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擦れたお兄さん(26)が、お金と超技術で無双してみた  作者: 久破空是


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第3章  ESC(Escape)&ATC(Attack) (2)

2.追跡するもの、されるもの。


 ようやく?というか無事?かどうかわからんがそういう表現がピタリとはまる経緯を経て、R2……薩摩の運転する車でウルリカ宅へ移動を開始した。


 「あ・あ・あ、後どれくらいだ!?」

 俺はウルリカに移動時間を確認した。


 「どうしたの、つくちゃん?ん?黄金丸?」

 あの妙な物言いは、一度聞き慣れると感染するのかと背筋に悪寒が走った。


 「!?…………」

 何か言おうとすると、どうにもうまく喋れない気がして押し黙ってしまった、恐るべしC3P◯……、金ピカ丸。


 「変なの?」

 「薩摩、時間どれくらいかかりそう?」


 「ピピッ、ピガ」

 「30分だって」

 ウルリカは自然に通訳した。


 俺は(お前あれがわかるのか?)と言おうとしたが、うまく喋れないきがする。

 「お・お・お……(泣)」


 なんだろうこの屈辱。


 「どうぞ。」

 ベネディクトはどこから取り出したのか、缶コーヒーを俺に手渡した。


 プシュッ、ゴクッ、ふぅ。

 俺は一息入れてから 「ウルリカ、あれがわかるのか?」


 お、治った。

 「わかるわよ?あれ、みんなわからないの?小さい頃から聞いてるからかしら」


 金ピカ丸の目が黄金に輝き始めた。

 「あ・あ・あ、私共とおっぱ「ぴー」う、ウルリカ様は魂の絆、すなわち心がつながっているのです」

 「くぁzxすぇdcv・・・・・」声帯のない薩摩に何かが目覚めようとしている。

 「あ・あ・あ、Gの奇跡!」


 いや、もうお前らの存在そのものが奇跡だろう。


 俺はいい加減うんざりして

 「わかったから、もうお前らは喋るな、ポンコツども」

 「次喋ったら海水に沈めて錆だらけにしてから、SNSにアップして晒し者にしてやる」


 ————

 俺の腕時計が振動した、かなりの微細振動だが長い。

「付けられてるな」


「あ・あ・あ そ、それは私が今言おうと……」

「おい、喋るなと言ったぞ? 次喋ったら金槌で平面になるまで顔をベコベコにしてやるから忘れるな」

「あ・ぁ・・・」


 どうやら、俺が本気であることに気がついたらしい。

 俺は腕時計の反応を確認しながら

「む、重装備の装甲車だぞ、6台。」


 なんであんなのが追っかけてきている?

「どういうことだ?ウルリカ」

  

「だ・・ダイジョウブよ、多分」

そんなこと言う場合は大概、大丈夫じゃないんだ。

 

 窓の遮光フィルターのスイッチを切ると大きめの窓にかかったスモークがうすくなって消えると外が見えた。


  貴族たちの住むエリアの外壁とその外周一般エリアの間を走行している。

 4メートル、4車線の道路は広い。


 22時をすぎるとすっかり内側、貴族側のゲートは閉じられていた。

 そして時間の割に周囲に走っている車がなかった。

 俺は「ハメられたかな」と独り言のようにつぶやいた。

 

 この道路は内回りと外回りとで上下になってる高架の2層構造になっていて、現在外回りの道路、下の道路を走行中だ。


 トンネル構造の中を走ってる上に自走車のおかげで周囲を見渡せる必要もなく、明かりはほどほどしかない。

 要するに薄暗い。


 腕時計はさらに剣呑な信号を発すると警告音がなる。

 ロックオンされた。

 ピンッピンッピンッピンッピンッピンッ


「おい、超マイクロミサイルにロックオンされたぞ、あんなもん食らったら、装甲は無事でも弾き飛ばされて中はミキサーの野菜みたいにドロドロになるぞ」

 全員の顔が青くなる。

 

 着弾まで1分、スピードが遅いのがまだ救いか。

 腕時計の表示にMini MSDMの表示、こいつは索敵範囲が前方200メートル、センサーが熱源、映像処理とチープながら


 姿勢制御にすぐれ、飛距離も長いといういやらしい性能だ。

 速度に難はあるが、この狭い空間で使うにはうってつけだ。

「最近の追尾ミサイルは、猫みたいにすばしっこい上に、しつこいぞ!」


「なんか武器は?、チャフとか無いのか」


「そんなの、あるわけないでしょ?、こんなところでミサイルとか正気とは思えないわ?」

 ウルリカは軽くパニックを発症しかけていた。


「そんなこと言ったってしょうがないだろ、相手に言え」


 ディアナがこれ・・と震える手で差し出したのは、S&W M36「チーフズ・スペシャル」

「さっき渡されたの、えらいこと美人に、シュナイダーから盗んだとかなんとか。」


 なんでこんなもんもってんだあいつ、餓鬼デカのマネでもしようと思ったのか、ばか盆のおまわりさんかな、あんなに弾でないけど。

 

 俺はそれを受け取る、実弾入ってそうだが。

 シリンダーを外し手早く空砲だけ抜き取って再装填する。


 「おい薩摩、思いっきり外側によれ、そっちに空調調整用の配管がある」


「なにするの?」とウルリカの声

「あの中に、排熱用の管があってな、中は水蒸気が通ってるんだ。」

「サンルーフを開けろ。」

 

 俺はテーブルに足を乗せサンルーフから顔を出す。

 突風が髪の毛をぐちゃぐちゃにするが構ってなどいられない。


 ミサイルのジェット燃料が赤く光っているのが見える。

 ほぼ真っすぐ飛来しており相対速度は30m/sくらいだ。

 迷ってる暇はない。


 俺は「スピードをもっと上げろ、そして合図をしたらブレーキを思いっきり踏み込め、壁にぶつけるなよ薩摩」

 「ぴぴ、が」

 「何かに掴まれ。」

 「いくぞ、3,2,1 今!!!」


  俺は配管に向けて弾丸を打ち込むのと、急ブレーキがかかって身体が外に放り出されそうになるのは同時。


 配管の穴からプシューっと吹き出た水蒸気は、超マイクロミサイルを包みこんでセンサーが狂わせた。

 そして照準が一瞬、俺達の車を見失う。


 その下を、急ブレーキでスピンした、車が通り抜ける。

 そして見事に進行方向に向けて車は停止した、薩摩を褒めてもいいだろう。


 目標を失ったミサイルはふらふらと蛇行するその尻に向けて銃を撃つ。

 120メートルくらい離れたそれを狙い撃つのは造作もなかった。

 バコンと弾頭を上に向けるとそのまま天井に当たって、ガコンという音とともに落ちてきた。

 超マイクロミサイルは、マッキーという溶剤の匂いのきついMagicくらいの太さで、それを3本くらい縦に並べたサイズだ。


 本当にぶつけるためのミサイルだったかはさだかではないが。

 最近のミサイルは不発だったときのことを考慮して、当たる直前に自己発火する。

 そのセンサーが、天井にぶつかって壊れたのだろう。


「おい、出せ、そのまま真っ直ぐだ・・・いやもう遅い」

 俺達は、重装備の装甲車に包囲され、薩摩は車を停止させたのだった。


 さて、どうするべぇ。と俺は心中で唸った。


<続> 次回 3.めぐりあい空

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