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与えられたのは希望ではなかった  作者: 黒羽 凪
第二章~希望を与えられた者たち~
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就寝

「久しぶりのご飯……美味しいです!」

「それは良かった。次はいつ食べれるかわからないんだ。いっぱい食べておきな」

「はい!」


 奏のご機嫌を損ねた俺は、何とか食料でご機嫌を直す事に成功した。だがその道のりはとても長かった。俺の透視を持ってしても、食料を探すのだけで数時間を要してしまった。

 いや、それだけならまだいい。それよりも辛かったのは、奏の視線と沈黙。奏は相当根に持つ性格なのか、食料が見つかるまで、まともに俺の言葉に答えてくれなかったのだ。


「……これからは奏に冗談を言うのは止めよう……」

「黒羽さん? 何か言いましたか?」

「ん? いや、奏は可愛いなって」

「……もしかしてバカにしてます?」

「いや、してないから! だからまた睨むのは止めて!」


 言ってるそばから危ないところだった。んー、女心は難しいな……。


「……黒羽さんは真顔で嘘をつきますから、判断が難しいです。あっ、さっきのこと反省してます?」

「それはもちろん。もうしません、神に誓います」

「なんだか全く反省の色が見えないような気がするのですが……?」

「あれ? なぜバレた?」

「黒羽さん!!」

「あははは! ごめんごめん。さーて、腹も膨れたし大分時間も経過した。そろそろ寝よう。奏、先に寝な。適当な時間で起こすから」

「わ、わかりました」

「ん? どうかしたか?」


 俺の言葉に頬を赤らめる奏。俺が問いかけると、奏は恥ずかしそうに俯きながら……。


「え、えっと……わ、わたくしの寝顔をあまり見ないでくださいね?」

「んー、他にすることないし見てるかも」

「え、えぇっ!?」

「ほら、早く寝た寝た。いつ誰が襲ってくるかわからないんだから」

「うぅ……わ、わかりました。黒羽さん、見ちゃダメですよ?」

「はいはい」

「や、約束ですからね!」

「あぁ、神に誓おう」

「……ものすごく不安ですが、お先に失礼します」

「あぁ」


 そう口にすると奏は、俺に背を向ける形で地面に横たわった。地面にはもちろん、布団などの寝具の(だぐい)はない。ここに辿り着く前に拾った布を引いてはいるが、気休め程度にもならないだろう。はっきり言って寝る環境としては最悪だ。


「スー……スー……」


 だがそんな環境の中でも、奏はすぐに眠りに落ちていた。肉体的な疲労の蓄積はもちろん、精神的にもかなり参っていたのだろう。


「ふぅー。少しでも長く眠らせてやりたいが……くっ!? ……厳しいかもな……」


 俺は頭を押さえながらそう言葉を漏らす。

 俺の頭は透視の多用による激しい頭痛に襲われていた。この頭痛は透視する距離によって痛みを増す。今回は短い距離で透視していたが、複数回に渡って使用した為か、なかなか激しい頭痛だった。

 だが最初に透視を使った時よりは酷くはない。もしかしたら透視を使用すればするほど、痛みも慣れてくるのかもしれない。


「ちっ……この痛みを感じなくなるまで、一体どれだけの時間がかかるんだか……」


 俺は悪態をつきながら天を見上げた。そこにはどこまでも続く空はなく、低い灰色の天井と、人工的な明かりしかなかった。

 デスゲームが始まってまだ一日。大変なのはまだまだこれから。そう自分に言い聞かせて、俺は左目だけをゆっくりと閉じた。

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