パートナー
「さてと、退路は断たれた。えっと、神楽院さんだっけ? 君はどうする? 俺と一緒に行くかい? それとも一人で行く?」
「……一緒がいいですけど……わたくし、きっと黒羽さんの足手まといになってしまいます」
「大丈夫。神楽院さんは、最初から戦力としては期待してないからさ」
「ではなぜわたくしを誘ってくださるんですか?」
「ん? それはこの一週間、睡眠がかなり大事になると俺は思うからだよ。周りを警戒しながら浅く寝るのと、短時間でも深く寝るのでは疲労の蓄積も違ってくるだろうし」
実際のところ俺は、食事よりも睡眠のが大切だと思っている。寝不足になれば集中力も薄れるし、注意力も散漫になる。まして無防備に寝るなんて論外。他の参加者に、どうぞ殺してくださいと言っているようなものだ。それに食べ物の方は、俺の透視で比較的安全に探し出すことも可能だろう。だが睡眠の方はどうしようもない。
「つまりわたくしは、黒羽さんが寝ている時の見張りということですね」
「そういうこと。もちろん神楽院さんが寝ている時は、俺が見張りをする」
「あ、ありがとうございます!」
「そこまで畏まらなくていい。俺たちはお互いを助け合うパートナーなんだからな」
「パ、パートナー。も、もしかしてわたくし、今プロポーズをされたのでしょうか!?」
「いや、してないから。まずは少し落ち着け」
「す、す、すみません!! わたくしったら、なんて恥ずかしい勘違いを……!」
「はい、深呼吸」
「は、は、はい! すー、はー、すー、はー」
「少しは落ち着いたか?」
「は、はい……」
「よし。さて、まずは相手を殺す殺さないは別にして、自分の身を守る為に武器がいるな」
俺は荒巻が入っていた扉から、さらに三つ左にある扉に向かう。その扉の先は、さっき左目でしっかりと確認した。この扉の先には、今俺たちが一番欲しいものがある。
「あっ、ま、待ってください! 黒羽さーん! きゃっ!?」
俺の事を慌てて追いかけようとした神楽院は、器用に自らの足を絡ませ見事に転倒する。その際に、純白の何かがスカートの中から見えた気がしたが、俺は気にしない事にする。
「そんなに慌てるなよ。置いて行ったりはしないからさ」
「あっ……ありがとう、ございます……」
俺は微かに笑いながら、神楽院に手を伸ばす。神楽院は恐る恐る右手で俺の手を取ると、その色白の肌を真っ赤にさせる。恥ずかしさからか言葉にも力がなく、ただでさえ小さい声がさらに小さくなっていく。
俺は神楽院が立ち上がったのを確認すると、扉に手をかける。神楽院は俺の後ろにピッタリとくっついているが、先ほどの事がまだ恥ずかしいのか、顔を伏せたままであった。
それを確認すると、俺は扉を大きく開け放った。




