら)の境内(けいだい)にある墓地(ぼち)だった。そこに千鶴君(ちづるくん)のお父様(とうさま)のお墓(はか)がある。千鶴君(ちづるくん)はそこに手(て)を合(あ)わせた。

「実(じつ)はあの後(あと)色々(いろいろ)調(しら)べてたんです。父(ちち)の同級生(どうきゅうせい)で在校中(ざいこうちゅう)に亡(な)くなった方(かた)が居(い)ました。その方(かた)は女子生徒(じょしせいと)で、父(ちち)と親(した)しかったそうです。その方(かた)のお墓(はか)がここにあるそうです。」

千鶴君(ちづるくん)はその子(こ)のお墓(はか)にも手(て)を合(あ)わせていた。墓石(ぼせき)は古(ふる)くなっていたが、花(はな)が供(そな)えられてあった。千鶴君(ちづるくん)が持(も)って来(き)たものだそうだ。



 お寺(てら)を出(で)た私達(わたしたち)は駅(えき)へ向(む)かった。すると、向(む)こうから二人(ふたり)が歩(ある)いて来(く)る。千鶴君(ちづるくん)は手(て)を振(ふ)っていた。

「千鶴(ちづる)!それとこの人達(ひとたち)は?」

「私(わたし)の知(し)り合(あ)いだよ」

二人(ふたり)は高校生(こうこうせい)で千鶴君(ちづるくん)の友人(ゆうじん)だそうだ。私(わたし)はその二人(ふたり)とも話(はな)した。どうやら彼(かれ)らも興味深(きょうみぶか)い話(はなし)を持(も)っているらしい。

「それにしても生(い)きながらにして都市伝説(としでんせつ)呼(よ)ばわりされるとはね。」

「まぁ、茂(しげる)らしいと言(い)えばそうだけど。」

私(わたし)は、彼(かれ)らの話(はなし)にすっかり聞(き)き入(い)れてしまった。








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。