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くぁ…
峯子の欠伸が二桁に突入する。
「いねえっすねぇ。帯雪さん。」
「やはり古い情報だと駄目か…。」
野人から聞いた帯雪の活動場所にいたのは、本物の犯罪者からしたら可愛く見える程のぼったくり商、転売屋の住処と化していた。
こいつらの対応依頼も来ていた気もするが、何分流通経路を調べきって証拠として持って来るまでが面倒臭く、
「ここら辺の仕事全部、俺に投げたよな?峯住。」
「…いいじゃねえか依頼分は解決したんだから。」
それでも、5人や10人が処分されたくらいでは、この手の輩は止まらない。そこら辺は犯罪者よりもたちが悪いというか、しぶとくて腹の立つ奴らというか。
「私が調べてみても、過去に来た足跡は全部路上で痕跡が消えてんすよね…。くぁ…。ん、なんで、帯雪さんがどこに住んでるのかはわかんないっす。」
「帯雪の住民記録はあるんだろう?」
「帯雪さん、下の名前がわかんねーもんで、いろんな帯雪さんが出てきちゃってて。」
「はぁ…不便なもんだな。」
神、雷脳の脳内に記録された都市の住民記録は、そのプライバシー保護の為もあってか、フルネームで検索したりしない限りは個人を特定するのは困難だ。
「検索方法を変えてみるか。例えば、過去になんかしらの悪さをして、OLDが下がっている帯雪を調べたりとか」
「57人っす。」
「…。」
面倒だな。
「峯子補佐官。もっと詳細に調べてみてはどうだろうか。」
牙鳥が大量に指定を出す。この場所を通過した足跡を持ち、三関係以内の交流人物に処分記録があり、足屋に立ち寄った帯雪の購入履歴のうち最近のものなど…。
「…出てこないっすね。」
流石に峯子の閲覧水準を持っても、そこまで詳しくは分からないのか…。
「縛りすぎたな。峯子補佐官、こことここ、外して探してみてくれ。」
「うす。あっいました。」
「居たのかよ。」
「賢い調べ方ってのはこういうもんだろ。」
なるほど。参考になる。
「じゃなくて、どの帯雪なんだ?」
「帯雪 参覚さんっすね。」
「さんかく?変わった名前だな。」
「峯住が言うと説得力が違うな。」
「宇由先ぱい。私も宇由先ぱいより変わった名前だと思い、ます。よ。」
「変な気の使い方するな気持ち悪い。」
「帯雪 参覚。友人が麻薬やって捕まってるな。しかもそいつ、収容所から脱走してやがる。」
「脱走なんてできるのか?」
「正規の手段では無理だが、非正規ならその限りではないだろう。」
確かに友人の顔は見覚えがある。依頼も無いため捕まえてないが、脱走してまともに元の空で生きていられる訳はない。依頼が来ないのも、野垂れ死にを期待してのことだろう。
「裏技的ななんかがあるんすね。」
「こんな奴との関わりがあると、ますます怪しいな。」
兎にも角にも名前と住所、経歴諸々を抑えた。流石に今の足跡を辿る所までは難しいが、話を聞きに行けばいいからこれだけでも大きな収穫だ。
さて、一段落置いたら向かうとする
か?
「…おい、牙鳥。」
「ん、どうした。帯雪の家なら」
違う。」
口を塞ぐ。
まさかこんな所にのこのこと現れるとは。
一石二鳥だ。こいつを先にとっ捕まえちまおう。」
「あっ、」
峯子も気づいた。
小悪党共の掃き溜めにあったのは、
峯子の四肢を吹き飛ばしあろう事か逃亡した、
緋鋸 香容疑者。いや、緋鋸犯罪者の姿だった。




