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君のいない日々はきっとつまらない  作者: 久遠知
白城と久井

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Episode56 どうして

 懐かしい声は、和田さんだった。あの出来事以来、当然一回も会っていなかった。数年ぶりの再会と言っても、喜ばしくない。どんな顔で会えるだろうか。俺がこの人の人生をメチャクチャにした。


「どうした白城、俺のこと忘れたのか?」


「いや、そんなことは…。和田さんですよね?」


「そうだよ!良かったー覚えていてくれて。」


「そりゃあ覚えてますとも…。」


「お前は本当に変わんないな!」


 そうか…。俺は変わんないのか。あのクソガキだった小学生時代から一切変わってないんだ。最近、高木との件もあって自分も他人から信用してもらえるようになったなあ、なんて思ってったけど勘違いすんなよな。


「白城、お前どうした?何か嫌なことであったのか?」


「いや、何もないですよ?」


「そっか。なぁ、久しぶりにグランドに行ってみないか?」


「いいですよ。」そう言って俺は気は向かないが、和田さんと一緒に河川敷のグランドへ足を進めた。


 グランドに向かう途中、和田さんは一方的に話しかけてきた。部活は何をしてるのかだの、彼女はいないのかだの、勉強はどうなのかだの、まるで親戚のダルいおじさんぐらい話しかけてきた。相手を気にせず話すところは和田さんも相変わらずで、少しホッとした。

 気がつくと河川敷に着いていた。冬場の夕方の16:30すぎはすでに空が暗くなり始めている。

 誰もいないグランドを見ると、あの頃の思い出が蘇ってくる。


 人見知りな俺は野球のような団体競技に向いてなかった。練習に行くが、周りのみんなとは全く仲良くなれなかった。

 そんな時ひとりぼっちの俺に話しかけてくれたのが和田さんだった。初めて話した内容は覚えてないけれど、メチャクチャ嬉しかったのを覚えてる。

 それからというもの、俺と和田さんはずっと一緒にいた。練習の間の休憩時間はバッタを捕まえて遊んだり、木陰で寝たりしていた。まるで兄弟かのように、俺たちは仲良くしていた。


 それがあの日で全部終わってしまった。何であんな事言ったのか分からない。ただあの時の俺は、自分に酔っていた。そんな大して上手じゃないのに。(身近に似たような奴がいるような…。) 


「なんにも変わんねぇんだな、ここは。」


「そうみたいですね。」


「あの日々が懐かしいよ。今でもたまに思い出すと野球したくなる。」


「和田さん、今日俺を誘ったのは何か理由があるからですよね?」


「はっ?」和田さんが間抜け面になる。


「忘れるわけないですよね、あの日のコト。」


「あの日?どうした、俺はただ思い出に浸りたかっただけだ。」


「でも、俺は違う…。」


「なんだよ、もう…。」


「…。」


「あのなぁ!白城!」口調が一気に強くなった。


「話してくれないと分かんねぇんだよ。なんだ?俺にかまってほしいのか?」


「そういうわけじゃ…。」俺は唇を噛み、視線を逸らす。


「相手に言いづらいコトでもな、言ってくれたら納得してくれるかもしれねぇ。たとえそれが相手を傷つける言葉でもな。」


「えっ…?」


(なんだ和田さん、まるで俺の心の中を読んでいるのか?)


「最後の試合のことだろ、お前が俺に言ったあ(・)の(・)言(・)葉(・)。」


 ああ、ダメだ。この人には敵わないや。俺は白状して懺悔を始めるのだった。



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