112 記者会見当日 本番編
異世界記者会見スタート!
どんな感じなんだろう、とドキドキしながら入場した俺だったがまずは大量のフラッシュを浴びた。
王城の一室に集められた人達は50人を超えているだろうか。部屋の半分は人やカメラの機材でギュウギュウだった。
すごい既視感がある。ワイドショーで見たやつだこれ。
「まずは紹介させて頂こう。こちらが異世界より召喚に応じて下さった今代の英雄。原平ユウキ様である」
まずは王様が俺を紹介。外向けという事もあって様付けだった。
「こんにちは。本日はよろしくお願いします」
ニコリと微笑んで俺も自己紹介をすると一斉にフラッシュが襲い掛かった。写真攻撃やばい。もうここまで来ると目潰し魔法と変わりない。
「英雄様への質問は後程。また別日に機会を設けるので、今回は英雄様発案のプロジェクトについてを主題にさせて頂く」
王様がそう前置きをして、まずはエリスさんの発表から始まった。
「えー、まずは魔獣憑きに関しての報告をさせて頂く。配った資料に目を通してもらえればわかるが、魔獣憑きは決して悪を連想させる現象ではないと判明した」
世界喰らいの毒に対して免疫を持たない人類は即死する事。
魔獣憑きは世界喰らいに対して免疫と抗体を持った人類が適応した姿である事。
故に、魔獣憑き症状とは人類にとって希望であった口頭で説明した。
「これらの事実に関して発見が遅れた事を王族として、研究者として謝罪させて頂く。大変申し訳ない」
「エリオス王家としても為政者の義務を果たせていなかった。差別を止められなかった事に関しても力不足であったと重々認識している」
エリオス王家が立ち上がり、深く頭を下げた。
「この事実が判明したのは最近との事ですが、なぜ発見が遅れたのでしょうか?」
記者の1人が挙手して質問をすると、エリスさんが答える。
「この事実に関してヒントを齎したのは今代の英雄様であった。異世界では魔法が誕生しておらず、医療技術が発展していたそうだ。そこで異世界の考え方を用いたアプローチによってヒントを得た」
エリスさんが気付いた経緯、そして3代目が探っていたかもしれないという事に行きついた経緯を話す。
「3代目英雄様も事実を探っていたようだが、確証が持てなかったようだ。だが、今代の英雄様は世界喰らいの毒を浄化する力を備えていた。こちらを使って頂き、検証を繰り返しながら事実確認を行った」
エリスさんにヨイショされた。記者達からは「おおー」と声が漏れる。
照れるぜ。
「重大事実が判明した経緯は以上だ。次はプロジェクトに関して発表させて頂く」
魔獣憑き症状についての説明を終えて次は保護計画についての説明がスタート。
こちらはアリアちゃんとカタリナさんが中心となって話始めた。
「各街にある教会を一時的な保護拠点、地方の情報収集における拠点と設定致します。住民の方は情報があれば教会にお知らせ下さい」
「国としましては軌道に乗るまでのサポートと考えています。支援金や寄付は継続しますが、運営に関しては英雄様の立ち上げた商会や保護された方々にお任せする事となるでしょう」
エドワーズ商会が協力している事も明かし、運営に関しては常にクリーンであるよう国の監査なども後々は用意すると伝えた。
まぁ、まとめると魔獣憑きの人を保護して組織に狙われないようにしよう。各地で酷い扱いを受けているかもしれないから助けよう、という事だ。
実際にユキ君の作った魔導具やキースが自ら症状を見せつつ、実演する事でこちらの本気度をうまく説明できたと思う。
保護に関する重要性が一番に伝われば良い。彼等の生活をどうにかするのは俺の仕事だしね。
「魔獣憑き症状は決して悪ではないとお分かり頂けただろうか。この世界において重要性が高く、敵組織が狙っている可能性が高い。是非とも世界に知らしめて保護を優先するよう呼び掛けて頂きたい」
説明を全て終えた。
ここからは怒涛の質問タイム。細かい部分を補足しながら進み、1人の記者が手を挙げた。
「我々はどのようにして向き合うべきなのでしょうか?」
これは今まで差別の対象としていた魔獣憑き症状の人々に対してだろう。
「これは締めに言うつもりでしたが……。素直に謝ればいいんじゃないですか?」
俺は思った事をストレートに伝える。
「人は間違えますよ。ずっと正しい事を行えるなんてあり得ないと思います。王族の方も間違えますし、俺がいた世界の人達だって道を間違える事は多々ありました」
小さい事だったら喧嘩したり、大きい話になれば世界戦争が勃発したり。人は間違った選択をするものだ。
「でも、道を間違えても正しい道に引き返す事が出来ますよね。それはこの世界の歴史が証明しています。皆さんは大昔、種族で戦争をしていたようですが、今は違うじゃないですか」
この部屋には様々な種族で溢れている。人間、獣人、ドワーフ、エルフ、魔族。大昔に種族の違いで戦争していた多種多様な種族が隣り合って暮らしているのだ。
「凄いですよね。種族による差をメリットとして捉えて、多種族が自分達の長所で別種族の欠点を補いながら仲良く暮らしています。今回もそれと同じです。1つの個性みたいなものですよ」
記者の人達はお互い顔を見合わせた。
人間しかいない世界から来た俺にとっては衝撃だった。人種や種族を越えて1つになっているのだから、元の世界よりも人との繋がりは強いと思う。
「ですから、同じです。謝って手を差し伸べて下さい。人を救って下さい。責任は俺が持ちますから」
俺はそう言って、以上ですと話を締めた。
みんなからパチパチと拍手され、言いたい事は伝わったのかなと思える。
その後も計画に関する質問が続いて、そろそろ質問も出しきったかなといった頃合いに記者の1人が挙手した。
「すいません、最後に1つだけよろしいですか? 英雄様とアリア姫様が仲睦まじく一緒にいると噂がありますが、2人のご関係は?」
これだけは民衆の為にどうか! と凄い気迫で問われた俺はつい口を滑らせてしまった。
「あ、そ、その……恋人として……」
「は、恥ずかしいですね」
俺の言葉と両頬に手を添えて恥ずかしがるアリアちゃん。
それを聞いて、見た記者達からの歓声。ここから俺とアリアちゃんに関して怒涛の質問責めが始まる。
「そ、それは別の機会だ! 今回はプロジェクトの事だけ! 終わり! 終了する!」
慌てたエリスさんと王様に急かされて俺とアリアちゃんは部屋から出された。
終わったあと、英雄とお姫様の恋愛事に関して話すと計画の話題性が薄まるので迂闊な事を喋るなと怒られました。
すいませんでした。




