第十五話 蒼い弓編第三話:「蒼い弓
菜々子「えっとねぇ、蒼疾おにいちゃんは家出しちゃいました♪」菜々子(裏)「というわけでここはきょうからわたし達の空間♪」菜々子「でもね、特に話すことなんてないんだ」菜々子(裏)「そうねぇ、確かに何もないわ」菜々子「だからさ、早く次回予告済ませようよ?」菜々子(裏)「よし、そうしよう!次回、フェアリーブレイヴ第十五話蒼い弓編第三話:『蒼い弓の』!」菜々子「ちゃんと見てね!」
第十五話 蒼い弓編第三話
「蒼い弓」
「ねみぃ」
人の流れに逆らって俺は動かない。向かってくる学生たちはかな〜り、迷惑そうに俺たち二人をよけて歩いていた。
「天川、僕は非常に爽快だ……なぜなら僕のスペースを彼らは荒らそうとしないからね♪」
「まぁ、逆にとったら俺ら、避けられてるってことだからな。
俺の頭には馬の頭、ゴンゾウの頭は今ではプレ○ターとなっているからだ。
「それで、ゴンゾウ……見つけたか?そろそろ先輩の言っていたじかんだぞ」
「今探してる……えっと……一時の方向、それらしきめがね少女発見」
俺もそちらへと視線を向ける。いた、写真に写っていたぐるぐるめがねの少女を発見した。
「じゃ、どうするか観察させてもらうか……」
「おや、後手にまわるのかい?」
「ま、隠居している身だから」
「余裕だね〜」
そんなことを話しながら待っているとまっすぐこちらへと歩いてくる。そいつのめがねの奥で瞳が光るのが見えた。どうやらターゲッティングされたらしい……俺が。
「来るぞ、ゴンゾウ…とられて大切なものはきちんと隠しとけよ」
「大丈夫、とられて大変なものは玉金ぐらいだから」
おいおい、もがれて女にされるかもしれねぇぜ?
もう何もしゃべらないまま俺はそいつがやってくるのを待っていた。
そいつが俺の隣を歩く途中、きっと常人にはわからないのだろうが……俺の目にはしっかりと俺の懐へそいつが手を滑らせようとしたのが見えていた……というわけで俺はそれを防ぐ。あせることなくそいつはすばやく手を引いてそのまま俺の隣を通過していった。急いで後ろを振り返ってみたがどうやら人ごみに消えるのもお得意らしい。
「ゴンゾウ、女になったか?」
「いいや、パンツを代わりに盗られていってしまったよ……スースーする」
そうかそうか、あれからすぐに俺の後ろにいたゴンゾウのパンツをすっていったか…なるほど、こいつは強敵だな。
「まぁ、安心しろ。替えがあるから」
「え?とられるってわかってたの?」
「ああ、だからほら、ここにブラジャーとパンティーがあるぞ。さっきすった」
「さすが親友」
そういって俺はゴンゾウに黒のレース下着、上下を渡す。そして、叫んだ。
「大変だ〜ここに変態がいるぞ〜」
「ちょ、ちょっと!なんてことを言ってくれているんだよ!」
「この前七海に余計なこといった罰だ。じゃあな」
さっさと馬の頭をぬいで人並みに紛れ込む。
「ご、誤解です!僕は変態なんかじゃ……」
「こんなプレ○ターをかぶったやつが怪しくないわけないだろ!」
「せめて下着だけでもこの手に…うわ!ない!」
後ろからはそんなゴンゾウの声が聞こえてきていた。ふふ、残念だったな……黒のレース下着なら俺のかばんの中にすでにしまってあるぜ♪
「思わぬ収穫を得ちまったな」
久しぶりになんだかすかっとした気持ちで登校することになったのだった。
――――――
遅刻ぎりぎりで俺は教室へとやってきた。かばんを開けるがもちろん下着は教科書の一番下に隠されている。
「あ、やっときましたか蒼疾さん」
「蒼疾様、今日はどこに行っていたのですか?」
若干雲行きが怪しそうな雰囲気が立ち上っていた。
「ええと、どうかしたのか?」
「蒼疾さんからなんだか女性のにおいがするんですよ」
「ええ、そうなのですわ……七海さん、奈々枝さんにあのまるほっぺそして姉さまやわたくしのにおいのそれとは違うなんだかいかがわしいにおいです」
「き、気のせいじゃないか?」
俺はポーカーフェイスが大好きだ。大好きだからといってそれがうまいかといわれたら否、と答えてしまうが……いや、そりゃ、昔は得意だったさ…けどな、ちょっとこういった状況じゃ苦手なんだ。
「かばんからも怪しいにおいが……」
ちょ、ちょっと待った!ここでかばんを調べられたら黒レースの下着が出てきてあれで、あれな、ちょっとこまった状況が完成しちまう!
「あ、天川ぁ!」
どんという音が聞こえてきて怒ったゴンゾウが現れる。た、助かった!
「ゴンゾウ、上か下かどっちか選べ」
真摯な瞳でアイコンタクト。憤怒していたゴンゾウだったがすぐにうなずいた。
「……下」
「相変わらず変態だな」
「ボインに興味はないからね」
「ボイン……さてはさっきの上としたって言うのはブラジャーとかのお話ですね?」
ぐわ、なぜわかったんだ?
「必然的にこのかばんの中に入っていて、怪しいにおいの発生源は……下着ですわね?」
す、鋭すぎる………これが一生かかっても会得できない女の感というやつだろうか?
「や、やだなぁ………なんのことかなぁ?ゴンゾウ、パス!」
「了解!」
かばんを無造作に投げ、それはゴンゾウにわたる。
「皆さん!蒼疾さんのかばんを取ってください!怪しいです!」
「急いでください!あの変態浮気大魔神えろエロ蒼疾様からかばんを手に入れるのです!」
「「「わかった!」」
「てめぇら!何でこういうときだけ団結するんだよ!」
ゴンゾウにクラスメートすべてが襲い掛かる。だが、完全に沈む前にゴンゾウもどこかにかばんをほうりなげ……
「おっと……こぉら!かばんをおもちゃにしてはいけませんよ!」
「せ、先生!」
すでに朝のHRの時間になったためか、先生がやってきていてかばんを手に持っていた。七海の目が妖しく光った。
「先生!天川さんが学校に持ってきてはいけないものを持ってきています!」
「ええ?そうなの天川君?」
「も、もってきていません」
「それなら、今ここで中を確認してもよろしくて?」
鬼の首を取ったかのようにしてナナスフィアがたずねてくる。俺は覚悟を決めていた。
「ど、どうぞ〜」
「ああ!僕の夢が!希望が!世界の破滅に!もがっ!」
うるさいゴンゾウの口を俺はふさぐ。そして、耳打ち。
「安心しろ、すでに俺の懐にうつってるから」
「おおっ!さすが本物の蒼い弓!」
どうせ中に入っているのは……教科書だけだろ?
だが、現実は違った。
「蒼疾君、学校には馬の顔を持ってきてはいけませんよ!」
「し、しまった!」
「後で職員室に来てくださいね?わかりました?」
「……はーい」
ま、まぁ下着に比べてまだましだったかな?俺はため息をついて席に着いたのだった。
番外編
「さ、さすが蒼い弓……なかなかやりますねぇ」
場所は女子トイレ……ぐるぐるめがねをかけた一人の少女が朱にほほを染めながらスカートをめくる。
「とてもすーすーしてぇ……こ、これほどの屈辱はありませんっ!」
そして、右手を突き上げる。
「第二ラウンドはぁ!絶対に負けませんからねぇ!」
引き裂かれたゴンゾウのパンツが流されていったのだった。