Episode65 芽
ダメだ…俺が足を引っ張てる。雄星は頑張ってる。俺が、俺が点を取らなきゃ…!!!
そうやって無理に飛び出す。またボールに触ることができない。雄星がロブで凌ごうとする。でも宮川さんはそのロブを待っていた。完璧なスマッシュを決められる。
「ゲームセット」
あぁ、終わった…負けたんだ俺。雄星も目に力がない。
「白城、ちょっと来い」
(内田さんか…怒られるよな、そりゃあ)
「どうした?」
「いや…」
「なんで無茶な動きばかりするんだ?」
「小川が粘ってくれてたから、自分が点を決めなくちゃと思って」
「お前な、無理と無謀は違うぞ?」
「はい…」
「お前は経験が圧倒的に少ない。だから今のお前には取ることが無理なボールなんてたくさんある」
「スタートを早くすれば触れますよ…」
「じゃあ触れたか?」
「いや…」
「なんだお前、不貞腐れやがってよ…」
「そんな…」
「お前、そんな感じならテニスするな!」声量と迫力が馬鹿みたいに大きくなった。
「すいません…」
「もういい、どっか行け」
「えっ…」
「お前みたいなやつ、レギュラーにふさわしくないわ!士気が下がる!」
「ちょっ…」
「おい、長瀬たちと早瀬たち、早く試合に入れ!」
「はい!」
「あの内田さん、すいません」
「お前、絶対使わないからな!」
「そんな…」
「反省したら練習しとけ、分かったか?」
「…。」
「分かったかって!?」
「はい…」
「早く行け!」
参ったなあ…完璧に俺の落ち度だ。試合で負けたからって、いつまでも引きずるなよな…切り替えて今日は練習するしかねぇな!
今は後衛が練習してるんだ。あっ、怜人の打点少し低いな。あとで伝えようかな…とりあえず球拾いしようっと…
「おい、白城」
「秦…」
(どうせグチグチ皮肉言ってくるんだろな…)
「なぁ、どうした今の試合。」
「どうしたって?」
「昨日のプレーが出来てればもっと戦えただろ?」
「そりゃあそうだけど…」
「なに勘違いしてんだよ、お前の強みは基本だよ」
「基本?」
「もったいないな、お前はよ」
「えっ?」
試合コートに目を向ける。試合前の乱打だけで分かる、今の俺とは確実にレベルが違う。だけどな、落ち込んでる場合じゃないんだよな…秦が言ってくれた「基本」について考えないとな…
(雄星side)
知め、全部動きやがって…邪魔なんだよな、取れもしねぇくせにドタバタ動かれるの。結局4番手になっちまったじゃねぇかよ。僕は悪くない。全部悪いのは知だ。
うぜぇ、なんで謝りに来ないんだよ。ましてや立派に負けを引きずりやがって…もう知らねっ。




