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119. 異変の後

 ひばりは勢いよく台所を出ると、そのまま外に出ようと、玄関に向かって廊下をずんずんと先に進んだ。


 どうやら着替えずに、魔法少女のコスチュームのまま外に出るつもりのようである。

 普通の人だったら、普段そんな衣装を着て外に出るのは恥ずかしいと思うはずだが、ひばりの場合だと、そんなことを聞かれても、「えっ? 恥ずかしいって何がですか? 逆になんで恥ずかしいんですか? なんでですか? 教えて下さい。」と真顔で聞き返すくらい、至って日常的によくある光景だった。


 ひばりは、玄関でスニーカーを履くと、勢いそのままに玄関のドアを開けて外に向かって一歩踏み出した。


「待つのだ。ひばり。」

 その時、背後からメグがひばりを制止した。


「…………」

 メグの言葉を受けて、ひばりはその場で立ち止まった。


 しかし、ひばりは、行きたくなかったつかさの家に行くことをようやく決意し、気持ちも盛り上がって、その上がった状態で勢いよく外に出たところだったので、突然メグに呼び止められてしまったせいか、すっかり出鼻をくじかれた思いだった。


「……何?」

 ひばりは、ゆっくりと顔を後ろに向けると、露骨に不機嫌な顔をメグに見せた。


 ひばりは、せっかく自分の中で盛りに盛り上がったテンションをしゅんと冷めさせられ、それにつかさの家に行きたいと言ったのもメグの方なのに、それをメグ自身にストップされたことに不満ありありといった表情だった。


 だが、メグはそんなひばりの不機嫌な態度にも一向に気にする素振りも見せず、

「ひばりよ。つかさという少女が住んでいる家を訪ねるのであれば、そのつかさという少女が本当に桃色の魔法少女なのか、なによりも、まずはそれを確認する必要があるだろう。」


「はーっ? 確認?」

 ひばりは、つかさが桃色の魔法少女かどうかなんて、つかさの家に行って本人に聞けばすぐにでもわかると思っていたので、不満そうに聞き返した。


「うーむ……」

 メグは困った顔で唸ると、少し間をおいて、

「なるほど……やはりお前は自覚して魔法少女に覚醒したのではなかったようだな。」

 一人納得したようにうなずいた。


「???」

 それに対し、ひばりはさっぱり意味がわからない表情をした。


「やれやれ……まあ、なんにせよ準備が必要だ。よし、とりあえずまずはお前の部屋に戻ることにしよう。」


 メグが階段を上ると、ひばりもよくわからないが、とにかくスニーカーを脱ぐと、黙ってメグの後ろについていった。


 メグはひばりの部屋に入るや否や、部屋中をあちこちと歩き回った。


 メグより少し遅れて部屋に入ったひばりは、何か探しものでもあるかのように、自分の部屋をくまなく動き回っているメグのことを不思議そうに眺めていたが、やがてメグに声を掛けた。

「ねえ。ところで、その準備ってなんなの?」


 ひばりの声を聞くと、メグはピタッと動きを止めた。そして自分で探すより、ひばりに直接聞いた方が早いと判断すると、ひばりの前までトコトコと歩いた。


「うむ。桃色の魔法少女かもしれない少女の家にすぐに行かなくてはならないので、手短に話すとするが……まず魔法少女に該当する少女は、自分が魔法少女になる順番がやってきた時、なんらかの手段や経緯を経て、必ず自身のシンボルカラーとなるフィロソファストーン(PS)を手にすることになる。これは、運命レベルが崩壊してしまった今でも、絶対に変わらない運命にある。」


「へえ。」

 ひばりは、そこは5色の魔法少女と同じだったので、興味深そうに相槌を打った。


「そして、フィロソファストーン(PS)を手にした少女は、本人の意思に関わらず、運命レベルに導かれ、理由わけなく常に自らの身辺にフィロソファストーン(PS)を身につけることとなる。そして、自身の体内から発生する微弱な電気をフィロソファストーン(PS)に与え続けることによって魔法少女への覚醒が完了する。」


「ふーん。」

 ひばりは、前半部分は知っていたが、後半の電気の部分は初耳だった。


「そして、やがて時が来ると、その少女は魔法少女へと成長し、新たな運命と対峙することとなる。……しかしながら、運命レベルが崩壊した今となっては、魔法少女になるべき少女が、一時にフィロソファストーン(PS)を手にすることはあっても、運命レベルが崩壊しているが故に、そのまま自らの手元に留めおかれることもない。フィロソファストーン(PS)は決してその真価を発揮することがないままどこかへと放置され、そしてやがて時が来ると、また次の魔法少女の元へと送られることとなる。」


「でも……その石ってプレシャスストーン(PS)なんでしょ? だったら、そんなすごい石を受け取って、その娘がその石をそのままどこかにほったらかしなんて絶対にしないんじゃないの?」

 ひばりは、その石が魔法少女になるための特別な石なんだから、その石を手にした少女がそれを邪険にするなんて信じられないと思った。


「プレシャスストーン(PS)ではない。フィロソファストーン(PS)……な!」

 メグは、まずはそこを強く主張した。


「フィロソファストーン(PS)が先代の魔法少女から次代の魔法少女へと受け継がれる時、決してその石が魔法少女になるための石であるなどといって受け継がれることはない。その石は、普段は全ての人間にとって、もちろん当該の魔法少女自身にとっても、なんの価値もない単なる色のある石ころくらいにしか認識できないようになっている。それが特別な石であることに気づくのは、当人が魔法少女になる時、その時だけだ。」


「ふーん……あれ?」

 ひばりは、そこは5色の魔法少女と同じ設定なんだと思った……が、ひばりのフィロソファストーン(PS)は、昨日父親の耀司から、魔法少女になるのに必要な石だと言って渡されていたので少し疑問に思ったが、かといって、いちいち父親に聞くのも面倒だったので、とりあえずそこはスルーすることにした。

ご読了ありがとうございました。続きが気になった方は、

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