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108. 異変の後

 ひばりは、子犬に自分が5色の魔法少女だと言われてショックを受けると、しばし呆然として動けなくなった。だが、ひばりとしても、さすがに今日一日でこうも立て続けにショッキングな出来事が重なってくると、その度にいちいちショックを受けたり、頭の中でとやかく考えたりするのが、段々と面倒くさくなってきた。


 その時、ひばりはこの子犬を庭先で初めて見た時の自分の直観を思い出した。


 ――待て待て待てい! ……そもそも、そんな都合のいい話あっていいのか? よく考えろ私! ……あれ? もしかすると……私、この子犬に騙されてるかも?

 その瞬間、ひばりははっとした。


 ――あっ! よく考えたら……こいつ猫じゃなくて犬じゃん。子猫の魔法少女のはずなのに、子猫じゃなくって、なんで子犬がしゃしゃり出てきてんだよ! ……うん? もしかすると……これは5色の魔法少女になるなる詐欺とかいう新手の詐欺の手口かもしれない。子猫の魔法少女マジカルキティが始まったばかりだから、似たようにかわいい子犬の姿で油断させといて……それで私を騙そうとする手口なのかもしれない。それでこの子犬は、実はどこかのペットショップとかの手先で、私にドッグフードやらグッズなんかを死ぬほど買わそうとしてるんだ。……やはりこの子犬は悪。私の直観は間違えてなかったんだ。


 残念ながらひばりの頭では、これくらいの想像が限界だった。


 ――私が、超がつくほどの5色の魔法少女好きだから……だからチョロいと思ったんか! くそっ! 5色の魔法少女を愛する乙女の純粋な気持ちに付け込んで騙そうとするだなんて……

 そう思うと、ひばりは段々腹が立ってきた。


 ひばりは、その場からすくっと立ち上がると、子犬目掛けて人差し指をビシッと突き立てた。


「ちょっと待て! おい! 何が魔法少女だ! そもそもあんた、猫じゃなくて犬じゃん。それなのに、なんで私が魔法少女だってあんたが知ってんの? あんた一体何者? なんのためにここに来たの?」

 ひばりは怒りの表情になると、子犬に一気にまくし立てた。


 子犬は、突然部屋中を徘徊したり、くるくる回ったり、動かなくなったり……面白い顔をしてたと思うと今度は怒り出したりと……せわしなく変化する、ひばりの言動にも一切動揺した様子もなく、眉ひとつ動かさずに冷静にひばりの顔を見た。


「うーむ。一度にそう何件も質問されても困るのだが……ふむ、そうだな。では、まずはお前が魔法少女であること……それを証明してみせよう。」

 そう言うと、子犬は顔を右手の机の上に向けた。


「そこにある黄色の石を手に取るがよい。その石は、フィロソファストーン――哲学者の石Philosopher’s Stone(PS)――といって、それを所有する者が、まさしく魔法少女であることを証明する特別で唯一の魔法の石なのだ。」


 ひばりは不承不承ながらも、机に向かって歩き出すと、子犬に言われた通り、今も自ずから光り輝いている黄色の石を手に取った。当初は父親の耀司がガチャガチャとかで手に入れたインチキな魔法の石だと思っていたが、確かにこの石がどう考えてもただの石ころじゃないことだけは、ひばりにも理解することができた。


「……でも、これが本当に魔法の石だなんて……それに、風呂ソファストーンって何? プレシャスストーン(PS)の間違いじゃないの?」

 ひばりは、5色の魔法少女のに似ているが微妙に違っていることに不満を感じながら、子犬に問いただした。


「ふむ。プレシャスストーン(PS)というのは、5色の魔法少女の方が持つ魔法の石のことをいう。しかし、私の6色の魔法少女が持つ魔法の石の正式な名称はフイロソファストーン(PS)という。」


「えっ? あんた、もしかして5色の魔法少女と知り合いなの? それに、6色の魔法少女って何? そんなの聞いたことないんだけど。」


 ひばりは、子犬がなぜか5色の魔法少女と知り合いらしいことが意外で、そのことを少しうらやましく思った。それに、どうせ魔法少女になるとかいうんだったら、6色の魔法少女とかよくわからないパチモンじゃなくて、5色の魔法少女の方がぜんぜんよかったのになと思った。


 子犬は、そんなひばりの気持ちを見透かしていた。


「お前は6色の魔法少女というのが、5色の魔法少女の知人だとか偽物だとでも思っているのかもしれんが、6色の魔法少女というのは、5色の魔法少女と同等、いや、もしくはそれをも上回る存在なのだ。お前は5色の魔法少女の方がよかったと思っているのかもしれぬが、むこうは5人で5色までしか魔法少女を生み出すことができないのに対し、こちらは6人で6色もの魔法少女を生み出すことができるのだ。」


 子犬は自慢げに話した後、ひばりの部屋を軽く見渡した。


「ふむ。お前は5色の魔法少女についてはよく知っているようだから、詳しい説明は不要だろう。今、地球では惑星ジャイアから来たロボットと、地球の5色の魔法少女、今回は子猫の魔法少女マジカルキティとの戦いが始まったことは知っているだろう。」


「うん。」

 ひばりにとっては、もちろん知っていて当たり前の話だった。


 ――なんだ、突然こんな話をしてきて……この子犬は5色の魔法少女のファンなのか? それで自分と5色の魔法少女について熱く語り合いたいのか?


「だが、本来は5色の魔法少女だけでなく、6色の魔法少女も一緒に戦わなければならないというのが正式なルールなのだ。」

ご読了ありがとうございました。続きが気になった方は、

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