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124. 異変の後

(うーん……)

 つかさは上を向きながら、ずっと「ひばりの用件ってなんなんだろ?」と考えていたが、友達や異性や勉強以外のことだとしたら、あと思いつくことといえば一つしかない。


(でも……それは……)

 つかさは、そんなことを頭の中で考えていると、ひばりの側で何かコソコソと話声のようなものが聞こえてきたので、ふと下を向いた。すると、ひばりの足下にポメラニアンの子犬がいることに気がついた。


「あれ? ひばり、犬飼ったの?」

 つかさは、子犬を見つけてうれしそうな顔をすると、すぐに子犬の前まで歩み寄って、両手でその子犬をひょいと持ち上げた。


 つかさは、メグと同じ目線になると、何やら自分のことを品定めするような、なぜかそんな顔をして自分のことをじっと見つめているメグと思いっきり目が合った。


 つかさは、生まれて間もない子犬が、いつも一緒にいる母犬や飼い主から突然離されてしまった場合、不安や怯えた様子を見せて、身近にいる人にすり寄って助けを求めようとするものの、やっぱり知らない人の前だと怖くて近づけない。そんな幼犬に特有の、オロオロとした仕草など一切見せる気配もなく、それどころか、この子犬が、まるで人生の酸いも甘いも何もかも知り尽くしているような、どちらかといえば、達観した仙人や哲人のような落ち着いた佇まいと威厳のある態度に、

(この子、本当に生後間もない小犬なんだろうか?)と疑問をもつと、その子犬を上から下までよく観察した……が、やはり、どう見ても生後2、3カ月くらいの子犬にしか見えなかったので、自分の気のせいだと思うことにした。


「へえ、この子女の子なんだね。」

 つかさは、うれしそうな顔をしたままひばりにしゃべり掛けたが、一方ひばりは相変わらず何も言わなかった。


「この子、名前はなんていうの?」

 つかさは、ひばりのこんな面倒臭い感じにも慣れっこといった様子だった。


「………グ……」

 ひばりは、なおも下を向いて黙ったままだったが、やがて小さな声で答えた。


「えっ?」


「……メグ……」


「へえ、メグっていうんだ。よろしくね、メグ。」

 つかさは、メグに向かってニッコリと微笑んだ。


 一方メグの方は、相変わらずのポーカーフェイスをキープした。


 つかさは、そんな不愛想なメグのことを特に気にする様子もなく、メグを元いた位置にそっと降ろした。


「でも……ひばりが犬を飼うなんてちょっと意外だな。私、マジカルキティが始まるから、ひばりがもし何か飼うんだったら猫かなって思ったよ。」


「私も……がよかったよ……」

 その時、ひばりが小さくつぶやいた。


「えっ?」

 つかさは、ひばりがなんと言ったのか声が小さくて聞き取れなかったが、とりあえず話を続けることにした。


「それで……今日はメグを見せに来たの?」


 …………

 ひばりは、相変わらず下を向いて黙ったままだった。


「えっ? 違うの?」

 つかさは、ひばりが自分に会いに来た目的が子犬を見せに来ることだとわかって、これで一安心のつもりが、どうもそれでもなかったみたいだった。


 つかさは、問題が再び振り出しに戻ってしまったことを理解すると、ひばりの目的がなんなのか再び考えなければならなくなった。


(もしかして……マジカルキティが始まったから、急に猫が飼いたくなったとか? ……それで、実はこの子犬を引き取ってほしいとか……まさか、そういう話なんだろうか? でも、そんな自分勝手なこと、絶対に許さないんだからね。)


 つかさがそんなことを考えている最中、メグはひばりに対し、つかさが桃色の魔法少女かどうかを確かめるようしきりに催促していた。

「ひばりよ。どうした? 早く聞かぬか。」


 …………


「なぜ黙っている。どうした? もしかして、さっきの春巻きパーティーのダメージが突然やってきたのか?」


 …………


「どうした? ……ならば、小便でも我慢しておるのか? だったら、その辺でとっとと済ませるがよい。」


 …………


「どうした? ひょっとして大の方なのか? もしそこら辺で済ますのが恥ずかしいというのならば、無理に我慢などせずにつかさの家のトイレを借りるがよかろう。」


 …………

 ひばりは、メグの暴言にも最初はプルプル震えながら我慢していたが、メグから一方的に言われっぱなしで、段々腹が立ってきた。そして、とうとうキレて、その場で突然大声を出した。

「わかった! わかったよ! 言うから! 言えばいいんでしょ!」


(えっ!?)

 先ほどに続いて、なんとなく上を向いてひばりの目的がなんなのか考えていた所だったつかさは、それまでほとんどしゃべることがなかったひばりが急に叫び出したので、思わずビクッとした。


「ふむ。そうだ。そう、そう言えばいいのだ……本当に、ただそれだけのことなのに……は~~……なんでお前はいちいちこんなに面倒臭いのか……」

 一方メグは、ひばりが突然叫んでも特にそれに反応することもなく、なおもブツブツ文句を言っていた。


「で……話ってなんなの?」

 つかさは、なぜひばりが突然叫び出したのか意味不明だったが、とにかくひばりが自分から話すつもりになったみたいなので、とりあえず話を進めることにした。


 ひばりはもじもじしながら、うつむき加減につかさに話し掛けた。

「あの……」

「何?」

 …………


「どうした? 早く言わぬか。」

 ひばりが黙り込むと、メグが即座にツッコミを入れた。


「うるさい! 言うって! 言うから!」


(??)

 つかさは、ひばりが相変わらず意味不明に一人叫んでいるのが謎だった。


「あの……」

「うん。」

 …………


「どうした?」

「うるさい! 言うって!」


(??)


「あの……あのさ……つかさってさ……実はさー……魔法少女……なんだよね。」

「は~~??」

 つかさは呆れて一気に力が抜けた。

ご読了ありがとうございました。続きが気になった方は、

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