128. 異変の後
黒雲も消え去って、雷が落ちて一瞬で停電が復旧すると、突然の雷と轟音とで騒然とした周りの住民が、一体何が起こったのかと、窓を開けたり外に出たりして外の様子を確認していたが、それはまさに一瞬の出来事で、彼らの日常になんら影響を与えることもなかったので、彼らはすぐにいつもの日常生活へと戻っていった。
ひばりは、恐る恐る白い線が直撃した地面を確認した。
すると地面には、何かよくわからない細長い物体が突き刺さっていた。
「はあ? なんじゃこれ?」
その細長い物体は、長さがちょうどひばりの半分くらいで、魔法少女の武器だとしたら、槍にしてはちょっと太すぎるし、こん棒にしてはちょっと細すぎるし……それに、言葉にして表現するのが難しいような不規則な形状をしていて、全体にデコボコしてて、何かおどろおどろしくも、それでいてどこか厳かな雰囲気が感じられる、奇妙な光沢を備えた金属の塊だった。
「ふむ。その棒は、黄色の魔法少女のみが持つことが許される最強の装備であり、電撃の力を凝縮した武器、その名をケラウノスという。その武器があれば、どんなに魔華力が足りない黄色の魔法少女でも、電撃系の魔法の第6段階にあたるエクサライトまでの魔法を放つことができるようになる。それぐらいの魔法を放つことができれば、黄色の魔法少女として一応一人前だと言っていいだろう。ちなみに、先ほど空中で炸裂させた電撃は、黄色の魔法でいうところの第2段階にあたるメガライトという魔法だ……ひばりよ。5000年振りに6色の魔法少女を復活させた功績として、お前には特別にその武器を進呈してやろう。」
「はー……」
ひばりはメグに間の抜けた返事をすると、棒にまだ電気が残っていないか少しビビりながら、恐る恐るその最強装備に手を触れてみた。
ケラウノスは、幸いに電気も熱ももう残ってなかったが、少しひんやりと冷たかった。
ひばりは、ケラウノスをよく見ようと思って、ケラウノスを地面から引っこ抜くと、自分の胸元まで持ち上げた。
ケラウノスは、実際はその見た目より重くて、魔法少女になって幾分かパワーアップした今のひばりでも、両手で持ち上げるのがやっとだった。
その武器は、細いとも太いともいえない中途半端な太さで、形状も直線的でなく、松の木のように、まとまりのない不規則で歪な形をしており、見ようによっては、どこかの製鉄所にでも転がっていそうなスクラップの塊のようにも、新進気鋭の前衛芸術家が作製した芸術品のようにも見えた。
だがその武器には、ひばりが魔法少女の武器として求めているかわいらしさやかっこよさのカケラというのがまったくといっていいほどなかった。ひばりは棒の先端のボコボコしてる部分を確認すると、そこに何やら赤や緑の液体が乾いた跡が所々にこびりついていた。
「うむ。まあその武器は魔法として使う以外に、別に物理的な攻撃道具として使用しても別に差し支えないのでな。」
そこで、親切にもメグが武器の使用方法を説明してくれた。
「はー……」
(なんか武器の名前も微妙だし、ぜんぜんかわいくないし……どうせだったら私もイエローキティのホタルみたいに、猫のアクセントの入ったかわいらしい武器の方がよかったな。)
ひばりが求めていた武器というのは、ケラウノスのような見るからに殺傷能力が高そうな、どっからどうみても強そうにしか見えない、こんな武器武器しい武器ではなかった。
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