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虚実創作  作者: 世界創作学部生、めい
character expansion and non dramatic affairs
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2-01

01


停瑚空は広い。

歴史上でもしょっちゅう名前の出る都市なだけあり、その歴史も深く、潜む闇もまた深淵の中にある。

「今回はそんな深淵の中を尋ねる訳だが。」

「はーぁ、面倒くせぇ。こんな所に逃げてるわけねえのによ。」

「だからな峯住、緋鋸容疑者を確実に捕まえるには麻薬の流通経路じゃ駄目なんだ。」

家具を作ったのが緋鋸なのか、それともまた部外者の仕業で緋鋸は誰かに誘拐の片棒を担がされているのかを調べるらしいが。

尚のこと、家具職人なんて、こんな埃っぽい元犯罪者の掃き溜めになんか居るわけが無さそうだが。

犯罪者は捕まえられ、収容所に投獄される。が、他にも、施設による一時的保護観察処分という形で処理がされたりもする。

収容所からは出る事は出来ないのだが、施設からは真っ当に生きるためにも一定の処分を受けきって、特定地区に住民票を取得した上で外に出ることも出来る。だが、脱走したり出てきても再犯を犯したりと、解放についてはいくつか意見が分かれている。

今回はそんな中でも、比較的真っ当に生きている奴らが住む居住区に来た訳なのだ。

なんでも、牙鳥がこの類の事件に精通したワルを知っているのだとか。

「覚えてるか、峯住。麻薬と高級な天然素材の家具。原料は一緒なんだ。」

少し傾いたビルの階段を上る。

「それがどうかしたのか?」

「それを利用した裏商売をしてる奴が居たよな。後でわかったことなんだがあいつ、錦海の一味だったんだよ。」

「おい、錦海に会えたのってまさか。」

「まー。あいつから連絡先貰ったかもしれない、よな。」

麻薬の情報が出始めの頃だ。とある家具屋(今回の家具屋とは別だが)が素材の取引でいざこざを抱え、その頃バディを組んでいた俺達に依頼をしてきた。取引の相手がクスリをやって家具屋のオーナーに手を出したようで、結局俺と牙鳥がそれを上手く裁いたという訳だ。

まさか錦海の手下だったとは。

「とはいえ、あいつが麻薬の裏商売やってたのも、捕まえてからわかった事だしな。俺たちがその事知ってるのをあいつは知ってるのか?」

「ここに来る時に話はしてある。多分、ちゃんと教えてくれるさ。」

多分、か〜。確定させて欲しいが。」

エレベーターが着いてないことにうんざりしかけると、目的の階に着く。

「07734号室。野人の部屋だな。」

これはまた古びた扉だな。

「ノビト!俺だ、牙鳥だ!」

ノックをした方が良さそうだ、が。

軋む音と共に扉が開く。俺の部屋の方が新しいことは分かる感じの響きだ。

「やあひさしぶりです。」

「調子はその後どうだ。」

「おかげさまでぼくはげんきですね。」

「それは良かった。」

「あがってください。はなしが、あるそうじゃないですか、お、みねずみさんも。こんにちは。」

「お、おう。上がるぞ。」

「どうぞどうぞ。」

簡素ではあるが清潔な部屋だ。

とても薬物と関わっていたとは思えないほど、文化的な暮らしを得たものだ。

「さて、野人。来る時に話したが、商売してた時の話を聞きたいんだ。」

「ぼくがそざいのじゅもくから、まやくをつくらせていたときのはなしですか。」

「今、お前と同じ形式で商売してる奴を探している。多分だが、素材を家具に加工できて尚且つ麻薬についての知識があればおっている容疑者とも関わりがありそうでな。」

「なるほどな。緋鋸は家具を作ってもらい、その代わりに麻薬をそいつに売っていたか、それともそいつの売る麻薬の仲介をしていた、という考えか。」

「そうだ。緋鋸容疑者と売人、二人でやっていてもそれを隠すための表向き事業が必要だからな。」

「緋鋸の仕事は小売業だから、商売については知識もあるだろう。家具屋に卸したのは緋鋸で」

「おびゆき、さん。ですね。」

野人が呟く。

「おびゆき?おびゆきって、臍帯の帯に雪崩の雪か?」

「なんでそんな確認の仕方なんだよ。」

「そうです。くろおびのおびに、ゆきだるまのゆきです。」

「そうそう。そういう確認の仕方がいいのよ。」

「よし峯住。繋がったな。」

峯子から受け取った検品記録には緋鋸の他にも加工者、帯雪の名前があった。

ここで同じ名前が聞けたということは、偽造されていない検品記録と言うだけでなく、帯雪が新たに緋鋸の跡を追う手がかりになる実在の人物であると確定したということになる。

「野人。帯雪は何処で活動してたか、わかるか?」

「そうですねえ。たしか…。」




階段を下りる。


「さて峯住。次に行くところが決まったが、どうする。」

「どうするって何を。行くに決まってんだろ。」

「野人はああ言ったが、やつの情報は古い。今も同じ場所にいるとは限らないからな。」

「まあそうだが、帯雪について調べてもなんの情報もあてにできないんだ。行くしかないだろう。」

「そこなんだ、峯住。恐らく帯雪個人の技術では、ここまで情報を変えたり隠したりすることは出来ない。下手に近づくと後ろについてる組織とも接触する可能性がある。」

なるほど。このままでは危険、ということか。

「だからという訳ではないが…。技術を使わないお前は峯子補佐官と共に対応した方が、安全だろう。峯子補佐官は技術の使用について抵抗はない。」

「何だよ、力不足だと言いたいのか?」

「そういう訳じゃない。だが、戦力は多い方が良い。」

「ふーん、なら呼べばいいだろ。」

「今は色々思い出してもらってるんだ。峯子補佐官自身から連絡が来るまで待った方がいい。その方が新しい情報も」

呼出音が話を遮る。

噂をすれば後輩の着信。

「思い出したな。」

受信。音声を牙鳥にも繋げる。

「あー!うゆ先ぱい!分かりましたよ!あれ、なんつってたか!!」

「おう、元気だな。早く言え。」

「冷たい!でもいーますからね!聞いててくださいよ!」

「おう。」

「拡散はかんりょーしている。」

「は?」

「拡散は完了している、っすよ。そー言ってたんすね。」

「それだけか?」

「それだけっす。」

「…」

何も分からない。拡散?完了している?どういう事なんだ?緋鋸は何を伝えたくて、そんな事を言って逃げたんだ?

「先ぱいたちは何かわかったんすか?」

「ああ。家具の製作者が帯雪で間違いないことを確認した。古い情報だが活動場所もわかった。」

「あれ?帯雪さんの情報は言ってなかったっすか?」

「何だと?」

「緋鋸さんが依頼したのは帯雪さんなんすよ。」

「ん?いつそんなこと言ってた?」

「…あー、吹っ飛ぶ直前に検品記録渡した時だ。言いきれてないっすね。忘れてました。」

「それまで忘れてんなよ!手間増やしやがって!」

「落ち着け峯住。帯雪の活動場所はここに来なければ分からなかったかもしれないんだ。前進には変わらない。」

「…そうだな。峯子。合流だ。位置情報送るから、そこまで来い。」

「うぃす!」


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