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与えられたのは希望ではなかった  作者: 黒羽 凪
第二章~希望を与えられた者たち~
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奏の弱点

「奏、そろそろ起きろ」


 奏が眠りに落ちて、約五時間ほどが経過していた。俺は優しく奏の肩を揺する。


「……んー……スー……スー……」

「ふむ、起きないな。もう少し強くしなきゃダメか?」


 疲れもあり相当深く眠っているのか、寝返りを打っただけで起きる気配は全くなかった。俺は肩を揺する力を少し強める。


「んー、あと五分……」


 今度は少し反応があった。だが相変わらず目は開いていない。


「あと五分か。まっ、仕方ないか」


 俺は反応があったことに少し満足すると、寛大な心で五分待つことにした。

 そして五分が経過した。


「奏、五分経ったぞ? 起きろ」

「……んー……優くん、嘘つくから信じな~い」


 未だに目を開けない奏。その言動はとても幼児化しており、なぜか俺の事を名前で呼んできた。

 そして今回は、以前に嘘を吐いた俺にも多少の非はあるわけで……。


「ったく……あと五分だけだぞ?」

「はーい……スー……スー……」


 再び寝る事を許可してしまった。我ながら甘過ぎる。

 そして再び五分が経過。


「おら、五分経ったぞ?」

「んー……あと……」

「ん? また五分か? いい加減に――」

「五年」

「長いわー!!」

「きゃっ!?」


 俺の叫びに奏は跳ね起きた。初めからこうしておけば良かったと俺は思った。そして何より……。


「奏、お前って朝めっちゃ弱いだろ?」

「えっ? そ、そんなことありませんよ?」

「嘘つけ!! 言葉も幼児化していたぞ!?」

「……さぁ次は黒羽さんが寝る番ですね! わたくししっかりと見張りをしておきます!」


 奏は話題を無理矢理変えてきた。どうやら多少の自覚はあったらしい。ここで奏をからかうのも面白そうだが……。


「なぁ? なぜ奏は大鎌を構えているんだ?」

「ふふっ、それはもちろん黒羽さんをお守りする為に決まっています」

「いや、それ明らかに俺のことを狙って構えているだろ!?」

「ふふふっ、そんなことありませんよ?」


 奏は大鎌を高々と構えていた。奏は笑みこそ浮かべているが、目が全く笑っていない。

 それにしても大鎌を軽々と構えているところを見ると、奏もただの一般人ではないのだろう。だがそれを今ここで聞くよりも、俺は遥かに睡眠を欲していた。


「……まぁいい。俺は寝る、もし何かあったらすぐに起こせ。何事もなかったら、適当な時間で起こしてくれ」

「はい、わかりました。黒羽さんおやすみなさい」


 どうやら俺がこれ以上話をしない事がわかったのか、奏は構えていた大鎌の構えを解いた。俺はそれを確認すると、先ほどまで奏が寝ていた布の上に横たわる。そこには微かに奏の温もりが残っていて、温かかった。

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