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125. 異変の後

「は~~??」

 ひばりがわざわざこんな時間に自分の家までやってきて、すごく深刻な顔をして、散々もったいぶったあげく伝えたかったことが、まさかこんなしょーもないことだったとは……


 そう思うと、つかさは呆れると同時に、自分もひばりに付き合って、彼女の悩みがなんなのだろうと今までずっと真剣に考えていたのが、ものすごくばからしくなって力が抜けた。


 ひばりの大切な用件といったら、多分5色の魔法少女に関係することなんだろなと薄々感づいていたつかさだったが、それがまさか自分の想像の遥か斜め上をいくドストレートな内容だとは、さすがにここまでは予想してなかった。


 つかさは、もちろんそんなあほらしい話をまともに受け取ることはできなかった。


 だが一方、つかさは、小学生の頃に自分がひばり、プル、ミア、ルーシーの幼馴染4人組の輪から抜けて一人バスケットボールに専念するようになってから、なぜかひばりが一方的に他人行儀になってしまって、以来自分の家を訪ねることがなくなったことも……たまにひばりと話をしても、ひばりが意識して自分からは絶対に魔法少女の魔の字も言おうとしないことも……教室でひばりがプル達と5色の魔法少女の話題で盛り上がっている時に、楽しそうなのでたまに自分もその輪の中に入ると、途端にひばりが5色の魔法少女の話題をやめてしまうことなんかも……みんな気づいていた。


 そんなひばりが、本当に久し振りに自分の家を訪ねてくれたのに、その目的がこんなつまらない冗談を言いにきただけでは決してないはずだ。それに、ひばりは昔から5色の魔法少女のことについてだけはいつも真剣だ。たとえ冗談とかシャレであっても、そんなこと絶対に言うはずがない。もしかすると、この話には実は何か裏があるのかもしれない。


(もしかして……小さい頃みたいに、ひばり達の5色の魔法少女ごっこに戻ってきてほしいとか? ……まさか!? ……だって、今さらだし……多分そんな話じゃないと思うけど……)


(もう、しょうがないな。)

 つかさは、自分でも半分あほらしいと思いながら、とりあえずひばりの話に少しだけ付き合ってあげることにした。


「へー(汗)……私、魔法使いだったんだぁ。」

「うん……」

「そうなんだぁ……へーなるほど……で、私はなんの魔法少女なの?」

「……も……もも、黄色……」


「ひばりよ。いちいち面倒臭いことを言うな。話が余計ややこしくなるわ。」

 ひばりの足下からメグが注意した。


「うっ……」

 ひばりは一瞬たじろいだ後、メグをキッと睨んだ。するとキレ気味に一気に捲し立てた。

「桃色だよ桃色! 桃色の魔法少女なんだってさ、つかさは! 昨日パパとママから聞いたよ。つかさは桃色の魔法少女なんだってね。よかったね。おめでとう。桃色の魔法少女になれてさ。ちなみに私も魔法少女になれたよ。残念ながら黄色! だったけどね!」


「は〜〜??」

 つかさは、ひばりが訳のわからないことを言って、いきなり自分にキレだしたので、一瞬ポカンとした表情でひばりを見た。


「私が桃色の魔法少女? はあ!? そんな話今まで聞いたこともないんだけど。ひばり、あんた何言ってんの? そんな話あるはずないじゃん。あんた、もしかしておじさんとおばさんの冗談真に受けちゃったの? ……えっ!? まさか本当にそんな話しに家に来たわけ?」


「へっ!?」


 つかさが呆れたような表情でひばりを見つめた。

「話って、本当にそのことだったの? ……あ〜あ。なんだ、心配して損した……ひばりさ。5色の魔法少女が好きなのもいいんだけど、高校生になったんだからさ、少しは落ち着いた方がいいよ。」


「で、でも……昨日パパがつかさは桃色の魔法少女だって……」


「そんな話、パパからもママからも聞いたことないよ。」


 ひばりは、恥ずかしさのあまり顔が真っ赤になった。

(くそー……あのくそ親父、また適当なこと言いやがって。つかさにだけは絶対言いたくなかった一言を、いやいやながら、やっとの想いで言ったってのに……なんだよ。単なるガセネタじゃねーかよ。)


「……あっ! 思い出した。そういえばひばり、この前競馬場でやってたマジカルクインショーに行ったでしょ。それで桃色の魔法少女のコスプレして最前に陣取って……ショーの間中、小さなお子さん達と一緒になってずっと盛り上がってたって……それでプル達、それを遠目から見てて、すごく恥ずかしかったって言ってたよ。」


「えっ!?」


「ルーシーも5色の魔法少女のコスプレしてひばり達と街中を歩いている時に、たまたまその場に居合わせたクラスメイトや近所のおばさんから、気を使って普段通りに声を掛けられるのが逆に辛いって言ってたし。」


「うっ!?」


「で、なんか最近はいつものコスプレ集会が終わった後に、3人で近所のカフェに寄って、ひばりにそろそろ5色の魔法少女ごっこをやめようって言おうかどうか相談してるんだって。」


「なっ!?」


「プルもミアもルーシーも、みんないい娘だから、多少無理してひばりに合わせてくれてるんだからね。だからひばり。自分がやる分には別にいいけど、プル達のやさしさに甘えて、いつまでもあの娘達に変なことさせちゃダメだよ……あっ、それとマジカルキティが始まって子猫が飼いたくなったからメグを引き取ってほしいとかだったら絶対にダメだからね。ペットを飼うんだったら、飼い主が責任をもってちゃんと最後まで面倒みなきゃ……あっ! しまった……プル達の話って……これってひばりが傷つくから、ひばりには絶対に内緒にしてって、プル達に言われてたんだった……」


「えっ!?」

 ひばりは、つかさが桃色の魔法少女かどうか、ただそれだけを確認するためにつかさの家に来たつもりが、まさか聞きたくもなかった親友達の秘密をつかさの口から間接的に伝えられたことに大きなショックを受けた。


 だが、それと同時に、ひばりはこのシチュエーションにどこか懐かしさも感じていた。


(そういやつかさのやつ、私と同学年のくせして、昔から何かあったら、いつもお姉ちゃんみたいに自分にあれこれ指図しようとしてくるんだったよな。だからつかさのこと、昔から苦手なんだよ……それにプル達……そんな大事な話、なんで私じゃなくてつかさに相談するんだよ。)

ご読了ありがとうございました。続きが気になった方は、

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