95. 2週目
地面に倒れたまま完全に動けなくなった班長は、さすがにクス一人では運べなかったので、南美と蛍の二人が光の中まで持っていってあげることにした。
二人が班長を光の中に運ぶ最中、ミカから「危ないから絶対に光には触れちゃダメだよ。」と何度も厳しく注意された。
後でミカから聞いた話だと、光の通路は、現状で地球とジャイアの双方から出入りする容量が目一杯の状態で、そこに5色の魔法少女のような強力な力の集合体が触れてしまうと、完全にオーバーフロー状態となって、光の塔のエネルギーが反作用を起こしてしまい、最悪の場合だと、ジャイアと地球のどちらか、もしくは双方に大きな損害を与えてしまう可能性があり、また触れてしまった本人も、宇宙の狭間に飛ばされたり、時空の切れ目でバラバラになってしまう恐れがあるということだった。
南美達は、ミカからその話を聞くと思わずぞっとした。
しかしながら、南美と蛍の二人が慎重に班長を光の中に運んでいる最中も、班長がしきりに二人に悪態をつき続けていたので、怒った三玖が班長を後ろから蹴り上げて、最終的に班長を光の中へと放り込んだ。
そして最後に残ったクスは、申し訳なさそうな表情で南美達の方を向いた。
「あ、あの……この度は、このような結果になってしまい、あの誠に……」
「あら、光の塔が閉まっちゃうわ。早く戻らないと。」
三玖が光の塔を指さすと、クスは光の方を振り向いた。
「……あっ!」
その時、光の塔は急速に輝きを失って、消えかかっていた。
クスは、南美達に対し軽く一礼すると、急いで光の中へ飛びこんだ。
そして、クスが光の中に消えていくとほぼ同時に、光の塔も完全に消えてなくなると、南美の凶悪な紅蓮の炎とは対照的な、暖かな淡い夕暮れと、いつもの平穏な日常が戻ってきた。そして、グラウンドの向かいにあった、もう一つの光の塔も消滅していた。
マジカルキティからいつもの制服姿に戻った南美達とミカは、部活の生徒達の邪魔にならないように、グラウンドの隅に移動すると、校舎の方に向かってゆっくりと歩き出した。
「それにしても……あのおじさん、結局何しに来たんだろうね?」
校舎への帰り際、南美がいつもの不思議そうな表情でみんなに話し掛けた。
「自分のことを猫型ロボット実現室の室長とか言ってたけど……でも、悪いロボットには見えなかったね。」
蛍は、とりあえず異変が終わったことにほっとすると、クスについて自身の率直な感想を述べた。
「そうね。あのおじさん、私達と何か話をしたかったみたいだし……まあそれについては、次にあのおじさんが来た時にでも、またゆっくりと話をすることにでもしましょう。」
三玖は、異変の前後から、相変わらずの落ち着いた様子で答えた。
「ふぁ~あ……うん、そうだね。もしかすると平和的な解決策が見つかるかもしれないね。」
ミカも、ロボット達の来襲が何事もなく無事に終了すると、ほっとすると同時に、先ほどまでの眠気が急に襲ってきた。
南美達は、あのおじさんは、今後もしかすると自分達の味方になってくれるかもしれないと思った。
それとミカの予測では、ジャイアで光の塔を一回開設するには、ものすごい労力と時間が必要なようなので、おそらくしばらくの間は、ロボット達は地球に来られないだろうとのことだった。
そして今回の光の塔について、もう一つ注意する点があって、今回できた光の塔の出力は、前回と比べて5倍ほど大きくなっていて、次回はさらに大きくなる可能性が高いということだった。すなわちこれは、より多くのロボットが襲来するということを意味していた。
ミカの話を聞きながら、南美は何気なくふと立ち止まると、顔を上げて空を見上げた。
(あれ?)
すると、日が沈み赤みがかった空に、ユニークな形の雲がグラウンドの上に浮かんでいた。それは、ぼんやりと数字のようにも見えた。だが、南美は特にそれを気にすることなく、すぐにみんなの元へ戻った。
教室に戻った南美達は、「もうロボット達は来ないみたいだから、先に帰ってていいわよ。」と言って、再び生徒会室へ戻っていった三玖を、引き続き教室で待つことにすると、その後3人は再び放課後のまったりとした平和な日常に浸った。そして少ししてから三玖が教室に戻ってくると、4人は再び一緒に学校の正面玄関を通って、それぞれの家路へと向かった。
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