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神ノ社  作者: 空橋 駆
4章 来人の存在
16/36

16話 巫女の視線と責任と

巫女さんの余所余所しさ。

それを違和感として捉える為の明確な手掛かりは、一つ。


「巫女さん、もう一度聞きます。

 里遠ちゃんは僕の事を……」

「間違いなく、来人さんの思っている通りではないかと思います」


なるほど、今度は上手く誤魔化している。

気付いたのか、それとも無意識のうちでやっているのかは知らないが、

この辺かも含めて今日の巫女さんは何処と無く、変だ。


「自信が無いのですか?」

「違いますよ」

「ならば、どうしてそんな事を聞くのですか?」

「確証が欲しいと言わせてください、今は」

「それこそ、自信が無い事の裏返しでは?」


ああ、巫女さんは全く気付いていないらしい。


「僕が欲しい確証は、

 里遠ちゃんの気持ちとかそういう類の物とは関係ありません。

 少なくとも、今この時だけは」

「よく、解りませんが……」


巫女さんが悩み始めている。


「そもそも僕、そんなに弱気に見えますか?」

「正直に言わせていただきますが、

 あまりそんな印象は無いです」

「里遠ちゃんも僕が弱気だとは思っていませんよね、多分」

「そうですね、あの娘も同じ事を思っているでしょう」


僕は聞き逃していない、その言葉を。

少し質問を変えてみるだけで、また表に出てきた。


(これ以上やっていても、巫女さんから気付く事は無いのだろうな……)


となれば、こちらから動くしかない。


(さあ、聞いてみるとしようか……)


暴いてみれば、とんでもない事実が出てくるかもしれない。


「巫女さん、先程からずっと気になっているのですが……

 里遠ちゃんの事、どうして名前で呼んであげないのですか?」

「え……あれ?」


巫女さんの目が一気に見開かれた。

あまりにも想定外の事を指摘された……

と、そのまま態度と行動が反動として出ていた。

僕は、これを好機と思い一気に攻め立てようと考える。


「気付いていませんでしたか?」

「まさか、そんな事全く気付いていませんでした。

 いつから、私は里遠ちゃんの事を……」

「恐らく今日の話の最初からかと。

 里遠ちゃんが居なくなった後の話からずっと、

 呼び方の癖が僕が来た当初の物に戻っていたはずです」

「そんなに……」


巫女さんが呆然となっている。

僕もまた、身震いしながらその事実を伝えていた。


最初は、否定されるかもしれないと思っていたから。

今は、本当に突いたら何かとんでもない物が出てきそうだから。

その一言を紡ぐのが、怖かった。


予想通り巫女さんは気付いていないが、

意図的ではなかった事を知れただけでも、進歩だ。



近付く事を止めたくは無いが、近付き過ぎないように。

そう思いながら、僕は話を進めていく。


「巫女さんから見て、僕と里遠ちゃんの距離は……

 近付いて見えましたか?」

「近付いてはいると思いました」

「含みのある言い方ですね」

「実は、積極的なのは里遠ちゃんの方ではないかと思っていたのです。

 来人さんはただそれに付き合っているだけの関係に見えました」

「意外と痛い所を突かれましたね……」


僕自身、外から来た人間という頭は十分にあるので、

里遠ちゃんに対しても一歩距離を置いて接していた。

その考えが行き詰まり、先日の僕の話に繋がっているのだが……


「確かに、巫女さんと里遠ちゃんが仲直りした時点で僕は役目を終え、

 一歩引いた立場から二人の関係を遠巻きに見ていれば十分だと思っていました」

「それを先程から私は指摘しているのです」


そう、それが先程の話。


「ですが、巫女さんもまた……

 よく似た事を考えているのではないかと思ったのは、考えすぎですか?」

「私はそんな事を考えてなど……」


必死になって否定しようとしている巫女さん。

しかし、心当たりはあるだろう。


「否定していますが、巫女さんこそ不安なんですよね。

 里遠ちゃんにきちんと心を開けているか」

「それは……ええ、その通りです。

 この際だから言いますが、少し自信が無い時があります」


人に聞いている事は、時に自分にも当てはまる。

当てはまるからこそ人に聞いて確かめる。


「巫女さんは里遠ちゃんと仲直りした時に言いましたよね。

 名前で呼ばなくなったから、気持ちがすれ違った……」

「全く同じ事を、私はしていたのですね」

「その通りです」


だとすれば、結論は意外と簡単に出るのかもしれない。


「今回の場合、距離を置こうとしたのは僕の方ですが……」

「それを私が気付かないとでも思いましたか?」

「本当に気付いていたのかな?」


意地悪かもしれないが、あえて聞いてみる。

巫女さんは僅かに頬を膨らせながら、答えた。


「薄々ですが、里遠ちゃんも私も気付いていました。

 ですが、来人さんは優しいので無言では鳥居の外に出ないでしょう」

「ああ、間違いない」


だからこそ、先日僕は自分の気持ちを吐露したわけで……


「ですが、それよりも不安を呼び寄せるような事を口に……」

「ああ、二人だけで何とかなるのではと言ってしまったね、確かに」


あれで二人が僕の事を何とも思っていないならば、

その時は本当に鳥居の外に出ても良いと思っていた。


「それを聞いて、私は少しだけ里遠ちゃんから離れようと思ったのです。

 来人さんが距離を置く前に、私も少し距離を置いて……」

「それでは、里遠ちゃんが可哀想になる」


二人同時に一歩踏み込んだ距離から見守ろうとしてしまっては、

寂しい思いをさせてしまう、それではいけない。


「だから、私は来人さんと話をしたいと思ったのです」

「その為の物か、この話し合いは」


巫女さんは恐らく、僕よりも色々な事を知っている。

大きな視点から現状を見ようとしているのではないのだろうか。

だが、今はそんな方法を使っても仕方の無い所に心がある。


「私の中でも、気持ちが定まっていないのです。

 来人さんをここに押し留め続けたい気持ちと、

 里遠ちゃんともっと仲良くしたいと思う気持ちが……」

「それが、巫女さんの不自然の行動の理由ですか?」

「そう……なのかもしれません」


思えば、色々と不自然な所が多かった。


「そもそも、僕の事を警戒しながらも滞在を勧める……

 その発言から、滅茶苦茶な気がします」

「そうですね、危険な物は避けてしまいたいのも本音なのですが、

 何故か切り捨ててはならない気がしているのです」


絶妙に自己の都合に合わせて二転三転してますね……

まあ、それも巫女さんらしいと言えばそれまで。


「しかし、間接的に影響が出ているかもしれないのですよ?」

「それでも、来人さんを優先すべきだと思ったのです」


なるほど、根拠が薄い気がしないでもないのだが、

それでも何となく、この話の根本が見えてきた気がする。


「巫女さん、一つ聞かせてくれませんか?

 真意を、掴みかねている事があるのです」

「はい、何なりと」

「巫女さんは、僕……いや、"外から来た誰か"に、

 一体何を求めて、何を成し遂げて欲しいと思っていますか?」


巫女さんの曇った顔が僕の目の前にある。

どうやら、この問いかけは……


「それは、教えられません。私としてもその部分を突かれると、

 明確な答えが頭の中にあるとは言えないのです。

 ただ、今は私や里遠ちゃんの近くに居て欲しいのです」

「それだけで、十分です」


居て欲しいから、そう考える。

それも決して間違ってはいない。だが……


「もしそこに、明確な答えが現れるなど、

 何かが解りそうだと思った時は教えてください」

「はい、お互い……ですね」

「お互い……か、なるほど」


僕は僕で、巫女さんに対して強く聞けない事情はある。


喜んでいいのか判らない答えや、中途半端で曖昧な答えを返されるのなら良い。

受け入れられそうに無い答えを返されるかもしれないと思っていたからだ。


「思えば、僕も巫女さんも、里遠ちゃんに対しては、

 身勝手な考えを押し付けようとしていたのかもしれない」

「どうしてそんな考えに至るのですか?

 何処から、前触れも無くいきなり答えだけ出さないでください」


確かに前触れが無いように思えてしまう。

だけど、見方を少し変えれば……


「いや、先程の質問の答えがそのまま繋がっています。

 巫女さんはこの後もあらゆる問題に対して、独りで考え込むつもりですか」

「相談できるの範囲の事ならば来人さんに相談いたしますが……」


頼られるのは嬉しいのだが、

それは遠回しに行動してる事に他ならない。


「考えている間、僕に里遠ちゃんの面倒を見て欲しいとか、言いませんよね?」

「面倒を……見て……

 そういう、事ですか」


気付いたと思う。

それがそのまま、巫女さんなりの距離の置き方なのだ。


そして、実はこの巫女さんの距離の置き方こそが、

この二人の関係を悪くさせた要因でもある。


「巫女さんは、里遠ちゃんに対して何かを隠しているのかもしれない。

 それはもしかすると、僕にも十分関係する事かもしれない」

「そうだとしても、私は……」

「言うつもりは無いのでしょう。今はそれで構いません。

 だけど、隠すのに必死になって里遠ちゃんとの距離が離れたら……」

「二の舞に……なりますね」


解ってくれただろうか。

僕がここから離れて、二人だけに戻しても解決しないと思った理由。



「僕が居るから安心だとは、思わないでください」

「はい……」


巫女さんは、深々と頭を下げた。



さて、先程の話だが……


「だからこそ、私も来人さんも里遠ちゃんにとっては身勝手に見えるのですね」

「僕は僕で、二人の関係を遠巻きに見ていたいと考え、

 巫女さんは巫女さんで、僕に里遠ちゃんを預け考えたいと願う」


すれ違っていないか、互いに。


「私も来人さんも、相手に任せようとしているのですね」

「そうです、僕も十二分に自覚が必要ですが、巫女さんも自覚しましたか?」

「よく、解りました。

 指摘していただきまして、ありがとうございます」


巫女さんは軽く礼をする。


「そこまで畏まらなくても良いですよ。

 お互い、もう少し気を楽にしていきましょう」

「癖ですが、慣れていきたいものですね」


お互いに、笑いあった。


「来人さんなら、恐らく私や里遠ちゃんの抱えている理由や悩みを……

 一つ一つ解決していただけるのかもしれません」

「僕はそんなに万能ではありませんよ」

「謙遜しないでください。

 本当に、色々と何とかしてしまいそうなのですから」


笑顔で、巫女さんが答える。

その眼差しには、懇願や悲願を集めたようなものが籠もっているように感じた。

僕は……


「それは、どこまでの意味として、捉えていいのだろうか?」


まるで、もっと大きな何かを背負わされている気がして……

自然と、巫女さんにその真意を問いかけていた。


「そのままです、そのままの意味で捉えていいのです」

「はぁ……?」


巫女さんの答えに、僕は少し首を傾げていた。

そのままと言われても、どう捉えればいいのだろうか。


「全然、解らない。意味合いだけ取れと言われても……」

「さすがに言葉が足りませんでしたね。

 ちょっと恥ずかしい部分もあるので、あまり言いたくないのですが……」


僅かに照れている巫女さん。雰囲気があまり見たことの無いような……

思わず少しだけ可愛らしさが増していると思ってしまったのは……駄目だ。


「実はですね……

 私からすれば来人さんは、とても大きな希望なんです」

「照れながら言うには破壊力がありすぎですよ……」


思わずこちらも照れてしまった。

上目遣いだったら少々危なかったかもしれない。


「仕方ない部分もあるとは思いませんか?

 今までの日常を塗り替えてくれた人なのですから」

「僕からすれば思った通りに動いただけですが……」

「それでも、私だけではなく里遠ちゃんも同じ事を思ってくれているはずです」

「なるほどね」


確かに、二人からすれば今の関係の変化は……

劇的なもので、日常が大きく変わったのも頷ける。


「なので、里遠ちゃんにとっては既に、

 来人さんがいない日々なんて考えられなくなっているはずです。

 だからこそ私は来人さんを外に出すわけには……」

「待ってください……」


とりあえず段々早口で熱弁する方向に向かうのを止めておこう……

ついでだが、妙に引っ掛かる言葉もあった気がする。


「それ、里遠ちゃん限定ですか?」

「え、あれ、私……」

「本人が気付いていないのは一番困ります。

 本当に、はぐらかすのも大概にした方が良い」

「はぐらかすなんて、そんな事……」


何だろうか、このいじらしくも可愛らしい巫女さんは。

今までの雰囲気とは違う何かがこの空間を支配しつつあるらしく、

巫女さんの焦り方を見るのが少し楽しくなってきていた。


「巫女さんは大体いつも、自分の事を棚に上げてますね。

 僕に希望を探して追い求めようとしている段階で、

 里遠ちゃん以上に本当は何かを期待しているのでは?」

「ごめんなさい、その通りなのです。

 だからこそ私は、来人さんの事を知りたいと思ってしまうのです」


僕の本心に触れてみるような問いかけの正体は……

つまり、巫女さんの純粋な興味も入っている。

これは素直に喜んで良い事なのだろう。


「但し、私から見ると来人さんは……

 少しだけ物事を諦め気味になっているのではと心配しております」

「大丈夫です、そんな心配は無用ですよ」

「はい、しかしそれを踏まえた上で言わせてください。

 来人さんは今の私が里遠ちゃんの面倒を見て……

 心から安心できますか?」


正直に言っていいのだろうか。


「正直に言ってください」

「解りました。

 答えは、少し安心できない部分がある」

「その通りです」


巫女さんも謎を多く抱えているのは間違いないのだ。

だからこそ、それが行動に現れる。


「私もまた、弱い人間の一人です。

 だから、私の事を後ろで見守っていてくれませんか?」

「そう言われてしまうと、僕は逃げられそうに無いね……」

「私のわがままかもしれませんが、お願いします」

「わがまま?」


懇願する巫女さんを見ていたが……

それが、わがままになるのか?


「そうは、思わないが?」

「いいえ、全てにおいて私のわがままなのです」


その理由は……何なのだろうか。

先程出てきた話にも関係あるのだろうが、見当が付かない。


「"外から来た誰か"とまで呼んでしまった来人さんに、

 里遠ちゃんのお兄さんとして振舞って欲しいと思っているのですから」

「巫女さんの本心、確かに受け取りました」


これこそが、僕の探していた物の一つ。


「何で、受け取ろうとするのですか?

 それはただの私の……」

「確かに、言っている事は間違いではない。

 だけど僕としては、それくらいの方が良いのではないかと思いますよ」

「ううっ……それが、反則なのです」


照れて顔を真っ赤にしている巫女さんが、目の前に居た。

僕は何か、変な事でも言ってしまったのだろうか?


(より人間味のある、巫女さんが良い……)


思い返して判った、間違いなくそんな意味合いにも取れる。


「みうぅ……

 そんな事を平然と言えてしまう人だから、私も頼ってしまうのですよ?

 もう少し、その辺りの自覚を持ってください」

「あ、ああ……

 そ、それは後で反省して悩みますから……」


何だろうか、照れ臭さが増していく。

思い切って空に目を向けてみた。


「と、とりあえず時間も時間なので、

 そろそろ、そろそろこの話題は止めましょうか」

「さ、賛成ですっ!」


慌てふためいているのは僕だけではなく巫女さんも……

連鎖するように、どちらも一気に大慌て。

収めるには、最終手段しかない……


「と、とにかくまずは確認しましょう。

 里遠ちゃん、向こうで寝ていますかね?」

「後で私が様子を見てきます。

 あの娘の寝相、あまり良くない時がありますので……」

「布団を蹴飛ばしていたら、大変ですからね」

「その通りです、よく見ていますね……」

「まあ、僕は僕で見ていますから。

 それよりも、巫女さんの方がもっと色々な事を知っていますよね?」

「あまり仲が良くなかったとはいえ、一緒に居た相手です。

 心配もしていますし、何より本心で嫌っていたわけではありません。

 確かに、知っている事は多いでしょう」

「そのあたりの事情もまた、改めていずれ聞かせてくれませんか?」

「はい、機会があればお話したいですね」


何か妙な早口で変な事を口走っていたが、

しんみりとした顔になる巫女さんを見てそれが止まった。


やはり、その件についてはあまり話したくないのだろうか。

それとも、何か別の事を考えているのだろうか。


「少し不思議に思う事があるのですが、

 来人さんは、意外と心配性なのでしょうか?」

「自分ではそう思ってはいませんが、

 巫女さんにはそう見えますか?」

「はい、見ている限りでは……」


確かに、これまでの動き方を見れば……

先日の一軒に対して自分があまり動けなかったのは、

心配性な部分が押し留めていたからとも、言える。


「里遠ちゃんを特に気に掛けているのかもしれないね」

「子供に優しい人は、とてもいい人だと思います。

 特に来人さんは心の底から優しい人なのでしょう。

 頼りがいもある人ですしね……」

「あ……あはは……

 そこまで言われてしまうと、照れますね」


屈託の無い笑顔で言われると、破壊力が高い……

巫女さんは全くと言っていいほど気付いていないのだろう。

それに、結構嬉しいと思ってしまう。


だから……


「僕としては、色々な事に気付ける巫女さんも、

 表情豊かで里遠ちゃんにも負けない笑顔を見せてくれる巫女さんも……

 どちらもなかなか、魅力的だと思いますよ?」

「え……う……うにゅぅ……」


あれ?

一気に巫女さんの顔が真っ赤に……

このままもう少し押して……いいのかな?


「もう少し、巫女さんの事を知ってみたいですね。

 そうすれば毎日がもっと楽しくなるかもしれない」


照れるような言葉を言われたのでそのお返しのつもりで……


「うみゃぁぁぁっ!

 来人さんの、来人さんの……意地悪っ!」


ああ、巫女さんがちょっとばかり壊れたみたいだ。

いつもの姿とは違う、とても慌てふためく……悶えるような格好。

その場でじたばたと暴れているが、見ている限りでは面白い。


「と、とりあえず落ち着きましょう……」

「みぃあぁぁ……

 誰が、誰が原因だと、思ってるのですかっ!」

「は、はい、ごめんなさい……やり過ぎました」


凄まじい気迫で迫られたので、僕は思わず謝っていた。

あまり謝意は籠もっていないのだが、

この妙に甘ったるい空気を切り替える策としては効果があるだろう。

作ったのは自分だと言われてしまうと困るが……気にしない。


「お、お……お互い、踏み込みすぎるのも……

 考え物っ、ですよねっ? そうですよねっ! ねっ?」

「わ、解りましたから……

 今回の事は僕が少しやりすぎました。

 反省しているので殺気立てて詰め寄るの止めてくれませんか?」


目が笑ってなくて怖い。ちょっとやりすぎたみたいだ。


「わかればいいのです、わかれば……」


巫女さんの拗ねている姿を見ていると……


(里遠ちゃんも同じ反応をするのだろうか?)


なんて微笑ましい光景を僕は想像してしまった。


ただ、問題があるとすれば一つ。

僕は僕で、それはもう後で悩まされそうな事を言ってしまったわけで、

悪戯の反動で受ける物はそれなりに覚悟しないといけない。


「反省、していますか?」

「はい……」

「口は災いの元ですよ?」

「本当に、その通りだ」


それでも何処かで、こんな雰囲気も悪くは無いと思っていた。


「とりあえず、この辺でお開きに致しませんか?」

「里遠ちゃんが寂しい思いをしているかもしれない……

 長話になってしまったからね」

「私が様子を見に行ってきますね」


そう言うと巫女さんは立ち上がってそのまま僕の部屋を出て行った。

僕も行こうかと思ったが……


「まあ、僕がついていかなくても大丈夫……だろう」


ここは、巫女さんに任せておこう。

色々と疲れてきたので、僕は軽く休む事にした。



なお、完全に余談なのだが……

この日を境に、巫女さんが僕に妙な視線を向けてくる気がしてならない。

監視の意味を籠めているのだとは思うが、

他にも何かが混じっているような……優しい視線。


もしかするとそれは思い込みかもしれないので、

機会があればその事を聞いてみたいと思っている。

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