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君のいない日々はきっとつまらない  作者: 久遠知
白城と久井

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Episode62 こみ上げる思い

「久井さん、僕が去年の夏に言ったこと覚えてますか?」


「あ、うん…」


「言い訳もたまにはしてもいい。そんなコト言った気がします」


「え、覚えてないの?」


「あのとき緊張してたんで」


「なにそれ(笑)」


「でもあの時の自分よくあんなこと言えたなって思うんです」


「どういうこと?」


「あの頃成績が振るわなくて悔しかった…」


「試合の後、ベンチで落ち込んでたね」


「いたんですかあの時!?」


「うん…。そのお礼を言いに行こうと思ったんだけど、そんな雰囲気じゃなかったし」


「まあ、結果が振るわない時って自分に自信が持てなくなることもありますしね…。」


「元からないよ」


「…」


「高校でソフトテニス続ける気なんてなかった。それなのに由衣に誘われて、頑張ろうって思ったんだけど…」


 久井さんの言葉があまりにも重すぎて俺も口を簡単に開ける状態ではなかった。それでも息を吸って呼吸を落ち着かせて話し始める。


「音に惹かれてソフトテニスを始めたんですよね?」


「うん」


「僕だってそうです。とにかくいい音を出そうと一生懸命ボールを見てラケット振ってましたよ。」


「私も…」


「最初は基礎練習も嫌だと思わなかった。ただ音を聞きたいっていう思いだけがあって何をしても楽しかったんです。」


「そうだね…。」


「でもいつの間にか、スイートスポットに当たることが当たり前のようになって、いろんなことを気にするようになって、楽しめなくなってました。」


「そうだね…。」


 少し沈黙が訪れた。思ってたほど久井さんは感情を出さない。冬の夜風がそっと吹き抜ける。

 さっきから胸がそわそわしてる。久井さんと一緒にいればいるほど思いがこみあげてくる。なんでかな…今日まで分からなくなっていたものが、分かった瞬間抑えきれない。分かってる、釣り合うわけないって。でも、レギュラーになれて少し久井さんに追い付けた気がした。現に今こうして隣で二人きりでしょ?

 去年の夏から毎日が輝きだした。でも前衛になってから距離が思うように縮まらないまま年が明けた。もうあと4ヶ月しかないんだよ…。久井さん(きみ)がいない日々なんて絶対につまらない。


「好きです…」


「えっ?」


(やっぱ、無理ぃー!!!!)


「久井さんの楽しそうにテニスをする姿」


 急にハンドルを切ってしまった。だっせぇ、俺…。久井さんの反応を見てみる。


(気持ち悪いって思っただろうな…)


「そ、そう…?」ちょっとぎこちない返事だった…。


(やべぇ…完全に引かれちまった。)


「僕、何でも話聞きますから!明日からの練習も来てくださいね」


(うん!早くこの場から去ろう!)


「え、うん…」


「じゃあ、また明日?待ってますから!」


 気まずさから走って俺は去る。


「白城君!」げっ、呼び止められた。


「ありがとね。絶対練習行くから!」


「はい」笑顔で返事する。


 今日は人生で最高の一日だったな。レギュラーにもなれたし、久井さんともたくさん話せた。

 でも、自分の不甲斐なさには少し呆れたけど…

(久井side)

 どうして白城君と話すと気持ちが落ち着くんだろう。聞き上手というか、話上手というか…。まっ、とにかく明日みんなに謝らなきゃ。もう一回初心に戻ってテニス、楽しも。













 顔赤くなってたかも…

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