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転生したらモブだった!異世界で恋愛相談カフェを始めました  作者: 一番星キラリ@9/2やられる前に発売:商業ノベル&漫画化進行中
【第二章】

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これは夢なのかしら?

「ナタリー嬢。ぜひこちらのショーユで作ったソースをどうぞ」

「ナタリーお嬢さん。やっぱり肉には、ガーリックソースだよ」


 これは夢なのかしら?


 目の前に、焼き立てアツアツで、湯気と美味しい香りを立ち上らせている、お肉があった。そしてカウンターテーブルのスツールに座る私の右側にアレン様。左にデグラン。二人に挟まれた私は、アレン様からは、ショーユで作ったソースで肉を食べるよう、勧められている。デグランからは、定番のガーリックソースで食べるよう、提案されていた。


 なぜこうなったのか。


 それはまずロゼッタが、まかない < ルグスで、ここずっと「キャンディタフト」を手伝っても、「ノーまかない」で帰ってしまうから。しかもバートンも、街の寄り合いがある。ロゼッタの代わりで姿を現すこともない。お店を手伝ってくれた日も、バートンはまかないを食べずに帰ってしまう。


 その結果、デグランと二人きり、もしくはイエール氏、もしくはアレン様と、まかないを食べる日が続いていた。そして今日は、デグラン、アレン様、私の三人で、まかないタイムになった。


 最初は普通だった。


 デグランは塊肉を上手に焼き上げ、その間にアレン様と私は、赤ワインを用意した。デグランは焼き上げた肉を食べやすくスライスし、テーブルに置く。そこでデグランも着席し、赤ワインで乾杯。「さあ、食べよう」となると……。


 二人が同時に、自身の推すソースで肉を食べることを、熱烈に提案し始めたのだ。


 しかも二人とも、なぜか全力の笑顔で、それぞれが推すソースで肉を食べるよう、リコメンドしている……。


 デグランは、笑顔が爽やかなナイス・ガイ・モブだ。

 アレン様は、メインキャストで私の推し、秀麗美青年な騎士様だ。


 そんな二人から、眩しいくらいの笑顔を向けられ、どちらか一つを選ぶなんて……。

 これぞ無理ゲーだと思います。


 何よりも。どちらのソースで食べても、お肉は絶対に美味しいはずだ。

 両方食べたい――これが私の本心だった。


「あ、あの、どちらも美味しいと思うので、順番に食べますね」


「ではナタリーお嬢さん。俺のガーリックソースから食べてくれ」

「ナタリー嬢。わたしのショーユソースから、食べてくださいますよね」


 ど、どうして……!

 そんな難題を、私に突き付けるのですか……!


 困り切って二人の顔を順番に見ると。


 アレン様は、思わず見惚れてしまう、美麗な笑顔を浮かべている。

 デグランは、サーファーみたいな爽やかな笑顔で、こちらを見ていた。


 な……、二人して、どうして!


 どうしても「一番」を狙うのなら……。


 私は左右の手でフォークを持ち、肉をブサリと刺す。

 とても貴族令嬢とは思えない、マナー違反であるところは、目をつぶっていただきたい。

 なぜならこうするしかないでしょう!


 両利きではないが、頑張った。

 同時に左右両方のお肉を、ガーリックソース、ショーユソース、それぞれにつけることに成功した。


 かくなる上は、これを一気に両方とも口に運べば――。


 そう思ったのだけど!


 もう心臓が止まるかと思った。


 アレン様とデグランが、それぞれ私の手を掴み、パクっとお肉を食べたのだ。


 アレン様の、細く長い指と、すべすべの肌。

 デグランの、力強さを感じる、大きめの手。


 どちらの手も素晴らしく。触れられた事実にも、ドキドキしてしまう。


「ナタリー嬢。困らせてしまい、申し訳ないです。お詫びにどうぞ」


 デグランが動く間もなく、アレン様が醤油ソースをつけたお肉を、私の口元へ運んだ。これはもう、食べるしかない状況! 素直にパクリといただくと。


「あ、これは……」


 ホースラディッシュを、ワサビの代わりに醤油に混ぜたのでは? 柔らかい辛みと醤油が、肉に合う!


「どうですか? 我が家の調理人に試行錯誤し、作らせたのです」

「美味しいです……!」


 アレン様に食べさせてもらった、推しが食べさせてくれた事実にも、泣きそうになっている。


「ナタリーお嬢さん。こっちもどうぞ」


 アレン様のお肉を食べたのだ。デグランが食べさせてくれるお肉を、拒むわけにはいかないだろう。


「ありがとうございます」


 こちらもパクリと食べ、驚くことになる。

 この世界のガーリックソースは、刻んだニンニク、オリーブオイル、白ワイン、塩コショウで作られるもの。でもこれは違う! 醤油が使われていた。


「どうだろうか、ナタリーお嬢さん?」


「醤油を使っていたのですね。いつものガーリックソースが、激変しました! アレン様も、召し上がってみてください」


「ええ、ぜひいただきたいです。デグラン殿もよかったら、このショーユソース試してみてください」


「ありがとうございます。気になっていました。いただきます」


 ここからはようやくいつものモードで、お互いのソースを食べあい、感想を伝え……。


 赤ワインもすすみ、ほろ酔いになり、まかないタイムが終わりそうな、まさにその時。


「それでナタリーお嬢さん。ガーリックソースとショーユソース、どっちが気に入った?」


 最後の最後でデグランったら!

 これに対する回答は、ただ一つ。


「両方、大好きです!」

お読みいただき、ありがとうございます。

ムフフな回をこっそり更新ヾ(≧▽≦)ノ

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