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129. 異変の後

 突如目の前で披露されたこの世の終わりが始まったかのような天変地異を前に、一人茫然としてしばらくその場に立ち尽くしていたつかさは、少し正気を取り戻すと、驚いた表情をしたままケラウノスを抱えたひばりの方まで歩み寄った。


「ちょっ、ちょっと! ひばり! 一体どういうことなの、これ!?」


 ひばりは、この天変地異を別に自分が仕掛けたわけでもなかったので、自分でも状況をよく飲み込めてなかったものの、つかさに苦笑いを浮かべると、とりあえず今起こったことをそのままつかさに説明することにした。


「いやあ……これでつかさも私が黄色の魔法少女だってわかってくれたと思うんだけど……これ、私の武器でさ……ケラウノスっていうんだ……で……さっきの雷なんだけど……あれがさ、私の黄色の電撃魔法メガライト……なんだって。」


「はー……」

 つかさは、ひばりが先ほどケラウノスを受け取った時と同じような、間の抜けた返事をした。


「それで……ついでにメグのことも改めて紹介しとくけど……実はこの子もただの子犬じゃなかったりするんだよね……いや、別にぜんぜんかわいげがないから、とかそう意味じゃなくって……実はさあ、私に魔法を授けてくれたのが、このメグだったりするんだよね。」


「はー……」

 つかさも、先ほどのポメラニアン離れしたメグの鬼の形相、それから突如として頭上に集まった黒雲の集団と、その後に起きた巨大な稲妻を目の当たりにして、ひばりの言っていることが、もう100%冗談だと疑うことができなかった。


 それからつかさは、しばらくひばりとメグの両方を、まるで奇怪なものでも見るような目で、交互に見返していた……が案外、思ったよりわずかな時間でいつもの平常心を取り戻した。


 このように、どのような特殊な状況下に置かれても、極度の緊張やプレッシャーがかかる場面に遭遇しても、素早く自身の気持ちを落ち着かせ、緊張やプレッシャーの類を逆に自分の力に置き換えるメンタルの強さ……この気持ちの切り替えの早さ、精神力の強さというのが、アスリートとしてのつかさのストロングポイントの一つだった。


「ふ――……」

 つかさは気持ちを落ち着けると、その場で深く息を吐いた。


「へえ、なるほどね。今日あんたが家に来た時から、メグに向って独りなんかブツブツ言ってんなと思ってたけど……あれって、ひばりがメグを魔法少女のパートナーかなんかってことにして、いつもの5色の魔法少女ごっこでもやってんのかと思ったんだけど……実はメグは本当に魔法少女の使者で、あんたは本当にメグと話してた……ってそういうことなの?」


「……うん。実はそうなんだ。」


「ふーん……そうだったんだ……へえ、ひばりが魔法少女になったって本当だったんだ。なるほど……とりあえずよかったね。おめでとう、ひばり。ずっと魔法少女になりたかったもんね……でも……さっきみたいにぜんぜん関係ない場所で急に魔法をぶっ放したりしちゃダメだからね。もし、どうしても魔法が使いたいっていうんだったら、人目のないところで、誰にも迷惑を掛けないようなとこでやっててよね。」


「うっ……ご、ごめんなさい……」

 ひばりは、別に自らの意思で魔法をぶっ放したわけじゃなかったが、素直に謝った。


「うーん……でも、私の方はやっぱり桃色の魔法少女なんかじゃぜんぜんないと思うけどな。あんなすごい魔法、目の前で見せられても、私にはぜんぜん使えるような気がしないし……それに、もしも私が本当に魔法少女だったとしても……ひばりの魔法少女ってどんな活動があるのかわからないけど……今は部活の方が忙しいから、申し訳ないけど、そっちの活動の方は多分手伝えないと思うよ。」


「……うん。それはよくわかってる……」

 ひばりは寂しそうにつかさに答えた。


「そう……それでもいいんだったら、私が桃色の魔法少女かどうか、一応確かめるくらいだったら別にいいけど……それで、私が桃色の魔法少女だっていうのはメグが言ってるの?」

「うん……つかさは桃色じゃないかもしれないけど、何色かの魔法少女かもしれないって。」

「へえ、そうなんだ……でも、さっきも言ったけど、もし私が本当に魔法少女だったとしても、あんた達の活動に加わることは出来ないと思うけど……それでもいいの? ……でも、もし本当に私の力が必要って言うんだったら、事情によっては別に考えなくもないけど……」


 ひばりはメグに確認した。


「うん。別にいいんだって。私も魔法少女になりたてだから、これからどんな活動するのかよくわからないんだけど……なんか私達って、5色の魔法少女じゃなくって、6色の魔法少女っていう5色の魔法少女の追っかけとか、なんかそんなのみたいらしいんだけど……魔法少女の活動に参加するかどうかは基本的に自由なんだって。とりあえずメグは、つかさが本当にも……も……色の魔法少女だったら、も……も……色の魔法少女が使えるワールドスピーカーっていう魔法を自分に唱えてほしんだって。そうすれば、私とだけじゃなくて、つかさとか万智とかともおしゃべりできるようになるんだって。」


「ふーん、そうなんだ……だったら私も一度メグとおしゃべりしてみたいな……それで……私はどうしたらいいの?」

「いや、こんな生意気な子犬となんか絶対しゃべらない方がいいと思うけどな……あっ、それでつかさがもし本当に、も……桃色の魔法少女だったら、私と同じようなプレシャスストーン(PS)を持ってるはずなんだって。」


「フィロソファストーン(PS)……な!」

 メグは速攻でひばりに注意した。

ご読了ありがとうございました。続きが気になった方は、

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