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126. 異変の後

「ひばりよ。」

 その時、ひばりの足下からメグが冷静に声を掛けた。


「なんだよ!?」

(こうなってしまったのも、全部お前のせいじゃないか。ボケ〜!)そう思うと、ひばりはメグを思いきりにらみつけた。


「ふむ。まあ大体こんな展開になるだろうとはあらかじめ予想しておった。そもそも6色の魔法少女というものが、親族の間で代々受け継がれる伝統芸能の類であるとか、そんな話聞いたこともない。ましてや、そのような重大な事実を父親の口から軽々しく伝えられるようなものではない。魔法少女というのは、一部例外はあるにせよ、基本的には毎年その年の対象者の中から完全に無作為に抽出される法則となっている。まあ対象者といっても、今回の場合だと性別が女であること……年齢が16歳であること……以上の二点くらいで、対象者は誰もが平等に6色の魔法少女に選ばれる可能性がある。まあ他に条件があるとすれば、私が創造した人類の中から……ということぐらいか。そして、完全に無作為で選ばれた6色の魔法少女の中から、時によっては素晴らしい素質をもった魔法少女達が誕生したり、逆に問題のある魔法少女達が集合してしまったりするのが、この法則の帰結であり、醍醐味なんだともいえるかもしれない。6色の魔法少女を創造し、かつその法則を作った当人が言っているのだから、他に疑問の余地もあるまい……だが、ひばりよ。どんな偶然や必然が重ね合わさったかにせよ、結果としてお前が魔法少女であったこと、そして実際に魔法少女になったこと……それは明白な事実であり、その事実こそが唯一のせいなのだ。お前は、もしかすると魔法少女としての能力は限りなくポンコツかもしれないが、私が5000年におよび探し続けても決して見つけ出すことができなかった、そして5000年に渡り一度も誕生することのなかった6色の魔法少女になったのだ。その事実だけを鑑みても、お前と魔法少女とを結びつける運命レベルの強さ――これを素質といってもいいのかわからんが――過去のどの魔法少女にもなかった類のない驚異的なものであるといってよいだろう。そういう意味では、お前も並外れた素質をもった魔法少女なのだと言ってもよいかもしれない。」


「えっ? そうなの?」

 ひばりは、どこかでけなされたような気もしたが、ずっと辛口だったメグから初めて褒められて少し気分がよくなった。


「うむ。その魔法少女として驚異的な運命レベルの持ち主であるお前に引き寄せられ……まあ理由はともあれ、続けてお前の身辺にもう一人、同じく魔法少女かもしれないという少女が現れたのだ。本来ならば信ずるに値しない情報であるのは間違いないのだが……お前の運命レベルの強さを信じれば、つかさは、たとえ桃色でなくとも、何色かの魔法少女である可能性は十分にあり得ると私は踏んでいる。」


「……あれ?」

 その時、ひばりとメグのやりとりを不思議そうにボーっと眺めていたつかさは、ふとひばりの肉体の変化に気がついた。すると、つかさは唐突にひばりの腕や体を触り始めた。


「ちょ、ちょっと……いきなり何すんだよ。」

 ひばりは、つかさに急に体中をべたべたと触られて当惑した。


「ひばり、こんなに筋肉あったっけ? もしかしてずっと体鍛えてたの? すごいな。よく見ないうちに立派な体つきになったね。」


 純粋なアスリートであるつかさは、ひばりの体つきを見て、ひばりが現在の肉体を手に入れるのに、これまで相当長く厳しいトレーニングを積んできたのがイメージできたので、思わずひばりに尊敬の眼差しを向けた。


「えっ? 本当?」

「うん。まあ純粋なアスリートとまではいかないけど、一般的に見れば結構すごいレベルだと思うよ。」

「えっ? ありがとう。」

 ひばりは、そんな心当たりまったくなかったが、つかさに褒められて素直に喜んだ。


「もしかして……体鍛えたって話をしに家に来たわけ?」

「えっ?……まあ、そうだったりして……」


 ひばりが少しご機嫌になったところで、再びメグがひばりに声を掛けた。

「ひばりよ。」

「何?」

「よし。では、今からつかさが本当に魔法少女かどうか確かめることとしよう。ひばりよ。お前は私が言う通りに従うがよい。まずお前の肉体的な変化についてだが……もちろんお前の日常の鍛錬の成果でもなんでもない。そのことはお前自身がよくわかっているはずだ。」

「うっ……」

「お前の肉体が変化したのは、魔法少女に変身したことでそれなりに強化されているからだ。つかさにはそう言って説明するとよかろう。」

「へえ、そうだったんだ。」

「うむ。まあそういうことだ。とりあえずはつかさにそう説明するとよい。」

「うーん……わかったよ。じゃあ、とりあえずつかさにそう説明してみるよ。」


 ひばりはメグの言う通りつかさに説明した。


「えーっ? まだその話続けるつもりだったの? ……うーん……でも、確かにひばりっていえば貧弱なはずだし……運動音痴でどんなスポーツやってもからっきりダメだし……昔から走るのもぜんぜん遅かったしな。」

 つかさとしては、その話はもう終わったはずだと思っていたので、これ以上そんなつまらない話に付き合う気はなかったが、よくよく考えると、確かにひばりの現在の体つきは疑問だった。


 ひばりの驚異的な身体能力の低さが、ここで功を奏した形となったものの、その代償としてひばりは少しへこんだ。


「じゃあ……ひばり。あんたも魔法少女になったっていうんだったら、なんか魔法が使えたりするわけ?」

ご読了ありがとうございました。続きが気になった方は、

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